韓日過去史解決策が乱気流の中に入る印象だ。韓国政府が第三者弁済を拒否する徴用被害者に弁済金を受け取れるようにするため裁判所に供託を試み、裁判所は被害者の不同意を理由に不受理決定を下した。受理されたとすれば該当の被害者が日本企業の差し押さえ資産を現金化する道がふさがれただろう。第三者弁済解決策の隙が現れた。この渦中に韓国大法院(最高裁)は日本企業の賠償を命じる判決を出し続けている。追加判決が続くだろう。彼らに対する弁済に向け追加財源が必要だが現在これを調達する案は不透明だ。一方、慰安婦問題に対しても裁判所は日本政府の主権免除を否定する判決を出した。このように韓国政府の政策と外れる動きが続き、これに対する世論の支持は相当にある。
当初大法院の徴用判決は国民的支持を受けており、韓国企業のお金で代わりに弁済しようという韓国政府の解決策は政治的に弱くなるほかなかった。さらには大法院判決を変更する第三者弁済案が政府の行政行為にすぎなかったため、法的にも弱かった。
もし当時政府が保守進歩の指導級の人たちを集めて協議し解決策を導出する政治的過程を経ていたならば世論の呼応度は違っただろう。事実大法院の判決のように世論の大きな支持を受ける事案を変更するには相応するレベルの汎社会的・超党派的政治過程を通じて世論を変えようとする努力をしなければならなかった。ちょうど進歩陣営でも文喜相(ムン・ヒサン)元国会議長らが第三者弁済と類似の解決策を提起したところだった。こうした政治過程を通じて第三者弁済を法制化するところまで進められたならば(文元議長は類似の法案を発議した)、法的弱点も補完されただろう。
もし日本側で初めから柔軟な呼応があったとすれば韓国の世論をなだめるのにつながっただろう。しかしそんなこともなかった。日本は徴用問題が韓国大法院の判決で始まったものであり韓国内で解決されれば良いと考える。日本は、徴用問題は1965年の韓日合意で終わったという立場から少しでも外れることはできないという姿勢だ。日本企業が資金を出しても被告企業は出すことができず、その資金も第三者弁済や徴用関連事業に使ってはならないという立場だ。法的整合性はあるかもしれないが、政治的には過度に硬直したアプローチだと考える。
韓国と日本の国内事情がこのような中で、韓国は韓日安保協力に対し前向きな立場に旋回し米国が主導するキャンプ・デービッド韓米日安保協力体制に参加した。その後韓日、韓米日安保協力が推進されているが、これに対して中国、北朝鮮、ロシアの反作用が激しい。過去史問題に対する否定的世論が韓日安保協力に対する否定的世論をあおりやすい環境だ。
このまま行けば、世論の支持という政治的基礎が弱い状態で建物を作りこれを増築していく形になりかねない。世論が過去史解決策と安保協力について行けない可能性もある。そうしているうちに政権が変わればこれまでの進展が無力化される恐れがある。韓日関係の未来を考えるならばこのような形の前進と後退は繰り返されてはならない。
こうした点から韓国政府がいまからでも野党と進歩世論と疎通し世論の支持基盤拡大を模索すれば良いだろう。政府はこれまで極めて政治的懸案を一人で行政的に扱ってきた。こうした処理方式を控え、政治的疎通過程を経て過去史問題と韓日安保協力を扱うことを望む。内容的にも今の過去史解決策に日本の追加的な呼応を確保する補完策を講じ、韓日安保協力を穏健に推進することを望む。キャンプ・デービッドは韓国外交の画期的な転機だったが、一般国民はこれに対し疎く、これを消化するのに時間と説明が必要だ。日本の呼応に対して説明しようとするなら、日本も韓国国内で現在のような状況が持続すれば韓日関係改善に逆行する気流が造成されかねないため、従来のアプローチに政治的アプローチを加味して徴用問題に柔軟性を見せることを望む。いまは日本が立ち上がって韓国政府を助ける時だ。
もちろん日本社会の保守化の雰囲気と岸田政権の低い支持率を考慮すると、日本政府が柔軟性を発揮しにくい環境なのは事実だ。それなら韓国が考えられる方法のひとつは米国の役割を求めることだ。これまで米国は日本に対し政治的柔軟性を勧めてきたが、この際強度を高めて勧めた方が良いだろう。
また別の方法は、韓日の民間が立ち上がって世論を喚起することだ。ちょうど韓国内にはこの方向に動いてきた複数の団体がある。韓日政府が民間の動きを応援し、両国の民間団体が力を合わせるならば役に立つだろう。
