デンマークの俳優マッツ・ミケルセンの名前を韓国の検索サイトで検索すると、「韓国料理」が関連検索語として表示される。ミケルセンがサムギョプサルなどの韓国料理をよく食べるという事実のためだ。ミケルセンが欧州にある韓国食堂を１週間で６日間訪問した事実がソーシャルメディア等を通して伝えられたのは昨年のことだ。１週間のうち行かなかった１日がその店の定休日だったという笑い話も出てきた。しかし、ミケルセンを韓国料理マニアとしてのみ認識するならそれは間違いだ。ミケルセンは俳優としても存在感が大きいためだ。ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）は昨年「ハリウッドにいなくてはならないキャラクター俳優であり、スター俳優」と表現した。

ミケルセンは新作映画『ｔｈｅ　Ｐｒｏｍｉｓｅｄ　Ｌａｎｄ』で英語圏メディアではインタビューリレーの真っ最中だ。その中で注目すべきものが２８日（現地時間）に公開された米国権威誌「ニューヨーカー（ｔｈｅ　Ｎｅｗ　Ｙｏｒｋｅｒ）」最新号でのインタビューだ。記事の題名は「マッツ・ミケルセンが（観客を）悪魔と共感させる方法」だ。ミケルセンは悪役で本格的にスターダムにのし上がった。２００６年に公開された００７シリーズ『カジノ・ロワイヤル』が代表的だ。ニューヨーカーは「ミケルセンが俳優になったのは、偶然を通じて独立映画に出演したことがきっかけで、今は悪役から主役まで幅広い役柄をこなす」と紹介した。

ミケルセンは同誌に対して「１０年以上ダンサーをしながら、徐々に私の本当の情熱は演技であるということに気が付き始めた」とし「偶然出演したラース・フォン・トリアー監督の映画で、演技をすることは、まるでいたずらっ子の少年が誰もしないことをするようなスリルを抱かせた」と回顧した。ミケルセンはその後、００７シリーズに続いてハリウッドの大作にも次々と出演してその存在を刻みつけた。同時に独立および芸術映画でも活動を続け、カンヌ映画祭で『偽りなき者』で主演男優賞を受賞した。


１９６５年生まれのミケルセンは幼少期に器械体操選手に憧れて練習に没頭した。しかし成長期に身長が突然伸びて、体操選手に適する身長を超えて１８５センチ近くにまでなった。器械体操金メダリストの夢をあきらめたミケルセンは、代わりに特技を生かしてスウェーデン・ヨーテボリのバレエ・アカデミーに進学し、ダンサーとして約１０年活動した。２５年近く結婚生活を続けている４歳年上の夫人、ハンネ・ヤコブセンは、この時に出会った振付家だ。２人には息子と娘が１人ずついる。

ミケルセンが作品を選ぶ基準は何か。彼は同誌に対して「シナリオ」と答えた。「最初から最後までシナリオをじっくり読み込み、なにか感じるものがあれば応じる」と話した。続いて「実存人物に関する映画人の場合には、その人物に対して称賛だけではない映画を選ぶ」とし「実際の人間を知るためには、言い慣れた称賛を越えて、その人間の内心に浸透し、入りこまなくてはならない」と話した。

複雑なキャラクターを選ぶ理由に対しては後述のように答えた。未成年者に性的虐待をしたという寃罪を着せられた人物を扱った『偽りなき者』について話しながらだ。ミケルソンにカンヌ主演男優賞をもたらした作品だ。「主人公に少年が銃を撃つ場面があるが、果たしてその少年だけが悪いのか。その少年が引き金を引かせるようなことを彼がしたのではないか。このような深い質問を投じるのがいい。人生は決して単純ではないから」。

演劇舞台が懐かしくはないかという質問に、ミケルソンは「演劇は、演技を最初に始めたころに相当やった」とし「ダンサーとして舞台に立つことを卒業し、必ず通らなければならない過程だった」と話した。続いて「これからは絶対にしないとは言い切れないが（ｎｅｖｅｒ　ｓａｙ　ｎｅｖｅｒ）、当分はやらないと思う」と話した。