２時間の壁を越えると期待されていたマラソン世界記録保持者のケルビン・キプタム（２５、ケニア）さんが交通事故で亡くなった。

ＡＰやＡＦＰなど主要外信は１２日（韓国時間）、一斉にキプタムさんが交通事故に遭い死亡したと伝えた。報道によると、キプタムさんはケニア現地時間の１１日夜１１時ごろ、長距離陸上訓練地であるケニア高地帯のエルドレットとカプタガトを結ぶ道路で事故に遭った。

キプタムさんはマラソンを２時間１分以内にマークした最初のマラソンランナーであり、２時間以内の記録を達成する有力な候補と評価されてきた。しかし、突然の交通事故で亡くなった。


地域警察によると、事故に遭った車両はキプタムさんが運転し、他の車両はないと明らかにした。キプタムさんのコーチまで３人が搭乗していた。キプタムさんとコーチは事故現場で亡くなった。キプタムさんは４月のロッテルダムマラソンと８月のパリ五輪に備えた練習をしていたところだった。

１９９９年生まれのキプタムさんはケニアの首都ナイロビからも３００キロ離れた田舎町チェプサモ村出身だ。海抜２６００メートル高地であり、多くのマラソン選手を輩出したところだ。１３歳の時にランニングを始めたキプタムさんは、裸足で練習しながら陸上選手として成長した。２０２０年からはコーチに会って体系的なマラソン訓練を始めた。

２０２２年のバレンシアマラソンで初のフルコースを走り、２時間１分５３秒でゴールした。初マラソンに出た選手の中で最も速い記録であり、歴代３位の記録だ。翌年４月にはロンドンマラソンでは個人最高記録を２８秒縮めた２時間１分２５秒で優勝した。

昨年１０月に行われたシカゴマラソンで４２．１９５キロのフルコースを２時間３５秒でマークした。世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ（４０）が２０２２年にベルリンで立てた世界記録（２時間１分９秒）とは１６秒の差だった。先週、世界陸上連盟が公式承認し、男子マラソンの世界記録として認められた。

マラソンでは２時間が象徴的な記録だった。キプチョゲが２０１９年のイネオス１：５９チャレンジで１時間５９分４０を記録し、人類初の２時間以内にマラソンコースを走ったが、公式記録ではなかった。キプチョゲだけのために開かれたイベント大会であり、数十人のペースメーカーが助けた。天気、気温、湿度など最適の外部環境を作って成し遂げた記録だった。

まだ２０代半ばのキプタムさんは、４０代のキプチョゲと競争を繰り広げ、１時間台の記録まで達成するものと期待された。しかし、むなしい事故で夢をかなえることができずこの世を去った。世界陸上連盟のセバスチャン・コー会長は「キプタムさんは驚くべき遺産を残した、驚くべきスポーツ選手だ。私たちは彼をとても懐かしく思うだろう」と追悼した。