中国産業界が苦悶に陥った。欧州輸出の核心通路である紅海-スエズ運河路線がイスラエルとパレスチナの武装組織ハマス間の戦争で事実上遮断されてしまったためだ。欧州と中東で起きた「2つの戦争」のうちウクライナ戦争では経済的特需を享受した中国がイスラエル戦争では費用増加という悪材料にぶつかったという評価だ。
中国官営「グローバルタイムズ(GlobalTimes)」は最近、「イスラエル戦争で多くの貨物船が中国から欧州連合(EU)に向かう核心物流ルートであるスエズ運河を迂回している」と報じた。中国貨物船が選んだのは南アフリカ共和国の喜望峰を回り大西洋を経由して欧州に向かうルートだ。スエズ運河路線に比べると航行距離が9000~1万キロほど長い。
中国市場情報機関「CIBリサーチ」の王正成研究員は、中国経済専門紙「財新」に対して「中国自動車を欧州に輸出するのにかかる時間は(スエズ運河路線より)2週間、費用にして2割増しとなる」としながら「その他に船舶保険料、保安費用なども大幅にかさむだろう」と分析した。
◇フーシ反乱軍の脅迫に…紅海回避する中国船舶
時間と費用が追加でかかるにもかかわらず遠回りをするルートを選んだのは、スエズ運河から直線距離で200キロにもならないパレスチナ・ガザ地区で起きている戦争のためだ。
米国中央軍司令部は16日(現地時間)、紅海で作戦中だった駆逐艦「カーニー」がイエメンの親イラン組織フーシ反乱軍が飛ばした無人機(ドローン)14機を成功裏に撃墜したと明らかにした。同日、英国駆逐艦「HMSダイヤモンド」も商船を狙ったドローン1機を撃墜した。英国海軍が空中の標的を撃墜したのは1991年湾岸戦争以来初めてだ。
これに先立ってフーシ反乱軍は14日、オマーン南部からサウジアラビア・ジッダに向かって航海中だった香港国籍の貨物船「マースク・ジブラルタル」もミサイルで攻撃した。11日と13日にもフーシ派は紅海を通過するノルウェーとマーシャル諸島国籍のタンカーをそれぞれミサイルで攻撃した。3日にも米海軍の軍艦1隻と商船の複数隻が紅海でフーシ派の攻撃を受けた。
フーシ派は先月19日、紅海を航行中だった日本海運会社所属の船舶「ギャラクシー・リーダー」を拿捕してから、紅海を通過する船舶に相次いで攻撃を加えている。名分はイスラエルがガザ地区を攻撃したことに対する報復だ。フーシ派側は9日、「ガザ地区が必要な食糧と医薬品を受けることができないなら、国籍とは関係なくイスラエルの港に向かう紅海上のすべての船舶がわが軍の標的になる」と警告した。
紅海-スエズ運河路線は全世界の海上コンテナ物流量の30%、海上貿易量の12%を占める。中国だけでなく韓国や日本にとってもこの路線は欧州輸出の主要ルートだ。フーシ派の攻撃に東アジア3国の悩みが深いのはこのためだ。
◇韓日米とは違う…軍事対応を避ける中国
だが、中国は韓国や日本とは事情が異なる。韓日は自国船舶の保護のために軍事資源を活用する米国のやり方に同調する可能性が高い。
米軍は紅海地域で多国籍艦隊を拡大する方針だ。米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は15日、「我々は、必須の関門であり国際水路である紅海で自由な交易がもっと安全に行われるようにする」としながら「海洋機動部隊に関連し、数日内に具体的な内容を明らかにすることができると思う」と述べた。
これに先立ち、国防総省のパトリック・ライダー報道官は12日、紅海とアデン湾で活動する連合海上部隊(CMF)配下の機動部隊「CTF-153」に言及した。ライダー報道官は「CTF-153参加国拡大のために国際同盟およびパートナーと引き続き緊密に協議している」と述べた。CMFは中東地域の海上安全保障を果たすために米国が主導して立ち上げた多国籍海軍連合体だ。韓国や日本をはじめ計39カ国が参加している。韓国清海(チョンへ)部隊はCMF傘下の別の部隊「CTF-151」で活動している。
だが、米国の対抗馬を自任している中国はCMFに加入していない。中国が中東海上で軍事行動に出ることを避けているという分析もある。韓国峨山(アサン)政策研究院中東センター長のチャン・ジヒャン氏は「中国はイスラエルのガザ地区攻撃を批判してきた立場で、同じような名分を掲げるフーシ反乱軍と軍事的に衝突するのは気まずい」としながら「フーシ派を後援するイランとの友好関係も考慮したはずだ」と説明した。実際に、イランのアシュティアニ国防相は14日、米国のCTF-153拡大の動きに関連して「彼らがそのような非理性的動きを見せるならば、彼らは驚くような問題に直面することになる」と警告した。
