◇技術楽観論に「危険なイデオロギー」

だが、これとは反対の動きも大きくなっている。ＡＩが人類を超えることを放っておいてはいけないという主張だ。ＡＩの安全を追求する団体「ＳｔａｋｅＯｕｔ．ＡＩ．」の所長でマサチューセッツ工科大学（ＭＩＴ）のピーター・Ｓ、パク研究員はｅ／ａｃｃ運動に対して「人類をＡＩに変えようとする危険で無責任なイデオロギー」とＮＹＴに話した。

自国のＡＩ開発を促進して他国の技術開発を牽制（けんせい）するための複合的な意図から、各国政府・機関による規制の動きも本格化している。米国のバイデン大統領は１０月３０日、ＡＩの安全性と信頼度を高めるための行政命令に署名した。同日、主要７カ国（Ｇ７）もＡＩ規制に向けた初めての国際の行動綱領に合意した。今月８日、欧州連合（ＥＵ）はＡＩの危険性を分類して透明性を強化する内容のＡＩ技術規制法合意案を打ち出した。国連も来年８月までにはＡＩ規制の方向を定めるという方針だ。


一部では技術楽観論と破滅論の衝突を克服しようという第３の折衝論も登場している。仮想通貨「イーサリアム（ＥＴＨ）」の創始者であるヴィタリック・ブテリン氏はＡＩ技術に対して楽観的な態度を維持するものの、危険も深刻に受けとめようという趣旨で「ｄ／ａｃｃ」（ｄｅｆｅｎｓｅ・ｄｅｃｅｎｔｒａｌｉｚａｔｉｏｎ・ｄｅｍｏｃｒａｃｙ・ｄｉｆｆｅｒｅｎｔｉａｌなどの頭文字「ｄ」　ａｃｃｅｌｅｒａｔｉｏｎｉｓｍ）を提案した。

ＮＹＴはこれについて「確実なのは『ＡＩ分派の時代』に入ったということ」と指摘した。ＡＩの技術が人間を進歩させるのか、人間を奴隷にするのかを巡り衝突する時代が到来した。


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