◇「無主空山」ロシア自動車市場を掌握した中国
中国はイスラエル戦争以前に発生したウクライナ戦争では経済的利益を享受していた。代表的分野が自動車だ。中国自動車メーカー協会(CAAM)によると、中国自動車メーカーは1~10月に約390万台の車両を輸出した。前年同期比約60%増となる。
特にロシアと欧州市場の活況が実績増加に影響を及ぼした。ロシアでは米国とEUが主導した経済制裁によってグローバル企業が撤収して「無主空山」、すなわち主要ライバルいなくなった市場を掌握した。欧州ビジネス協会(AEB)によると、今年9月基準でロシア市場の自動車ブランド別シェアで中国製の車両は25.8%で輸入ブランドのうち圧倒的1位だった。輸入車は起亜(1.4%)とシュコダ(0.1%)を除くとすべて中国ブランドだ。
◇補助金削減で…低価格の中国電気自動車(EV)が欧州攻略
欧州では中国製EVに対する販売が大きく伸びた。ドイツ調査機関「シュミット・オートモーティブ・リサーチ」によると、1~9月の中国製EVの欧州販売規模は40万台余りで欧州内EV新車販売規模の30%を占めた。
ここでもウクライナ戦争が影響を及ぼした。EUと英国が2035年から内燃機関の新車販売を全面的に禁止することにして欧州内のEV需要は高まったが、戦争以降、各国では費用負担を理由にEV補助金削減に踏み切っている。ドイツは今年、価格が4万ユーロ(約620万円)のEVを購入する時の補助金を6000ユーロから4500ユーロに削減した。英国は補助金をなくした。これに対して欧州製よりも相対的に20%以上価格が安い中国製EVの人気がEU内で高まった。
◇イスラエル戦争に中国サプライチェーン問題も重なり…
だが、イスラエル戦争で中国自動車業界は物流費用の急騰という変数に遭遇することになった。中国は欧州に輸出する際、インド洋や紅海、スエズ運河を経る最短距離のルートに依存してきた。ロシア輸出も極東沿海州以外にモスクワに近い黒海ノボロシスク港に向かうスエズ運河路線も主要ルートの一つとして活用している。
この過程で利用した海運会社がイスラエルの「Ray Car Carriers」だ。フーシ反乱軍の攻撃標的になることは明らかなイスラエルの海運会社だが、2021年11月基準で全世界物流量の9%を担う同社に代わるところを見つけるのは容易なことではない。中国企業が泣く泣く喜望峰ルートを選んだ理由だ。財新は「半導体制裁やコロナ禍などでグローバル・サプライチェーン(供給網)が寸断された渦中で輸出が急増し、中国自動車メーカーはすでに船舶不足と高い輸送費用に直面している」とし「イスラエル戦争で費用や時間にさらに追われることになった」と伝えた。
中国は米国市場の関門であるパナマ運河でも苦戦を強いられている。パナマ運河周辺を襲った歴代級の干ばつで運河の閘門に水を引いてくることができない状況だ。大西洋と太平洋をつなぐパナマ運河は二つの大洋の水位の差を利用して閘門に水を入れたり出したりしながら運河を維持していたが日照りでこの機能が正常に作動しないでいる。中国海運業界を専門とする呉明華氏はグローバルタイムズに対して「パナマ運河を経て米東部に向かうべき物品がLAやロングビーチなどで荷役作業を経たあと、陸路や列車を使って東部まで運ぶことになれば輸送費が重くのしかかるだろう」と述べた。
◇このままでは来年まで危険に…世界サプライチェーンが超緊急事態
このような困難は事実、中国だけの問題ではない。世界物流業界はスエズ運河やパナマ運河の変数による運航支障により緊急事態に陥り、物流費用が高騰している。デンマークの大型輸送・エネルギーグループ「A.P. モラー・マースク」はコンテナ1台当たり50~100ドル(約7100円~1万4200円)の追加輸送費用を賦課することにした状態だ。輸出・国際貿易研究所(IOE&IT)のマルコ・フォルジオーネ事務局長は「今回のクリスマスに適時に届けることができない物品が出てくるかもしれない」としながら「何の措置も取らない場合、来年までサプライチェーンに混乱が生じる危険がある」と警告した。
ウクライナ戦争では一儲けしたが…中国が中東で遭遇した思いがけない悪材料(1)
