イラン当局がヒジャブ着用を拒否した女性に７４回の鞭打ち刑を執行し、罰金も科した。

７日（現地時間）のＡＦＰ通信、英テレグラフなどによると、イラン裁判所は前日にウェブサイトを通じて「公共場所でヒジャブを着用せず公衆道徳を違反した今年３３歳の女ロヤ・ヘシュマティに法とイスラム法シャリーアに基づき７４回の鞭打ち刑を執行した」と明らかにした。１２００万リヤル（約３６００円）の罰金も科したという。

ヘシュマティさんの弁護士マジアル・タタイ氏は改革性向のメディア「シャルグ」に「ヘシュマティさんは４月、ＳＮＳにヒジャブを着用していない写真を載せたという理由で当局に逮捕された」と説明した。ヘシュマティさんは逮捕から１１日間拘禁された後、釈放された。


現地メディアによると、イランの裁判所は当初、ヘシュマティさんに懲役１３年９カ月と鞭打ち刑７４回、罰金刑を言い渡した。ヘシュマティさん側が控訴し、テヘランの裁判所で懲役刑は取り消しになったが、鞭打ち刑と罰金刑は１審判決が維持されたと、現地メディアは伝えた。ＡＦＰ通信は「イラン当局がヒジャブを着用しなかったという理由で女性を鞭打ち刑にしたのは異例」と伝えた。

３日に鞭打ち刑が執行された後、ヘシュマティさんはＳＮＳで当時の状況を伝えた。ヘシュマティさんは「判事は『強く打つな』と話したが、ある男は私の肩と背中・尻・顔・脚を強く鞭で打った」とし「あたかも中世の拷問室のようだった」と吐露した。ヘシュマティさんは鞭打ち刑を受ける間にもヒジャブを着用しなかった明らかにした。ＳＮＳ上ではヒジャブ着用を拒否したヘシュマティさんと連帯しようという動きが表れている。

イランは１９７９年のイスラム革命以降、すべての女性のヒジャブ着用義務を法制化した。２０２２年にヒジャブ着用を拒否して疑問死したクルド系女性マフサ・アミニさん（当時２２歳）の事件でヒジャブ反対デモが強まって以降、イラン当局は取り締まりを強化している。

一例として、公共場所でヒジャブを着用しない女性を処罰するため監視カメラを設置し、こうした女性を客として受け入れた飲食店・商店を営業停止処分とした。またイラン議会はヒジャブ着用拒否に対する処罰を強化する法案を進めている。

こうした中、ヒジャブデモで女性の人権問題が話題になっているイランでは３月に総選挙が行われる。総選挙の結果に女性のヒジャブ着用を強制する原理主義イスラム政権が影響を受けるかが注目されると、海外メディアは伝えている。