ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）は「ビン・サルマン皇太子は１０年近いフーシ派との戦争で数十億ドルの軍事費用を支出して安保脅威に直面した」とし「サウジとしてはフーシ派を抑制するよりも地域内の平和のほうが重要」と分析した。ＦＰは「フーシに対する西側攻撃はサウジの思いとは正反対」とし「米国はむしろサウジにフーシ派との平和会談をしばらく中断するよう要求している」と伝えた。

フーシ派との葛藤が深まる場合、ビン・サルマン皇太子が推進している「ビジョン２０３０」プロジェクトが大きな打撃を受けることになるという懸念も大きい。ビン・サルマン皇太子は石油以外の産業でサウジを世界の経済中心地に変化させようとしている。このため紅海近隣にＮＥＯＭ　Ｃｉｔｙなどの新都市を建設して物流ハブや観光地などを作ろうと構想している。

米国に対する不信もサウジがフーシ派に沈黙する理由だ。米国はイエメン内戦の過程でサウジの支援の呼び掛けに応じなかった。かえって２０１９年サウジ内の製油施設はフーシ派のドローン攻撃を受けた。当時サウジは米国が自国の安保の責任を負ってくれないということを痛感した。


その後、サウジはフーシ派の背後にいたイランとの関係正常化に出て戦略を修正する。ロイター通信は「サウジはイランとの敵対関係の清算を通じてイエメン内戦から手を引いてフーシ派から自国の安全保障を守ろうとしている」と分析した。実際にフーシ派は紅海船舶攻撃を行いながらもサウジ領土には攻撃していない。

だが、ただフーシ派を傍観するばかりはできないという点がビン・サルマン皇太子の頭の中を複雑にしている。米国が繰り返しフーシ派を攻撃する場合、サウジやバーレーンなどにある米軍基地の攻撃に出る可能性があるからだ。しばらく中断していたイスラエルとの修交交渉をサウジが再開する場合、これを名分をみなしてフーシ派がサウジ本土を攻撃する可能性がある。

ここにフーシ派を支援するイランまでイラク・パキスタンなどを空襲して米国を刺激している。ＦＰは「紅海葛藤が深まる場合、サウジが推進してきたイエメン内戦平和交渉も決裂する可能性が高まる」として「時間が経つほど、サウジに有利なオプションが減っている」と評価した。

一方、イスラエルとサウジアラビア間の関係正常化はハマスとの戦争を終息させる核心要素であり、中東全体の局面を変える要素であると、イスラエルのヘルツォグ大統領が１８日、スイスのダボス世界経済フォーラム（ＷＥＦ）年次総会演説で述べた。ヘルツォグ大統領は「まだ微妙で、こわれやすく、時間が長くかかるかもしれないが、両国関係の正常化こそ実際により良い未来に向かって進むことができる機会だと考える」と述べた。


すでに巨額を費やしているのに…「フーシ派と戦ってほしい」という米国、頭が痛いサウジ皇太子（１）