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韓国バッテリー業界に黄信号…米国の圧力と日本の反撃(1)

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版

全固体電池を搭載したトヨタ電気自動車 [写真 トヨタ]

◆Kバッテリー、出口はないのか

昨年の受注残高1000兆ウォン(約110兆円)を突破して半導体に続く韓国の次世代事業に浮上したK(=韓国)バッテリーに黄信号がともった。世界的な電気自動車需要鈍化の中、昨年10-12月期からバッテリー需要が減っているうえ、中国の電気自動車攻勢がさらに強まり、日本がバッテリーに大規模な投資をするなど、競争が激しくなっているからだ。専門家らは企業の投資だけでは限界があるだけに、政府の積極的な支援が必要な時だと強調する。

中国を除いたグローバル電気自動車バッテリー市場シェア1・4・5位企業の韓国バッテリー3社(LGエナジーソリューション、SKオン、サムスンSDI)の昨年10-12月期の売上高は16兆7030億ウォンと、前期(7-9月期、17兆3443億ウォン)比で3.7%減少した。大幅な減少ではないが、収益性が悪化している。3社の昨年10-12月期の営業利益は6314億ウォンと前期(1兆1411億ウォン)比で44.7%減少した。SKオンは10-12月期に186億ウォンの赤字を出した。


不況と各国の補助金削減の中、爆発的に増加していた電気自動車の需要が減って表れた現象だ。市場調査会社SNEリサーチによると、昨年のグローバル電気自動車納車台数は1406万台と、前年比で33.4%増だった。2022年(61.3%増)の半分だ。このためバッテリー使用量も昨年38.6%増にとどまった(2022年は71.8%増)。需要が減少した中、供給面では設備増設が本格化し、短期的にバッテリーサプライチェーン全体で過剰の懸念が強まっている状態だ。

問題はグローバル電気自動車需要が回復するとしてもKバッテリーの競争力が確実でないところにある。CATL・BYDなど中国のバッテリー会社が自国の電気自動車を前面に出してKバッテリーを脅かしているからだ。バッテリーと電気自動車を製造するBYDは昨年10-12月期、米テスラを抜いてグローバル電気自動車販売1位に浮上した。BYDは特に内需市場のほか、日本・タイ・スウェーデンなどでも電気自動車販売1位となっている。

◆米国の圧力、日本の反撃、全固体開発競争…3大難題を乗り越えてこそKバッテリー再飛躍の道

CATLとBYD(バッテリー)は昨年、前年比で40.8%、57.9%成長し、グローバル市場シェア1位、2位となった。CATLは中国電気自動車ブランドだけでなくテスラモデル3・Y、BMWiX、メルセデスベンツEQSなどグローバル自動車にもバッテリーを供給し、中国を除いたグローバル市場でも1位のLGエナジーソリューションを追撃している。電気自動車の需要が回復すればKバッテリー販売量も増えるが、中国企業の市場シェアがさらに拡大するという分析が出る理由だ。

しかし本当の問題は電気自動車の需要回復ではないという分析がある。中国を牽制した米国のインフレ抑制法(IRA)がKバッテリーに飛び火しているからだ。韓国3社はバッテリー製造の核心鉱物の大半を中国からの輸入に依存しているが、IRA規制の施行で中国産核心鉱物の供給を受けて生産されたバッテリーを搭載した電気自動車は米国政府の補助金を受けることができない。没落したように見えた「バッテリー宗主国」日本の勢いも尋常でない。素材・部品・装備の技術力を前面に出して宗主国の地位を取り戻そうとしている。

特に「夢のバッテリー」と呼ばれる全固体電池など次世代高付加価値製品開発競争で韓国をリードしていると分析される。専門家らはKバッテリーを韓国の確実な産業にするためにはコントロールタワーの設立など政府の積極的な支援が必要な時だと強調する。大徳大のイ・ホグン未来自動車学科教授は「現在バッテリー産業は産業通商資源部、環境部、科学技術情報通信部などに分かれ、部処間の利害関係が絡んで非効率的に育成されている」とし「米国のエネルギー省のように統合組織を設けて専門人材を投入し、着実に政策を発掘できるようにするべきだ」と述べた。

