ソウル中央地検が３日に半導体蒸着装備関連の営業秘密を中国に持ち出した容疑で逮捕起訴したサムスン電子元部長と協力会社社員が代表的な事例だ。半導体８大工程のひとつである蒸着技術は半導体小型化を決定する核心技術だ。

検察などによると、元部長は２０２２年２～３月に中国企業の開発提案を受け元部長が総括するプロジェクトチームを結成して合計５社から社員を引き抜いた後、２０２２年５月に協力会社のオフィスで設計図面１１２０枚を出力して持ち出したり、数カ月にわたり中国企業のサーバーやウィーチャットなどに営業秘密６００ページ以上を上げる形で核心技術を持ち出した。

韓国半導体業界の伝説と評価される元サムスン電子常務が中国に「サムスン電子コピー工場」を作ろうとして失敗した事件もある。元常務は１８年間勤めたサムスン電子を退職した後、ＳＫハイニックス副社長まで務めたが、台湾フォックスコンから「８兆ウォンを投資するので中国に２０ナノ級ＤＲＡＭ半導体生産工場を作ってほしい」という一世一代の提案に手を握った。


結果的にフォックスコンの提案は失敗に終わったが、元常務は韓国の半導体核心人材２００人以上を集めてサムスン電子西安工場の設計図面などを持ち出した容疑で昨年６月に水原地検に逮捕起訴された。だが元常務は５カ月後に裁判所に保証金５０００万ウォンを払って保釈された。大統領室に汎政府技術流出合同対応団を発足させた事件の主犯が保釈された格好だ。

◇先端セキュリティも突破て…アダルト動画で偽装も

中央日報がこの５年間の技術流出事件の公訴状・判決文などを入手して分析した結果、技術流出を防ぐための先端セキュリティシステムが意外な古典的手法で突破されるケースが多かった。モニターに図面を表示して携帯電話で撮影したり、ノートに書き写したり、靴下にＵＳＢメモリーを入れて持ち出したりする形だった。アダルト動画ファイルに機密文書を隠して偽装した事例もあった。

サムスンディスプレーの有機ＥＬ工程技術流出事件を捜査した国家情報院関係者は「研究員が核心スペックと図面を繰り返し閲覧して手帳に書き写し、偽装業者事務室で再構成する方式で持ち出された。大企業の堅固なセキュリティシステムを筆写のような伝統的で単純な方法で無力化した事例」と説明した。

企業セキュリティが優れているだけに、逆説的に個人的な関係や偽計を利用して「１度だけ見よう」とか「ノートパソコンを置いてきた」という形で営業秘密に接近した場合も多かった。こうして受け取った資料は主にメール、ウィーチャット、テレグラムなどでやりとりした。検察関係者は「結局人の欲から起きる犯罪であるだけに、犯罪誘引をなくすことが重要だ。事実上『懲役が儲かる商売』という認識を正すのが急務」と話した。


「犯罪収益１０００億ウォン、罰金２０億ウォン」…中国の産業スパイが韓国で横行する理由（１）