◆ロシア軍は強化、西側の支援は減少
半面、ロシア軍の状況は昨年よりも良くなっているという分析が出ている。昨年9月の部分動員令以降、兵力は安定している。ロシア側は「開戦以降、軍人65万人を投入した」と明らかにした。米国はこのうち半分の31万5000人を死傷者と推算した。
武器事情も改善した。西側の強力な経済制裁にもかかわらず、昨年と比べて戦車(5.6倍)、ドローン(16.8倍)、弾薬(17.5倍)など主要武器の生産量が大きく増え、北朝鮮とイランなどから砲弾・ドローンの供給を受けている。
リチャード・バロンズ元英合同軍司令官は「ウクライナ軍が特に挫折感が大きい理由は、今年の戦闘の成果が良くなかったうえ、ロシア軍が改善していく姿を見たため」と指摘した。
ウクライナをさらに挫折させたのは、イスラエルで戦争が始まって以降、米国や欧州連合(EU)など西側の支援に支障が生じているからだ。米国では共和党の反対で614億ドル(約8兆7400億円)規模のウクライナ支援予算が含まれた予算案交渉が来年に延びた。ゼレンスキー大統領は今月中旬、支援を訴えるために訪米したが、昨年とは違って「歓迎」はなかった。EUがウクライナに支援しようとした500億ユーロ(約7兆8500億円)規模の支援予算も14日、加盟国ハンガリーの反対で実現しなかった。
独キール世界経済研究所の調査によると、8-10月のウクライナ支援は前年同期比で約90%減少した。研究所は「ウクライナに対する西側の支援が鈍くなっている」とし「EUの最大支援が最終承認されず米国の支援も減少していてウクライナは不確かな状態にあり、プーチン大統領の立場は良くなっている」と分析した。
◆ウクライナ首脳部に不和説
こうした中、ウクライナでは内紛の様相まで表れている。ゼレンスキー大統領とザルジニー総司令官の間に葛藤が生じている。ゼレンスキー大統領が腐敗清算レベルで全国各地の兵務庁長を全員解任し、戦況膠着状況でも「無条件勝利」を強調すると、ザルジニー総司令官が公開的に不満を表した。
国防省の腐敗も相次いで暴露された。ウクライナ保安局(SBU)は22日、砲弾購買契約に関連して15億フリヴニャ(約57億円)を横領した容疑で国防省の高官を拘禁した。これに先立ち1月には国防省が食料を高い価格で購入したという疑惑があった。
軍首脳部との葛藤の中、ゼレンスキー大統領は来年3月に予定された大統領選挙の延期を提案した。しかし国内の反発だけでなく、EU加盟国の間でも民主的正当性に疑問を提起する声が出ている状況だ。
半面、プーチン大統領は5回目の大統領選挙出馬を公式化し、2030年まで執権するための世論形成に取り組んでいる。戦争を終わらせる考えも示唆した。ニューヨークタイムズ(NYT)は23日、「プーチン大統領がウクライナと休戦する用意があるという信号を静かに送っている」と報じた。
NYTはロシアの元・現官僚を引用し、「プーチン大統領は、ウクライナの反攻の動きが失敗して世論が悪化し、西側の支援の意志も弱まった現状況が休戦する最適期と判断したとみられる」と伝えた。ただ、一部では「プーチン大統領がウクライナに対する西側の支援を引き続き遅延させるために休戦信号を送っている」(ISW)という分析もある。
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半面、ロシア軍の状況は昨年よりも良くなっているという分析が出ている。昨年9月の部分動員令以降、兵力は安定している。ロシア側は「開戦以降、軍人65万人を投入した」と明らかにした。米国はこのうち半分の31万5000人を死傷者と推算した。
武器事情も改善した。西側の強力な経済制裁にもかかわらず、昨年と比べて戦車(5.6倍)、ドローン(16.8倍)、弾薬(17.5倍)など主要武器の生産量が大きく増え、北朝鮮とイランなどから砲弾・ドローンの供給を受けている。
リチャード・バロンズ元英合同軍司令官は「ウクライナ軍が特に挫折感が大きい理由は、今年の戦闘の成果が良くなかったうえ、ロシア軍が改善していく姿を見たため」と指摘した。
ウクライナをさらに挫折させたのは、イスラエルで戦争が始まって以降、米国や欧州連合(EU)など西側の支援に支障が生じているからだ。米国では共和党の反対で614億ドル(約8兆7400億円)規模のウクライナ支援予算が含まれた予算案交渉が来年に延びた。ゼレンスキー大統領は今月中旬、支援を訴えるために訪米したが、昨年とは違って「歓迎」はなかった。EUがウクライナに支援しようとした500億ユーロ(約7兆8500億円)規模の支援予算も14日、加盟国ハンガリーの反対で実現しなかった。
独キール世界経済研究所の調査によると、8-10月のウクライナ支援は前年同期比で約90%減少した。研究所は「ウクライナに対する西側の支援が鈍くなっている」とし「EUの最大支援が最終承認されず米国の支援も減少していてウクライナは不確かな状態にあり、プーチン大統領の立場は良くなっている」と分析した。
◆ウクライナ首脳部に不和説
こうした中、ウクライナでは内紛の様相まで表れている。ゼレンスキー大統領とザルジニー総司令官の間に葛藤が生じている。ゼレンスキー大統領が腐敗清算レベルで全国各地の兵務庁長を全員解任し、戦況膠着状況でも「無条件勝利」を強調すると、ザルジニー総司令官が公開的に不満を表した。
国防省の腐敗も相次いで暴露された。ウクライナ保安局(SBU)は22日、砲弾購買契約に関連して15億フリヴニャ(約57億円)を横領した容疑で国防省の高官を拘禁した。これに先立ち1月には国防省が食料を高い価格で購入したという疑惑があった。
軍首脳部との葛藤の中、ゼレンスキー大統領は来年3月に予定された大統領選挙の延期を提案した。しかし国内の反発だけでなく、EU加盟国の間でも民主的正当性に疑問を提起する声が出ている状況だ。
半面、プーチン大統領は5回目の大統領選挙出馬を公式化し、2030年まで執権するための世論形成に取り組んでいる。戦争を終わらせる考えも示唆した。ニューヨークタイムズ(NYT)は23日、「プーチン大統領がウクライナと休戦する用意があるという信号を静かに送っている」と報じた。
NYTはロシアの元・現官僚を引用し、「プーチン大統領は、ウクライナの反攻の動きが失敗して世論が悪化し、西側の支援の意志も弱まった現状況が休戦する最適期と判断したとみられる」と伝えた。ただ、一部では「プーチン大統領がウクライナに対する西側の支援を引き続き遅延させるために休戦信号を送っている」(ISW)という分析もある。
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