ウクライナ戦争では一儲けしたが…中国が中東で遭遇した思いがけない悪材料(2)
中国官営「グローバルタイムズ(GlobalTimes)」は最近、「イスラエル戦争で多くの貨物船が中国から欧州連合(EU)に向かう核心物流ルートであるスエズ運河を迂回している」と報じた。中国貨物船が選んだのは南アフリカ共和国の喜望峰を回り大西洋を経由して欧州に向かうルートだ。スエズ運河路線に比べると航行距離が9000~1万キロほど長い。
中国市場情報機関「CIBリサーチ」の王正成研究員は、中国経済専門紙「財新」に対して「中国自動車を欧州に輸出するのにかかる時間は(スエズ運河路線より)2週間、費用にして2割増しとなる」としながら「その他に船舶保険料、保安費用なども大幅にかさむだろう」と分析した。
◇フーシ反乱軍の脅迫に…紅海回避する中国船舶
時間と費用が追加でかかるにもかかわらず遠回りをするルートを選んだのは、スエズ運河から直線距離で200キロにもならないパレスチナ・ガザ地区で起きている戦争のためだ。
米国中央軍司令部は16日(現地時間)、紅海で作戦中だった駆逐艦「カーニー」がイエメンの親イラン組織フーシ反乱軍が飛ばした無人機(ドローン)14機を成功裏に撃墜したと明らかにした。同日、英国駆逐艦「HMSダイヤモンド」も商船を狙ったドローン1機を撃墜した。英国海軍が空中の標的を撃墜したのは1991年湾岸戦争以来初めてだ。
これに先立ってフーシ反乱軍は14日、オマーン南部からサウジアラビア・ジッダに向かって航海中だった香港国籍の貨物船「マースク・ジブラルタル」もミサイルで攻撃した。11日と13日にもフーシ派は紅海を通過するノルウェーとマーシャル諸島国籍のタンカーをそれぞれミサイルで攻撃した。3日にも米海軍の軍艦1隻と商船の複数隻が紅海でフーシ派の攻撃を受けた。
フーシ派は先月19日、紅海を航行中だった日本海運会社所属の船舶「ギャラクシー・リーダー」を拿捕してから、紅海を通過する船舶に相次いで攻撃を加えている。名分はイスラエルがガザ地区を攻撃したことに対する報復だ。フーシ派側は9日、「ガザ地区が必要な食糧と医薬品を受けることができないなら、国籍とは関係なくイスラエルの港に向かう紅海上のすべての船舶がわが軍の標的になる」と警告した。
紅海-スエズ運河路線は全世界の海上コンテナ物流量の30%、海上貿易量の12%を占める。中国だけでなく韓国や日本にとってもこの路線は欧州輸出の主要ルートだ。フーシ派の攻撃に東アジア3国の悩みが深いのはこのためだ。
◇韓日米とは違う…軍事対応を避ける中国
だが、中国は韓国や日本とは事情が異なる。韓日は自国船舶の保護のために軍事資源を活用する米国のやり方に同調する可能性が高い。
米軍は紅海地域で多国籍艦隊を拡大する方針だ。米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は15日、「我々は、必須の関門であり国際水路である紅海で自由な交易がもっと安全に行われるようにする」としながら「海洋機動部隊に関連し、数日内に具体的な内容を明らかにすることができると思う」と述べた。
これに先立ち、国防総省のパトリック・ライダー報道官は12日、紅海とアデン湾で活動する連合海上部隊(CMF)配下の機動部隊「CTF-153」に言及した。ライダー報道官は「CTF-153参加国拡大のために国際同盟およびパートナーと引き続き緊密に協議している」と述べた。CMFは中東地域の海上安全保障を果たすために米国が主導して立ち上げた多国籍海軍連合体だ。韓国や日本をはじめ計39カ国が参加している。韓国清海(チョンへ)部隊はCMF傘下の別の部隊「CTF-151」で活動している。
だが、米国の対抗馬を自任している中国はCMFに加入していない。中国が中東海上で軍事行動に出ることを避けているという分析もある。韓国峨山(アサン)政策研究院中東センター長のチャン・ジヒャン氏は「中国はイスラエルのガザ地区攻撃を批判してきた立場で、同じような名分を掲げるフーシ反乱軍と軍事的に衝突するのは気まずい」としながら「フーシ派を後援するイランとの友好関係も考慮したはずだ」と説明した。実際に、イランのアシュティアニ国防相は14日、米国のCTF-153拡大の動きに関連して「彼らがそのような非理性的動きを見せるならば、彼らは驚くような問題に直面することになる」と警告した。
ウクライナ戦争では一儲けしたが…中国が中東で遭遇した思いがけない悪材料(2)
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