大谷が１５歳の時「マンダラート」計画表を作成したことはよく知られている。彼はこの計画表を作りながら目標達成のための細かな実践課題までぎっしりと記入した。（マンダラートは１９７０年代に日本の経営研究所が考案した習慣管理表。この計画表が仏教の曼荼羅の形に似ているためマンダラートと呼ばれる）。

大谷は体力・精神力と共に「人間性」「運」も目標達成のための８項目の一つと考えた。実力も重要だが、幸運が伴ってこそ目標を達成することができるという事実を、大谷は１５歳の時にすでに悟った。普通の少年なら反抗期がピークに達する年齢だが、成功を目標にこうした細かな点までも管理した。すなわち、大谷は人の「運」までもコントロールできると信じた。

幸運を呼ぶにはどうすればよいのか。大谷が出した結論は教室の清掃に率先し、どこに行ってもゴミを拾うということだった。あいさつをして前向きな思考をするのも運を呼ぶための彼の戦略だった。このような求道者のような生活が身についた人に麻薬や飲酒・喫煙が入り込む余地はない。ＬＡドジャースがスポーツ史上最高の金額を出そうと財布を開いたのも、私生活リスクが「ゼロ」の大谷の姿勢を高く評価したからだ。


ところが天下の大谷も一人ではできないことがある。それはチームの優勝だ。最近の本『ポルシェに乗る、大谷のように』（イ・ジェイク著）に出てくる言葉が目を引く。

「最高の選手として君臨したマイク・トラウトと野球史上最も偉大な選手の大谷は２０１８年から同じチームでプレーしている。ところがこのように優秀な選手２人がいても所属チームのＬＡエンゼルスはポストシーズンに進んだことがなかった。野球は選手一人一人よりもチーム依存度が高いスポーツだ。この点で野球と人生はよく似ている。いくら優秀な人も一人でできることは極めて少ない。これほどありふれている愛も、争いも、チキン店も一人ではできない」。

チョン・ジェウォン／文化スポーツディレクター


【コラム】「環境美化員」大谷（１）