米ホワイトハウスが10日、北朝鮮とパレスチナのイスラム組織ハマスとの軍事協力に対し、「いかなる兆候も把握できなかった」と明らかにした。ハマスが北朝鮮製武器を使っている状況を把握したという韓国国家情報院の説明と微妙な温度差があると指摘される。
◇ホワイトハウスと国家情報院の説明に温度差
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官はこの日の会見で、北朝鮮がハマスに武器を提供しているという疑惑に対する質問を受けると「北朝鮮とハマスの間である種の軍事協力が進行しているといういかなる兆候も知らない」と答えた。
これに先立ち国家情報院は8日、ハマスが使ったF7ロケットの信管部品が北朝鮮製とみられるという米政府系ラジオのボイス・オブ・アメリカ(VOA)の報道に対し「同一に判断する」と明らかにした。その上で「F7ロケットの中間部分」としながらハングルの表示がある信管の写真を追加で公開した。
当時国家情報院は「北朝鮮がハマスなどを対象に武器を提供した規模と時期に関し具体的な証拠を収集・蓄積している」としながらも、「現在では情報源保護と外交関係を考慮して提供し難い」と明らかにした。
国家情報院は昨年11月にも国会情報委員会に「金正恩(キム・ジョンウン)が最近パレスチナを包括的に支援する方策を探せと指示した状況をとらえた」と報告したと情報委員会「国民の力」幹事のユ・サンボム議員が伝えた。当時国家情報院は「北朝鮮がイスラエルとハマスの戦争を多角的に活用しようと企図しているものと把握している」ともした。
◇北朝鮮とロシアには積極的…北朝鮮とハマスには慎重
国家情報院の動向把握と違いホワイトハウスは多少留保的判断をしているとみられる。特に北朝鮮とロシアの武器取引と関連しては衛星写真などの証拠まで積極的に公開して批判したのと違い、北朝鮮とハマスの軍事協力については慎重な姿だ。
これに対し「決定的証拠」の有無が影響を及ぼしているという指摘が出ている。北朝鮮とロシアは首脳が会って武器取引を約束し、砲弾と軍需品を積んだ船がはばかることなく港湾を行き来したのに対し、北朝鮮とハマスの間では最近直接取引に出た状況がみつかっていないためかもしれないということだ。
実際に北朝鮮製武器は洗濯でもするようにほとんどが「違法武器のハブ」であるイランを経てハマスに行ったりハマスの支援勢力であるレバノンの親イラン武装勢力ヒズボラの手に渡ると推定される。峨山(アサン)経済政策研究院のコ・ミョンヒョン選任研究委員は「ホワイトハウスの説明は北朝鮮の責任がないという意味でない。ただ北朝鮮とハマスの軍事協力と関連してはイランとの関係、中東での戦争拡大の可能性などを複合的に考慮しなければならないため慎重な立場を取るとみられる」と話した。
峨山政策研究院のヤン・ウク研究委員もまた「北朝鮮とハマスの直接取引の有無に対しホワイトハウスはより慎重にアプローチするとみられる。また、ウクライナ戦争と違いイスラエルとハマスの戦争においては北朝鮮の支援が戦争の構図に影響を及ぼすほど決定的ではないと判断できる」と話した。
梨花(イファ)女子大学北朝鮮学科のパク・ウォンゴン教授も「ハマスの手に渡った北朝鮮の武器はほとんどがイランを経由して行くだろう」と分析した。
◇異例の情報公開の懸念も
ただ昨年11月26日から1カ月以上にわたり国家情報院長のポストの空白が続く中で国家情報院の異例の情報公開が続いており適切性をめぐる議論もある。一例として国家情報院は先月28日に報道資料を出し「金正恩が最近最側近に『来年初め韓国に大きな波紋を起こす案をまとめよ』と指示した」と公開した。
国家情報院が収集した情報をメディアに報道資料で公開すること自体が異例だった。その上この情報公開は十分な関係官庁間協議もされずに行われたという。
今回も北朝鮮とハマスの軍事協力と関連しホワイトハウスと国家情報院が微妙な足並みの乱れが演出されたが、国家情報院自ら「外交関係」考慮の必要性まで言及した時は関係国との事前調整にさらに注意を傾けなければならないのではないかとの指摘も出る。
◇「ウクライナを模擬試験場に」
一方、韓国政府は北朝鮮とロシアの武器取引に対し懸念の声を高めている。黄浚局(ファン・ジュングク)国連大使は10日、国連安全保障理事会のウクライナ戦争関連の公開会議で「北朝鮮はロシアにミサイルを輸出しウクライナを核ミサイル試験場として使っている」と話した。続けて「(北朝鮮が提供した)ミサイルのひとつは460キロメートル飛行したが、これは北朝鮮のミサイル発射場がある元山(ウォンサン)と釜山(プサン)の距離と一致する。韓国の立場ではこれを北朝鮮の模擬攻撃と受け止めるほかない」と指摘した。
黄大使はまた、この日「悪人が勝利するための唯一の条件は善良な者が何もしないこと」という英国の政治家エドマンド・バークの発言を引用し、北朝鮮の挑発の前に無力な安保理の現実を批判した。
