米バイデン政権がアフガニスタンに続きイラクとシリアからも軍の撤収を検討していることがわかった。これにより、米軍のアフガン撤退後にタリバンが再執権して起きた混乱の様相が中東で再現される恐れがあるという観測が出ている。特に最近になりテロの規模を増やして勢力拡大を狙うイスラム原理主義武装組織のイスラム国(IS)に機会を与えることになりかねないという分析からだ。
ロイター通信は24日、複数の消息筋の話として「米国とイラクが米軍主導の国際同盟軍を終息する案について交渉を始める予定」と報道した。消息筋によると、この日ロマノウスキー駐イラク米国大使がイラクのフセイン外相にこうした内容が盛り込まれた書簡を送った。ただ、米国側は軍撤収の前提として「イランが支援するイラク国内武装勢力の攻撃中断」を取り上げたとロイターは伝えた。
シリアでも同様の動きが起きている。米シンクタンク中東研究所のシリア・対テロ専門家であるチャールズ・リスター上級研究員はこの日掲載されたフォーリンポリシーへの寄稿で、米外交安保消息筋の話として「ホワイトハウスがシリア駐留米軍の撤収方法と時期を決めるため内部協議をしている」と明らかにした。その上で「ホワイトハウスは不必要だと判断される任務を維持することにこれ以上は投資しない計画」と軍撤収検討の背景を指摘した。
◇IS撃退するため駐留したが…
米国は2014年8月にISの復活を防ぐという名目で英国、フランス、ドイツなど西側9カ国と国際同盟軍を結成した。このため現在イラクに2500人、シリアに900人の3400人の米軍が駐留している。残りの国の兵力は数百人水準で事実上軍事作戦は米軍が主導する。
バイデン政権がイラクからの軍撤収カードを検討するのは、イスラエルとハマスの紛争が始まってから中東で米軍基地に対する攻撃が急激に増えたのと関連があるとの分析が出ている。今回の紛争後にイラクとシリアに駐留する米軍はイランの支援を受ける武装勢力から150回以上の攻撃を受けた。これに対し米軍も報復空爆に出るなど軍事作戦が急増した。
これに先立ち米軍は4日、イラクの首都バグダット東部の親イランのシーア派武装組織ハラカト・ヒズボラ・アルヌジャバの拠点をドローンで攻撃し、指導者を除去する作戦もした。これに対しイラク側は「事前に作戦を知らせず主権を侵害した。国際同盟軍のイラク駐留を永久中断するための措置を用意するだろう」と反発した。
現地住民の間でも反米感情が噴出し米軍撤収を要求するデモが広がるなど状況は悪化の一途をたどっている。このため「こうした衝突の激化が場合によってはイスラエルから始まった紛争を拡大しかねないという点からホワイトハウスが軍撤収を検討している」という見方も出ている。
◇テロで勢力拡大するIS
問題は軍撤収後だ。専門家らは「米軍が2021年にアフガニスタンから撤収した後に起きた状況がイラクとシリアでも再現されかねない」と懸念している。現地に駐留する米軍がISの勢力拡大を抑止している状況で米軍が離れればISが動き始めるのは明確だという理由からだ。
実際に国際同盟軍が駐留してからイラクではISが事実上壊滅しており、2014年当時には月平均850件に達したISの攻撃は昨年には月平均9件と急減した。シリアでも米軍が現地勢力のシリア民主軍(SDF)と協力してISの動きを防いでいる状態だ。
だがガザ地区での戦闘が長期化する状況でISのテロ攻撃が最近になり増加している。3日にイランでイラン革命防衛隊コッズ部隊ソレイマニ司令官の追悼式で自爆テロを起こして300人以上の死傷者が発生したのが代表的だ。ISは16日には組織員5000人が収監されているSDFの刑務所をロケット砲で攻撃し大規模な脱獄を試みた。
これと関連しリスター研究員は「ISは現地政権の無関心と、広大な砂漠では軍事的に容易に対応できない点を悪用して遅いながらも体系的に再建に乗り出している」と指摘した。その上で「米軍がアフガンから急いで撤収した時に起きた結果を見ると、米国大統領選挙が差し迫った状況でバイデン政権が軍撤収を考慮する理由は理解しがたい」と話した。