中国はイスラエル戦争以前に発生したウクライナ戦争では経済的利益を享受していた。代表的分野が自動車だ。中国自動車メーカー協会(CAAM)によると、中国自動車メーカーは1~10月に約390万台の車両を輸出した。前年同期比約60%増となる。
特にロシアと欧州市場の活況が実績増加に影響を及ぼした。ロシアでは米国とEUが主導した経済制裁によってグローバル企業が撤収して「無主空山」、すなわち主要ライバルいなくなった市場を掌握した。欧州ビジネス協会(AEB)によると、今年9月基準でロシア市場の自動車ブランド別シェアで中国製の車両は25.8%で輸入ブランドのうち圧倒的1位だった。輸入車は起亜(1.4%)とシュコダ(0.1%)を除くとすべて中国ブランドだ。
◇補助金削減で…低価格の中国電気自動車(EV)が欧州攻略
欧州では中国製EVに対する販売が大きく伸びた。ドイツ調査機関「シュミット・オートモーティブ・リサーチ」によると、1~9月の中国製EVの欧州販売規模は40万台余りで欧州内EV新車販売規模の30%を占めた。
ここでもウクライナ戦争が影響を及ぼした。EUと英国が2035年から内燃機関の新車販売を全面的に禁止することにして欧州内のEV需要は高まったが、戦争以降、各国では費用負担を理由にEV補助金削減に踏み切っている。ドイツは今年、価格が4万ユーロ(約620万円)のEVを購入する時の補助金を6000ユーロから4500ユーロに削減した。英国は補助金をなくした。これに対して欧州製よりも相対的に20%以上価格が安い中国製EVの人気がEU内で高まった。
◇イスラエル戦争に中国サプライチェーン問題も重なり…
だが、イスラエル戦争で中国自動車業界は物流費用の急騰という変数に遭遇することになった。中国は欧州に輸出する際、インド洋や紅海、スエズ運河を経る最短距離のルートに依存してきた。ロシア輸出も極東沿海州以外にモスクワに近い黒海ノボロシスク港に向かうスエズ運河路線も主要ルートの一つとして活用している。
この過程で利用した海運会社がイスラエルの「Ray Car Carriers」だ。フーシ反乱軍の攻撃標的になることは明らかなイスラエルの海運会社だが、2021年11月基準で全世界物流量の9%を担う同社に代わるところを見つけるのは容易なことではない。中国企業が泣く泣く喜望峰ルートを選んだ理由だ。財新は「半導体制裁やコロナ禍などでグローバル・サプライチェーン(供給網)が寸断された渦中で輸出が急増し、中国自動車メーカーはすでに船舶不足と高い輸送費用に直面している」とし「イスラエル戦争で費用や時間にさらに追われることになった」と伝えた。
中国は米国市場の関門であるパナマ運河でも苦戦を強いられている。パナマ運河周辺を襲った歴代級の干ばつで運河の閘門に水を引いてくることができない状況だ。大西洋と太平洋をつなぐパナマ運河は二つの大洋の水位の差を利用して閘門に水を入れたり出したりしながら運河を維持していたが日照りでこの機能が正常に作動しないでいる。中国海運業界を専門とする呉明華氏はグローバルタイムズに対して「パナマ運河を経て米東部に向かうべき物品がLAやロングビーチなどで荷役作業を経たあと、陸路や列車を使って東部まで運ぶことになれば輸送費が重くのしかかるだろう」と述べた。
◇このままでは来年まで危険に…世界サプライチェーンが超緊急事態
このような困難は事実、中国だけの問題ではない。世界物流業界はスエズ運河やパナマ運河の変数による運航支障により緊急事態に陥り、物流費用が高騰している。デンマークの大型輸送・エネルギーグループ「A.P. モラー・マースク」はコンテナ1台当たり50~100ドル(約7100円~1万4200円)の追加輸送費用を賦課することにした状態だ。輸出・国際貿易研究所(IOE&IT)のマルコ・フォルジオーネ事務局長は「今回のクリスマスに適時に届けることができない物品が出てくるかもしれない」としながら「何の措置も取らない場合、来年までサプライチェーンに混乱が生じる危険がある」と警告した。
ウクライナ戦争では一儲けしたが…中国が中東で遭遇した思いがけない悪材料(1)
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