◆中国を牽制した米IRA細部規定が暗礁に

現在グローバル電気自動車バッテリー市場を掌握しているのは中国だ。SNEリサーチによると、昨年のグローバル電気自動車バッテリー生産量は705.5GWh(ギガワット時)で、上位10社のうち6社(CATL・BYD・CALB・国軒高科・EVE・欣旺達)が中国企業だ。6社のグローバル市場シェアは63.5%にのぼる。自動車などの自国産業の保護を最優先課題とする一方、中国を集中牽制中の米国としては傍観できない状況だ。米国内のインフレ緩和が目的だが、こうした背景の中で出てきたのが2022年に発効したIRAだ。

IRAを通じて米国政府はバッテリーの核心鉱物と部品が一定の要件を満たし、北米で最終的に組み立てられた電気自動車に限り最大7500ドルの補助金を支給することにした。ここで「一定の要件」とは、電気自動車バッテリーを生産する企業が部品は今年から、核心鉱物は来年から米国政府が懸念外国企業(FEOC)に指定したところから調達してはならないというものだ。すなわち、補助金支給規制の強化で企業の価格引き下げ競争が深刻化するということだ。ところが米国は昨年12月に発表したIRA細部規定案で事実上、中国内のすべての企業をFEOCとした。これで米国で電気自動車補助金を受けることができる車種は昨年末の43種から今年は19種に減少した。

問題は韓国企業が調達中の核心鉱物の大半が中国産という点だ。昨年の産業通商資源部の発表によると、韓国はバッテリー核心鉱物の中国産輸入依存度が▼水酸化リチウム84%▼水酸化コバルト69%▼硫酸コバルト97%▼硫酸マンガン97%▼炭酸マンガン100%と非常に高い(2021年基準)。結局、中国産核心鉱物の輸入最小化が必要だが、これは従来のサプライチェーンを変えるということであり、1年以内に解決する問題ではないため、業界は難色を示している。

先月21日(以下、現地時間)の米官報によると、韓国企業は米政府に意見書を提出した。IRAで補助金を受けることができる車種が一つもない現代自動車グループは「黒鉛など特定核心鉱物に対するFEOC規定の適用を一時的に猶予してほしい」と明らかにした。中国は2022年、世界球状黒鉛(黒鉛を加工した中間原料)の100%、人造黒鉛の69%を生産した。他国が短期間にその役割をするのは難しいという事情を考慮してほしいという論理だ。

SKオンも「中国産黒鉛に代わるサプライチェーンを構築するには3-4年かかり、そのようにしても北米の需要をすべてカバーできない」とし、核心鉱物に対するFEOC規定適用を2027年1月に2年猶予してほしいと要請した。LGエナジーソリューションは「核心鉱物総価値の10%未満の低価値材料は規定の例外にしてほしい」とし、コバルトと蛍石を低価値材料として提示した。しかし意見が受け入れられるかは未知数であるうえ、受け入れられても一時的な措置にすぎない。

危機感を抱いた企業は多角的にサプライチェーンの確保に動いている。SKオンは最近、米ウェストウォーター・リソーシズと2027-31年に米国産天然黒鉛供給契約を締結した。LGエナジーソリューションはカナダのエレクトラと2025-29年の硫酸コバルト供給契約を、チリのSQMと2029年までリチウム供給契約を締結した。サムスンSDIは海外鉱山会社を買収し、ニッケルの一部を確保した。こうした努力にもかかわらず、依然としてかなり不足する状況だ。大林大のキム・ピルス未来自動車工学部教授は「米国は今年の大統領選挙でトランプ氏が当選しても、世論を考慮するとIRAを破棄するのは難しい」とし「企業はサプライチェーン多角化に引き続き積極的に取り組む必要がある」と述べた。




韓国バッテリー業界に黄信号…米国の圧力と日本の反撃(2)

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