ガザでの戦闘とイエメンのフーシ派による紅海での船舶攻撃が続く状況でISまで復活する場合、中東情勢は手のほどこしようもなく不安定になるだろうという意味だ。すなわち米軍の軍撤収決定がバイデン氏の再選に悪影響を及ぼす可能性が高いというのが専門家らの分析だ。
ロイター通信は24日、複数の消息筋の話として「米国とイラクが米軍主導の国際同盟軍を終息する案について交渉を始める予定」と報道した。消息筋によると、この日ロマノウスキー駐イラク米国大使がイラクのフセイン外相にこうした内容が盛り込まれた書簡を送った。ただ、米国側は軍撤収の前提として「イランが支援するイラク国内武装勢力の攻撃中断」を取り上げたとロイターは伝えた。
シリアでも同様の動きが起きている。米シンクタンク中東研究所のシリア・対テロ専門家であるチャールズ・リスター上級研究員はこの日掲載されたフォーリンポリシーへの寄稿で、米外交安保消息筋の話として「ホワイトハウスがシリア駐留米軍の撤収方法と時期を決めるため内部協議をしている」と明らかにした。その上で「ホワイトハウスは不必要だと判断される任務を維持することにこれ以上は投資しない計画」と軍撤収検討の背景を指摘した。
◇IS撃退するため駐留したが…
米国は2014年8月にISの復活を防ぐという名目で英国、フランス、ドイツなど西側9カ国と国際同盟軍を結成した。このため現在イラクに2500人、シリアに900人の3400人の米軍が駐留している。残りの国の兵力は数百人水準で事実上軍事作戦は米軍が主導する。
バイデン政権がイラクからの軍撤収カードを検討するのは、イスラエルとハマスの紛争が始まってから中東で米軍基地に対する攻撃が急激に増えたのと関連があるとの分析が出ている。今回の紛争後にイラクとシリアに駐留する米軍はイランの支援を受ける武装勢力から150回以上の攻撃を受けた。これに対し米軍も報復空爆に出るなど軍事作戦が急増した。
これに先立ち米軍は4日、イラクの首都バグダット東部の親イランのシーア派武装組織ハラカト・ヒズボラ・アルヌジャバの拠点をドローンで攻撃し、指導者を除去する作戦もした。これに対しイラク側は「事前に作戦を知らせず主権を侵害した。国際同盟軍のイラク駐留を永久中断するための措置を用意するだろう」と反発した。
現地住民の間でも反米感情が噴出し米軍撤収を要求するデモが広がるなど状況は悪化の一途をたどっている。このため「こうした衝突の激化が場合によってはイスラエルから始まった紛争を拡大しかねないという点からホワイトハウスが軍撤収を検討している」という見方も出ている。
◇テロで勢力拡大するIS
問題は軍撤収後だ。専門家らは「米軍が2021年にアフガニスタンから撤収した後に起きた状況がイラクとシリアでも再現されかねない」と懸念している。現地に駐留する米軍がISの勢力拡大を抑止している状況で米軍が離れればISが動き始めるのは明確だという理由からだ。
実際に国際同盟軍が駐留してからイラクではISが事実上壊滅しており、2014年当時には月平均850件に達したISの攻撃は昨年には月平均9件と急減した。シリアでも米軍が現地勢力のシリア民主軍(SDF)と協力してISの動きを防いでいる状態だ。
だがガザ地区での戦闘が長期化する状況でISのテロ攻撃が最近になり増加している。3日にイランでイラン革命防衛隊コッズ部隊ソレイマニ司令官の追悼式で自爆テロを起こして300人以上の死傷者が発生したのが代表的だ。ISは16日には組織員5000人が収監されているSDFの刑務所をロケット砲で攻撃し大規模な脱獄を試みた。
これと関連しリスター研究員は「ISは現地政権の無関心と、広大な砂漠では軍事的に容易に対応できない点を悪用して遅いながらも体系的に再建に乗り出している」と指摘した。その上で「米軍がアフガンから急いで撤収した時に起きた結果を見ると、米国大統領選挙が差し迫った状況でバイデン政権が軍撤収を考慮する理由は理解しがたい」と話した。
ガザでの戦闘とイエメンのフーシ派による紅海での船舶攻撃が続く状況でISまで復活する場合、中東情勢は手のほどこしようもなく不安定になるだろうという意味だ。すなわち米軍の軍撤収決定がバイデン氏の再選に悪影響を及ぼす可能性が高いというのが専門家らの分析だ。
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