芸術家兼演技者ジョン・ボナフェデさん
芸術家兼演技者ジョン・ボナフェデさんは、セルビア出身のパフォーマンスアーティストのマリーナ・アブラモヴィッチさんが2010年に開いたMoMA展示(Marina Abramovich:The Artist is Present)に参加する間、男性数人が自分の身体の重要部位を触ったが、美術館が「適切な是正措置」を取らなかったとして前日ニューヨーク州裁判所に訴訟を起こした。
当時、展示会は38人の演技者が骸骨の下に横になっていたり、40~50センチ間隔の通路に立って向き合ったりするパフォーマンスアートに観客が参加する形だった。
ボナフェデさんはこの展示で全裸で75分間全裸の女性と40~50センチ離れて向かい合って立っている作品『Imponderabilia』(1977)のパフォーマンスに参加した。この作品は、アブラモヴィッチさんが恋人だったウーライさんとともに1977年に初めて披露した行為芸術で、観覧客は全裸で立っている2人の間を入り込んで移動するように動線が組まれていた。
ボナフェデさんは、問題の観覧客がMoMA警備員が見え見えのところやカメラがパフォーマンスを録画している中でも、自分を触ったと主張した。
また、自分より先にこの仕事を引き受けた演技者が動かず立っていられなかったという理由で解雇されたので、現場の厳しい状況に「耐える」態度を求められたと感じたという。
ボナフェデさんは初めてこのようなことが起きた時は報告せずに見過ごしたが、2回目からは美術館の警備チームにこの事実を知らせたと話した。
ボナフェデさんは訴状で「このような性的接触の唯一の目的は原告を無視したり虐待したりしようとすること」とし、「数年間精神・感情的な苦痛を強いられ、精神健康、身体、イメージ、経歴などに相当な害を及ぼした」と主張した。
アルネット・ニュースによると、ボナフェデさんは訴状で「パフォーマンスを行う間、7回にわたって暴行があった」とし、「ある年齢の高い男性はこっそりと自分の足の間に手を伸ばし、しばらく止まって重要部位を触った」と明らかにした。
ボナフェデさんは知られていない金額の懲罰的損害賠償、弁護士選任費用などを請求した。
この訴訟は、2022年に一時法として制定された「ニューヨーク州成人サバイバー法」により提起された。成人サバイバー法(性犯罪被害者保護法)とは、公訴時効を越した性暴力被害者も訴訟を提起できるように定めた法だ。
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