「パリが李康仁（イ・ガンイン）に魅せられた」。フランスプロサッカーリーグ１の公式ホームページは３日（日本時間）、パリ・サンジェルマン（ＰＳＧ）とル・アーブルＡＣの２－２３－２４シーズン第１４節を控え、ＰＳＧのＭＦ李康仁（２２）のストーリーを扱った特集記事でこのように紹介した。名門ＰＳＧ入団からわずか半年で球団とパリのファンの心をつかんだ李康仁の活躍と影響力を集中照明した。

この日、ＰＳＧ－ル・アーブル戦が行われたフランスのル・アーブルのスタッド・オセアンでは異色の風景が演出された。白のアウェーユニホームを着たＭＦ李康仁の背中にはハングルで「李康仁」という名前が入っていた。スーパースターのキリアン・ムバッペ（２５）をはじめとするＰＳＧ選手全員の名前もハングルで表記された。ＰＳＧの選手がハングルのユニホームを着て公式試合に臨んだのはＰＳＧ球団史上初めて。

李康仁がフル出場したＰＳＧはル・アーブルに２－０で勝利した。リーグ７連勝を含む９試合無敗（８勝１分け）のＰＳＧは勝ち点３３となり、２位ニース（勝ち点２９）との差を勝ち点４に広げてリーグ１位を疾走している。


ＰＳＧ球団が公式試合でハングルが入ったユニホームを着るイベントを用意したのは、李康仁の入団以降ファンが増えたことによる「ファンサービス」レベルだ。ＰＳＧによると、李康仁がチームに合流した今季、ホーム試合を観戦した韓国のファンが２０％も増えた。ユニホームもよく売れている。李康仁の名前が入ったユニホームはムバッペのシャツと共に球団販売１位を争っている。

リーグ１の公式ホームページは「李康仁のユニホームが飛ぶように売れている。（フランス代表の）ムバッペやウスマン・デンベレよりも李康仁の名前が入ったファンが目につく。ムバッペより李康仁のユニホームが多く売れた」と伝えた。ＰＳＧは「韓国はフランスと米国に次いで３番目に大きい市場になった」と明らかにした。

「李康仁の効果」はグラウンドの外でも表れている。ＰＳＧ球団のＸ（旧ツイッター）の韓国人フォロワーは２万２０００人以上増えた。ＰＳＧは「『静かな朝の国』から来たファンの関心が高まった」と伝えた。パリを訪問する韓国人観光客も増えたという分析が出てきた。韓国とフランスを行き来しながら活動するユーチューバーのファビアン・コルビノさんはリーグ１のインタビューで「李康仁を見るために新婚旅行先をパリに決める韓国人が多い。今後さらに多くの韓国人がパリを訪れるだろう」と予想した。

李康仁は人気にふさわしい実力も魅せている。李康仁は１日、ＰＳＧの「今月（１１月）のゴール」の主人公に選ばれた。李康仁は先月４日、モンペルリエとのリーグ１第１１節のホーム試合で０－０の前半１０分、強力な左足シュートでゴールを決め、チームの３－０完勝に貢献した。このゴールは李康仁のリーグ１デビューゴールだった。

「今月のゴール」はファン投票で選ばれるが、李康仁のゴールが５９％の得票率となった。李康仁は今季ＰＳＧの主軸ＭＦとして２得点１アシスト（１０試合、２日基準）をマークしている。ＰＳＧも首位を守っている。

李康仁は７月にマヨルカ（スペイン）を離れてＰＳＧに入団したが、わずか６カ月もならないうちに中心選手になった。ＰＳＧがマヨルカに支払った移籍料は２２００万ユーロ（約３５億円）で、移籍料１億８０００万ユーロと推定されるムバッペの８分の１ほどだ。ＰＳＧは「我々のチームは選手の競技力を見て迎え入れる」としながらも「李康仁が入ってから商業的な側面でも球団に大きく寄与した」と満足感を表した。

ルイス・エンリケＰＳＧ監督は「李康仁は優れた才能を備えているうえ欲もある選手だ。攻撃と守備を行き来し、相手の圧力を受けながらもボールを守る能力が卓越している。彼は（グラウンドで）いつもハングリーな選手」と称えた。

リーグ１は「パリジャン李康仁は孫興慜（ソン・フンミン、トッテナム）に次いでアジアの次世代スターになるためのすべての資格を備えた」と評価した。