中国で「落ちてくる子どもを素手で受け止めた百貨店の警備員」という動画がソーシャルメディア（ＳＮＳ）で拡散し話題となっている。動画を見たインターネットユーザーは警備員を英雄だと称賛し、子どもは無事なのか心配しながら熱い反応を見せた。しかしこの動画はある警備会社が撮影したフェイク動画であることがわかった。



中国メディアが２７日に報じたところによると、この動画は２５日に初めてＳＮＳに上げられ、大きな話題を集めると急速に拡散した。動画は落ちそうになった子どもを発見した警備員が駆け付け、子どもを受け止めるために腕を伸ばす場面から始まる。その後警備員は座り込みながら落ちてくる子どもを素手で無事に受け止め、目撃者が集まって動画は終わる。


しかしメディアの取材の結果、これは実際の状況でなくフェイクであることが明らかになった。中国山西省のある警備会社が作成したものという。この会社の関係者は「動画は百貨店ではなく会社のオフィスの下で撮影したもの」と話した。その上で「動画の中の警備員は会社の社員が演技したもので、警備員が受け止めたのも実際の子どもではなく人形だ」と打ち明けた。

この関係者はまた、「これまでこの動画のほかにも多くの動画を作ったが、主に実際にあった事件を模倣して制作した」と話した。動画を撮影した目的は、「警備員に対する否定的なニュースがたびたび報じられており、警備員の善行を広報するために作った」と説明した。その上で「動画が実際のものと誤認されて広がったことから翌日に削除した」と付け加えた。

警備会社は悪い意図はなかったと主張したが、影響は続いている。現地警察は「２６日に会社を訪問し関連内容を調査した」とし、この会社対し動画を制作し公開する行為を中断しこの事件について公開的に説明することを要求したと明らかにした。