イスラエルとハマスの戦争が始まってから米国社会の世論がイスラエル支持とパレスチナ支持に分裂する中、ユダヤ系米国人の間でも顕著な立場の違いによる対立がもたらされている。ユダヤ系高齢層の多くがイスラエルを擁護するのに対し、若い層では批判的な見方を示すケースが多いためだ。

ウォール・ストリート・ジャーナルは１７日、ケンタッキー州レキシントンで３代が一緒に暮らすユダヤ系米国人家族を通じイスラエルとハマスの戦争後に拡大している世代間の見解差に注目する企画記事を報道した。同紙によると、エルサレムのラビ学校出身のデビッド・ウィルシャフターさん（５３）の娘エマヌエル・シッピーさん（２０）はこの数年間イスラエルが人権を侵害するアパルトヘイト（人種差別）の国と信じるようになったという。

プリンストン大学で「ユダヤ人進歩主義者連合」を率いるシッピーさんは、イスラエルのガザ地区地上戦が本格化してからこうした考えが固まり、最近の停戦要求集会などにも積極的に参加している。


彼女の兄ザカリア・シッピーさん（２３）は反イスラエル性向がより濃厚だ。ザカリアさんは「多くのユダヤ系の人たちが疎外されているのは驚くことではない。イスラエル政府は着実に右傾化している」と同紙に話した。

これに対しエマヌエルさんとザカリアさんの祖母キャロル・ウィルシャフターさん（８６）はシオン主義者を自任する。キャロルさんはイスラエルをアパルトヘイトの国と考えるエマヌエルさんに「孫娘がイスラエルを捨てたようだ。それが私を悲しくさせる」と打ち明けた。

キャロルさんと夫のジョナサン・ウィルシャフターさんは１９７３年にエルサレムで第３次中東戦争を直接体験した。シオン主義家庭出身で神経眼科医だったジョナサンさんは戦争中に負傷者を治療した。戦争で子どもたちの教師２人が犠牲になったという。当時の経験を通じてシオン主義者になったと明らかにしたキャロルさんは米国に移住してからホロコースト生存者インタビューに志願して自身のアイデンティティを再確認した。

シオニストの母親とイスラエルに批判的な娘の間にうるデビッドさんは自身を「進歩的なシオン主義者」と話す。デビッドさんは進歩的性向が強いカリフォルニアのバークレーで育ったシャナ・シッピーさん（５２）と結婚し、彼が通ったユダヤ人学校も進歩的なシオニストの学風を持っていた。彼ら夫婦はユダヤ人の社会正義追求概念「ティクン・オラム」を堅く信じているという。ユダヤ口伝律法書に記録されたティクン・オラムは「世界の修復」という意味で社会正義と責任意識を含んでいる。

夫婦は娘エマヌエルさん、息子ザカリアさんにもこうした信念を教え、批判的に考え声を出すよう激励してきた。デビッドさんは「あらゆる政治的問題をめぐる娘の意見に同意はしない。現在の（中東）危機状況をめぐっても同じ」としながらも、「だが彼女が自分の信じるものを支持するのは本当に誇らしい」と話した。

同紙は「イスラエルとハマスの戦争は３代にわたるこの家族にユダヤ人の国と関連した複雑な問題を投げかけた。（この家族だけでなく）米国と世界のユダヤ人家族は同様の質問と取り組んでいる。一部は猛烈に分裂している」と伝えた。高齢層のユダヤ人はイスラエルが生存に対する脅威から自国を防衛する権利があると主張するのに対し、一部の若い層のユダヤ人はイスラエルがパレスチナを２等国にして敵対感を作る強大国だとして批判する。

ネブラスカ大学リンカーン校の大学院に在学中のジェイミー・エロウスキーさん（３３）はハマスの攻撃を擁護してはいないがパレスチナの人々が受けてきた残酷な被害が累積した結果という趣旨の文をソーシャルメディアに上げ続けて炎上した。

イスラエルと米国の家族や親戚のうち一部が彼女を「自己嫌悪ユダヤ人」「反逆者」と呼び叱責したという。エロウスキーさんの両親すら２週間にわたり娘との対話を拒否した。エロウスキーさんは「心が非常に痛かった」と同紙に話した。

イスラエルとハマスの戦争に対する高齢層と若年層の間の溝はユダヤ系だけでなく米国社会全般で感知される。同紙が先月２９日から４日まで米国の有権者１５００人を調査した結果、イスラエルとパレスチナの紛争と関連しどちらの主張により共感するかとの質問に６５歳以上の高齢層ではイスラエルを挙げた側が５３％で圧倒的に多く、パレスチナは６％だった。これに対し１８～３４歳の回答者はイスラエルを選んだ人が３１％で、パレスチナを挙げた割合は２３％と相対的に高かった。