要するに現在の韓国内の関連動向は懸念の対象であり、各方面の政治的柔軟性が必要だ。みんなが気乗りしなくても柔軟な歩みを積極的に考慮してこそ過去史と韓日安保協力間の微妙な関数関係を解き、持続可能な韓日関係改善を期すことができる。
魏聖洛(ウィ・ソンラク)/元韓半島平和交渉本部長、リセットコリア外交安保分科長
当初大法院の徴用判決は国民的支持を受けており、韓国企業のお金で代わりに弁済しようという韓国政府の解決策は政治的に弱くなるほかなかった。さらには大法院判決を変更する第三者弁済案が政府の行政行為にすぎなかったため、法的にも弱かった。
もし当時政府が保守進歩の指導級の人たちを集めて協議し解決策を導出する政治的過程を経ていたならば世論の呼応度は違っただろう。事実大法院の判決のように世論の大きな支持を受ける事案を変更するには相応するレベルの汎社会的・超党派的政治過程を通じて世論を変えようとする努力をしなければならなかった。ちょうど進歩陣営でも文喜相(ムン・ヒサン)元国会議長らが第三者弁済と類似の解決策を提起したところだった。こうした政治過程を通じて第三者弁済を法制化するところまで進められたならば(文元議長は類似の法案を発議した)、法的弱点も補完されただろう。
もし日本側で初めから柔軟な呼応があったとすれば韓国の世論をなだめるのにつながっただろう。しかしそんなこともなかった。日本は徴用問題が韓国大法院の判決で始まったものであり韓国内で解決されれば良いと考える。日本は、徴用問題は1965年の韓日合意で終わったという立場から少しでも外れることはできないという姿勢だ。日本企業が資金を出しても被告企業は出すことができず、その資金も第三者弁済や徴用関連事業に使ってはならないという立場だ。法的整合性はあるかもしれないが、政治的には過度に硬直したアプローチだと考える。
韓国と日本の国内事情がこのような中で、韓国は韓日安保協力に対し前向きな立場に旋回し米国が主導するキャンプ・デービッド韓米日安保協力体制に参加した。その後韓日、韓米日安保協力が推進されているが、これに対して中国、北朝鮮、ロシアの反作用が激しい。過去史問題に対する否定的世論が韓日安保協力に対する否定的世論をあおりやすい環境だ。
このまま行けば、世論の支持という政治的基礎が弱い状態で建物を作りこれを増築していく形になりかねない。世論が過去史解決策と安保協力について行けない可能性もある。そうしているうちに政権が変わればこれまでの進展が無力化される恐れがある。韓日関係の未来を考えるならばこのような形の前進と後退は繰り返されてはならない。
こうした点から韓国政府がいまからでも野党と進歩世論と疎通し世論の支持基盤拡大を模索すれば良いだろう。政府はこれまで極めて政治的懸案を一人で行政的に扱ってきた。こうした処理方式を控え、政治的疎通過程を経て過去史問題と韓日安保協力を扱うことを望む。内容的にも今の過去史解決策に日本の追加的な呼応を確保する補完策を講じ、韓日安保協力を穏健に推進することを望む。キャンプ・デービッドは韓国外交の画期的な転機だったが、一般国民はこれに対し疎く、これを消化するのに時間と説明が必要だ。日本の呼応に対して説明しようとするなら、日本も韓国国内で現在のような状況が持続すれば韓日関係改善に逆行する気流が造成されかねないため、従来のアプローチに政治的アプローチを加味して徴用問題に柔軟性を見せることを望む。いまは日本が立ち上がって韓国政府を助ける時だ。
もちろん日本社会の保守化の雰囲気と岸田政権の低い支持率を考慮すると、日本政府が柔軟性を発揮しにくい環境なのは事実だ。それなら韓国が考えられる方法のひとつは米国の役割を求めることだ。これまで米国は日本に対し政治的柔軟性を勧めてきたが、この際強度を高めて勧めた方が良いだろう。
また別の方法は、韓日の民間が立ち上がって世論を喚起することだ。ちょうど韓国内にはこの方向に動いてきた複数の団体がある。韓日政府が民間の動きを応援し、両国の民間団体が力を合わせるならば役に立つだろう。
要するに現在の韓国内の関連動向は懸念の対象であり、各方面の政治的柔軟性が必要だ。みんなが気乗りしなくても柔軟な歩みを積極的に考慮してこそ過去史と韓日安保協力間の微妙な関数関係を解き、持続可能な韓日関係改善を期すことができる。
魏聖洛(ウィ・ソンラク)/元韓半島平和交渉本部長、リセットコリア外交安保分科長
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