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「もうグーグルアース使わないはず」…軍事衛星を打ち上げた金正恩の「次の野心」(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長

北東アジアの空が熱くなっている。北朝鮮が21日に打ち上げた軍事偵察衛星「万里鏡1号」が正常軌道に進入したことが確認され、域内国家の軍事衛星競争がさらに激しくなったからだ。韓国も30日に独自の偵察衛星を打ち上げる。米国をはじめ中国、ロシア、日本はすでに軍・政府用高解像度偵察衛星を通じて周辺国の軍事動向を把握する偵察競争をしている。

偵察衛星が重要なのは、韓米の北核脅威対応戦略「キルチェーン」の「目」に該当する戦力であるためだ。キルチェーンとは、普段は偵察衛星を通じて北朝鮮の軍事的な動きを細密に監視し、北朝鮮が核挑発など軍事的な動きを見せる時に先制的に関連軍事施設を打撃して除去する戦略をいう。事前探知後に加える先制打撃(preemptive strike)が核心だ。

米国は最近「発射の左側」(left of Launch)という概念を使用している。相手国がミサイルを発射する前にサイバー攻撃、電磁パルス(EMP)などでかく乱を起こし、ミサイル発射自体を防いだり別のところに落下させたりすることをいう。ミサイル迎撃段階を発射準備→発射→上昇→下降に分ける場合、発射より左側にある発射準備の段階で攻撃を加えるため、このように呼ばれる。そのためにはハッキングやコンピューターウイルスで敵ミサイルの指揮統制所や標的装置を攻撃しなければならないが、偵察衛星を含む米国の圧倒的な監視能力があるために可能な軍事作戦だ。


◆「拳(核)」+「視力(衛星)」を保有

しかし北朝鮮が偵察衛星を保有することになり、韓米の戦略に大きな変数が生じることになった。偵察衛星戦力を拡張・高度化すれば、北朝鮮も相手国の軍事動向を把握する「事前探知能力」を持つことになるからだ。この場合、北朝鮮の核・ミサイル挑発の動きに対する韓国と米国のキルチェーンの動きを北朝鮮があらかじめ把握し、先制的に無力化させることも可能だ。

統一研究院のホン・ミン研究委員は「これまで北は中国やロシアから聞く軍事情報に基づいて韓米の軍事動向を把握するレベルにとどまっていたが、今は独自の衛星確保で細かく韓米をのぞく道が開かれた」とし「現在の技術レベルはまだ低くても、今後戦力を高度化する場合、北の『発射の左側』作戦も理論的に十分に可能だ」と話した。峨山政策研究院のヤン・ウク研究委員は「今まで北はグーグルアースで打撃目標を定めなければいけない状況だった」とし「偵察衛星の確保は拳(核兵器)ばかり育ててきた北が視力(標的探知能力)までも確保することになったという点で重要だ」と述べた。

韓国も北朝鮮に対抗して独自の偵察衛星を確保する。韓国軍は30日、米カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地からスペースXのファルコン9ロケットで最初の軍事偵察衛星を打ち上げる。その後、来年4月から2025年までに高性能映像レーダー(SAR)偵察衛星4個を追加で打ち上げ、対北朝鮮監視網を構築する計画だ。SAR衛星は悪天候でも電磁波を地上目標物に照射した後に反射してくる信号データで映像を具現できる。

◆日米中露、偵察衛星競争が活発

韓国と北朝鮮を除いた北東アジア国家はすでに最先端偵察衛星を活発に運用している。米国の「憂慮する科学者同盟(UCS)」が集計した「衛星データベースと宇宙発射報告書」によると、1月基準で米国は約500個の軍・政府衛星を運用中だ。中国(約360個)、ロシア(約120個)、日本(35個)も多くの衛星を稼働させている。うち軍事偵察衛星は米国が189個、中国が約100個、ロシアが約100個を運用していると把握されている。

米国は急速に強まる中国とロシアの脅威に対して人工衛星防衛能力を高めることに集中している。米国防総省傘下の国家偵察局(NRO)は4月、「2032年まで偵察衛星の数を4倍に増やす」という計画を発表した。続いて9月には米宇宙軍とNROが共に開発した新しい偵察衛星「サイレント・バーカー」が打ち上げられた。ブルームバーグ通信は「この衛星は地球の約3万5400キロ上空に配置され、中露の宇宙船を追跡するのに使用される」とし「米宇宙軍はサイレント・バーカー衛星を2026年まで持続的に発射する予定」と伝えた。さらに2026年までに低軌道区間に1000個のスパイ衛星を飛ばす次世代軍用偵察衛星プロジェクト「ブラックジャック」も稼働を始めた。


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