◇ホワイトハウスと国家情報院の説明に温度差
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官はこの日の会見で、北朝鮮がハマスに武器を提供しているという疑惑に対する質問を受けると「北朝鮮とハマスの間である種の軍事協力が進行しているといういかなる兆候も知らない」と答えた。
これに先立ち国家情報院は8日、ハマスが使ったF7ロケットの信管部品が北朝鮮製とみられるという米政府系ラジオのボイス・オブ・アメリカ(VOA)の報道に対し「同一に判断する」と明らかにした。その上で「F7ロケットの中間部分」としながらハングルの表示がある信管の写真を追加で公開した。
当時国家情報院は「北朝鮮がハマスなどを対象に武器を提供した規模と時期に関し具体的な証拠を収集・蓄積している」としながらも、「現在では情報源保護と外交関係を考慮して提供し難い」と明らかにした。
国家情報院は昨年11月にも国会情報委員会に「金正恩(キム・ジョンウン)が最近パレスチナを包括的に支援する方策を探せと指示した状況をとらえた」と報告したと情報委員会「国民の力」幹事のユ・サンボム議員が伝えた。当時国家情報院は「北朝鮮がイスラエルとハマスの戦争を多角的に活用しようと企図しているものと把握している」ともした。
◇北朝鮮とロシアには積極的…北朝鮮とハマスには慎重
国家情報院の動向把握と違いホワイトハウスは多少留保的判断をしているとみられる。特に北朝鮮とロシアの武器取引と関連しては衛星写真などの証拠まで積極的に公開して批判したのと違い、北朝鮮とハマスの軍事協力については慎重な姿だ。
これに対し「決定的証拠」の有無が影響を及ぼしているという指摘が出ている。北朝鮮とロシアは首脳が会って武器取引を約束し、砲弾と軍需品を積んだ船がはばかることなく港湾を行き来したのに対し、北朝鮮とハマスの間では最近直接取引に出た状況がみつかっていないためかもしれないということだ。
実際に北朝鮮製武器は洗濯でもするようにほとんどが「違法武器のハブ」であるイランを経てハマスに行ったりハマスの支援勢力であるレバノンの親イラン武装勢力ヒズボラの手に渡ると推定される。峨山(アサン)経済政策研究院のコ・ミョンヒョン選任研究委員は「ホワイトハウスの説明は北朝鮮の責任がないという意味でない。ただ北朝鮮とハマスの軍事協力と関連してはイランとの関係、中東での戦争拡大の可能性などを複合的に考慮しなければならないため慎重な立場を取るとみられる」と話した。
峨山政策研究院のヤン・ウク研究委員もまた「北朝鮮とハマスの直接取引の有無に対しホワイトハウスはより慎重にアプローチするとみられる。また、ウクライナ戦争と違いイスラエルとハマスの戦争においては北朝鮮の支援が戦争の構図に影響を及ぼすほど決定的ではないと判断できる」と話した。
梨花(イファ)女子大学北朝鮮学科のパク・ウォンゴン教授も「ハマスの手に渡った北朝鮮の武器はほとんどがイランを経由して行くだろう」と分析した。
◇異例の情報公開の懸念も
ただ昨年11月26日から1カ月以上にわたり国家情報院長のポストの空白が続く中で国家情報院の異例の情報公開が続いており適切性をめぐる議論もある。一例として国家情報院は先月28日に報道資料を出し「金正恩が最近最側近に『来年初め韓国に大きな波紋を起こす案をまとめよ』と指示した」と公開した。
国家情報院が収集した情報をメディアに報道資料で公開すること自体が異例だった。その上この情報公開は十分な関係官庁間協議もされずに行われたという。
今回も北朝鮮とハマスの軍事協力と関連しホワイトハウスと国家情報院が微妙な足並みの乱れが演出されたが、国家情報院自ら「外交関係」考慮の必要性まで言及した時は関係国との事前調整にさらに注意を傾けなければならないのではないかとの指摘も出る。
◇「ウクライナを模擬試験場に」
一方、韓国政府は北朝鮮とロシアの武器取引に対し懸念の声を高めている。黄浚局(ファン・ジュングク)国連大使は10日、国連安全保障理事会のウクライナ戦争関連の公開会議で「北朝鮮はロシアにミサイルを輸出しウクライナを核ミサイル試験場として使っている」と話した。続けて「(北朝鮮が提供した)ミサイルのひとつは460キロメートル飛行したが、これは北朝鮮のミサイル発射場がある元山(ウォンサン)と釜山(プサン)の距離と一致する。韓国の立場ではこれを北朝鮮の模擬攻撃と受け止めるほかない」と指摘した。
黄大使はまた、この日「悪人が勝利するための唯一の条件は善良な者が何もしないこと」という英国の政治家エドマンド・バークの発言を引用し、北朝鮮の挑発の前に無力な安保理の現実を批判した。
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