「よく聞け。いま我々のチームにできていないことが２つある。何か分かるか。それはディフェンスとオフェンスだ」。

韓国国内スポーツ界で伝説のようになっている話だ。大学バスケットが人気を謳歌した１９７０－８０年代、高麗大のパク・ハン監督が試合中に選手を呼んでこのように作戦の指示をしたという内容だ。

一部は正しく、一部は違う。ところが、この内容の真偽はともかく、パク・ハン監督が率いた当時、高麗大バスケット部は常勝チームだった。ある意味、パク・ハン監督の「虚々実々リーダーシップ」を強調してこのような話が出てきたようだ。


アジアカップに出場したサッカー韓国代表チームを率いるユルゲン・クリンスマン監督を見ながら、パク・ハン監督のリーダーシップを思い出した。種目は異なるが、パク・ハンとクリンスマンのスタイルは似ている。詳細な作戦指示や選手管理はコーチに任せる。いい加減に見えるが、選手たちを信頼して大きな絵を描くスタイルだ。

ところがクリンスマンはなぜか不安だ。監督が選手と渾然一体になれず、別々という雰囲気が歴然としている。グラウンドでも記者会見の場でもそうだ。２０日のヨルダンとの第２戦を見てみよう。韓国は１－２とリードされ、終盤に相手のオウンゴールで同点に追いついた。弱体のヨルダンに敗れるところだったが、かろうじて引き分けた。サッカーファンは代表チームの無気力な試合に怒りを感じた。

ところがファンの怒りがピークに達するその瞬間、クリンスマン監督はヨルダンの監督とハーフライン付近で愛嬌よく微笑んで握手しながら長い対話をした。２－２の引き分けという結果に、お互い「よく頑張った」と美徳の言葉でも交わしたのだろうか。主将の孫興慜（ソン・フンミン）が「改善する部分が多い」と話した後、沈痛な表情でグラウンドを離れたのとは対照的だ。

ＦＷ趙圭誠（チョ・ギュソン）も俎上に載せられた。韓国が６４年ぶりの優勝に挑戦するアジアカップを控えてテレビの娯楽番組に出演し、非難を自ら招いた。ヘアバンドでおしゃれをする趙圭誠が何度か決定的なチャンスを逃すと、ファンは「髪を切れ」と集中砲火を浴びせた。

これがまさにサッカーだ。サッカーは国民の関心事であり、全世界の共通言語だ。第１戦で李康仁（イ・ガンイン）が２得点すると、翌日、パリ・サンジェルマンのファンが歓呼した。それだけ「揮発力」が強く「爆発力」が大きい。国全体が盛り上がった後、いつそうだったかと思うほど国民を悲嘆させるのがサッカーだ。２０２２カタールワールドカップ（Ｗ杯）で「英雄」に浮上した趙圭誠が今大会では「逆賊」に転落した姿だ。クリンスマン監督と趙圭誠の態度は、いくら良い見方をしようとしても国民の期待とは大きな差がある。


【コラム】サッカー韓国監督の無作戦放任サッカー（２）