CES2024で現代自動車グループのスーパーナルが公開した次世代AAMの「SA-2」。[写真 現代自動車グループ]
この日開幕したCES2024でスーパーナルが独自開発した次世代機体「S-A2」の実物模型を初めて公開した。スーパーナルは現代自動車グループの未来航空モビリティ(AAM)事業を担当する米国法人だ。
S-A2は現代自動車グループが2028年の商用化を目標に開発を進めている垂直離着陸機(eVTOL)だ。2020年のCESで現代自動車グループが初めてコンセプトモデルのS-A1を提示してから4年ぶりに新バージョンを公開した。AAMに対する高い関心を反映するように、この日の会場には内外信記者と業界関係者ら600人以上が集まった。
発表者として出たスーパーナルの申宰元(シン・ジェウォン)最高経営責任者(CEO)は「交通渋滞で動けない道に1時間も閉じ込められることなくわずか数分で都心内を移動したいという想像が現実になるだろう」と暗示した。彼は「これまでになかった機体を開発しなければならない点がかなり難しかった」としながらも、「今回の新規機体公開は未来モビリティのパラダイムシフトを先導するというスーパーナルと現代自動車グループの意志」と話した。
S-A2は全長10メートル、全幅15メートルで、操縦士を含め5人が搭乗できる、8個のローター(回転翼)が装着された。目に付くのはティルトローター推進方式だ。翼が上下に90度可動し、水平だけでなく垂直移動も自由で、AAMの推進方式のうち最も革新的な技術に挙げられる。特に8個のローターのうち前方の4個は上に、後方の4個は下へ折れる構造はスーパーナルが業界で初めて導入した。
スーパーナルは現在S-A2が最大高度400~500メートルで時速200キロメートルの速度で飛行することを目標に開発中だ。商用化する場合、都心内の約60キロメートルの距離を飛行することになる。
核心は安全だ。スーパーナルは商用航空機水準の安全基準を満たすと明らかにした。同社のベン・ディアチュン最高技術管理者(CTO)は、「S-A2は100個以上のデザインアイデアを検討して勝ち抜いた総合的な工学分析の産物。安全を最優先目標に研究開発を持続している」と説明した。
スーパーナルとヒョンデのグローバルデザイン本部が協力して作った洗練されたデザインも際立て見える。グローバルデザイン本部のドンカーボルケ本部長(社長)は「内外観スタイリングをしながら装飾的要素を最小化し空気力学性能を考慮して躍動的形状を取り入れた」と話した。垂直離着陸機の都心内運航時の懸念事項に挙げられる騒音も食器洗浄器水準の45~65デシベルまで低くしたと紹介した。
スーパーナルはAAMの商用化に向け現代自動車グループと全方向的に協力するという構想だ。申社長は「ヒョンデの電気自動車開発能力と自動化生産技術、独歩的な大量生産能力などを活用して価格競争力を確保するだろう」と話した。また「機体だけ作れば市場が開かれるものではないため米国政府と韓国政府だけでなくさまざまな投資家、パートナーとも緊密に協力中」と付け加えた。ただし現在の検討中である路線でも具体的な工場敷地などがあるのではないという。
スーパーナルは今回のCES期間中にラスベガス・コンベンションセンター外部に実物大のバーティポート(垂直離着陸機飛行場)を連想させるブースを設けた。大型LEDスクリーンを背景にしたシミュレーション体験などを通じてAAMの魅力を最大限経験できるようにする計画だ。
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