監督は無策傍観、選手は右往左往、主将の孫興慜（ソン・フンミン）だけが東奔西走。

アジアサッカー連盟（ＡＦＣ）アジアカップに出場した大韓民国代表チームの姿だ。ユルゲン・クリンスマン監督（ドイツ）が率いる韓国代表はグループリーグＥ組２位（１勝２分け）で１６強入りし、３１日にＦ組１位のサウジアラビア代表と対戦する。

予選を通過したものの、「歴代最強戦力」で６４年ぶりの優勝を狙う韓国代表（ＦＩＦＡランキング２３位）は体面を損なうことになった。２５日のグループリーグ最終戦で金判坤（キム・パンゴン）監督が率いるマレーシア代表（１３０位）と３－３で引き分けた。韓国は８１％の圧倒的なボール支配率でシュート１９本、コーナーキック２０個と優勢だったが、守備が乱れて３失点した。


「貧弱な戦術」という批判を受けているクリンスマン監督は情熱も見られなかった。クリンスマン監督は試合中ずっとベンチに座り、特有の微笑みばかりを浮かべていた。時々立ち上がって競技場の方に近づいたが、作戦の指示はなかった。半面、金判坤監督はタッチラインの外に立って大きな動作で選手たちを指示し、激励した。ラインを越えて競技場の中に入るほど没頭していた。

試合後、クリンスマン監督はインタビューで「両チームで６ゴールが生まれる迫力感のある興味深い試合だった」と幽体離脱話法を駆使してサッカーファンの怒りを買った。

チーム内の雰囲気も落ち着かない。特にストライカーの趙圭誠（チョ・ギュソン）はゴールチャンスを何度も逃して非難の標的になった。「芸能人病になっている」「髪を伸ばす時間に実力を伸ばせ」などの批判がネット上で続いている。ネイバースポーツ・芸能記事には書き込みができないが、メディアは趙圭誠関連の内容だけは「社会記事」に分類して掲載し、一つの記事に数百件の批判的コメントが書き込まれている。

監督が後ろに手を組み、選手たちが叩かれる中、主将の孫興慜だけが競技場の内外で忙しい。マレーシア戦で３－２と再逆転するＰＫを決めた孫興慜は試合後、選手たちを守るために所信発言をした。「オンラインとソーシャルメディア上に度が過ぎるコメントが出ていて残念だ。サッカー選手である前に一人の人間だが、そのような言葉を聞くと胸が痛む。選手たちを動揺させるのではなく守ってほしい」と記者とファンに要請した。

１６強戦からは負ければ終わるトーナメントだ。「イエローカード管理」も負担になる。孫興慜、金玟哉（キム・ミンジェ）ら８人がカード１枚ずつ受けている。８強戦まで追加でカード１枚受ければ次に試合に出場できなくなる。

雰囲気の反転が急がれる中、希望も見える。けがをしていたＦＷ黄喜燦（ファン・ヒチャン）とＤＦ金珍洙（キム・ジンス）がマレーシア戦の後半に出場し、試合感覚を調整した。サウジとの歴代対戦成績は５勝５敗８分けと拮抗しているが、アジアカップ（１敗３分け）で韓国は一度も勝っていない。