現実は未来学者の墓という言葉もある。しかしわれわれは常に可能な限り将来を推し量りそれに対処しようとする。そしてこれは基本的に正しいことだ。単に警戒しなければならないのはわれわれの常識でわれわれとは大きく違った現実をわれわれのものさしで、われわれの希望により予想することだ。行き過ぎた悲観や行き過ぎた楽観はいずれもとんでもない結論に突き進む。良い例が北朝鮮政権の早期崩壊の予想だ。予想が可能な未来に北朝鮮政権が崩壊するだろうという見通しはない。さらに重要な問題は北朝鮮政権が崩壊したり、崩壊に直面する危機に置かれた場合、それがわれわれだけでなく周辺のみんなに良い知らせになる可能性は小さい点だ。
考えられるだけでもわれわれやわれわれの隣人は少なくとも3つの危機に直面することになるだろう、
最初は人道主義的な危機だ。北朝鮮政権が危機にさらされる場合、混乱の渦中で住民らが直面することになる日々の生計や安全をだれが責任を取り管理できるかという問題だ。さらに重大なことは軍事的な危機だ。途轍もない規模の常備軍のほかに実戦に投入できる北朝鮮の予備軍の規模も数百万に達する。そのほか危険な大量殺傷兵器も多く備蓄している。政権が危機に置かれた場合、だれがこうした問題を管理するだろうか。
旧東ドイツの場合、国家人民軍が十数万人程度にすぎず、西ドイツ主導の統一に大きな障害がなかった。しかし筆者が統一後に旧東ドイツ軍人に会ってわかったことは少し違った。特に動員解除された将校の不満が多く、そのうち何人かは最後まで軍事行動で西ベルリンを占領し統一を防ごうとする計画を推進したと打ち明けた。この経験を新聞に寄稿したこともあった。
また別の困難は国際関係の危機だ。韓半島(朝鮮半島)周辺の強大国の間には北朝鮮内部の突発状況に関しいかなる合意どころか協議をしたこともない。突発状況でそれぞれどんな行動に出るかは各自の想像に任せるほかないが、これらがわれわれの希望通りに順調な統一を助けるだろうという期待はし難い。
歴史上強大国の介入と紛争の現場になった不幸な経験が繰り返されるのではないかとの懸念が先んじるほかない。こうした状況は近ごろさらに悪い方向で進展しているようだ。それでも別のアプローチが初期の楽観的な成果に対する期待につながることもなく、核兵器開発を防ぐこともできなかった。韓半島の問題に容易で単純な解決はないので水晶玉をのぞいて見ればおそらく涙を流していないだろうかと考える。
羅鍾一(ラ・ジョンイル)/元駐日大使、東国大学客員教授
【コラム】水晶玉の涙…「北朝鮮はいつごろ崩壊しますか」(1)
考えられるだけでもわれわれやわれわれの隣人は少なくとも3つの危機に直面することになるだろう、
最初は人道主義的な危機だ。北朝鮮政権が危機にさらされる場合、混乱の渦中で住民らが直面することになる日々の生計や安全をだれが責任を取り管理できるかという問題だ。さらに重大なことは軍事的な危機だ。途轍もない規模の常備軍のほかに実戦に投入できる北朝鮮の予備軍の規模も数百万に達する。そのほか危険な大量殺傷兵器も多く備蓄している。政権が危機に置かれた場合、だれがこうした問題を管理するだろうか。
旧東ドイツの場合、国家人民軍が十数万人程度にすぎず、西ドイツ主導の統一に大きな障害がなかった。しかし筆者が統一後に旧東ドイツ軍人に会ってわかったことは少し違った。特に動員解除された将校の不満が多く、そのうち何人かは最後まで軍事行動で西ベルリンを占領し統一を防ごうとする計画を推進したと打ち明けた。この経験を新聞に寄稿したこともあった。
また別の困難は国際関係の危機だ。韓半島(朝鮮半島)周辺の強大国の間には北朝鮮内部の突発状況に関しいかなる合意どころか協議をしたこともない。突発状況でそれぞれどんな行動に出るかは各自の想像に任せるほかないが、これらがわれわれの希望通りに順調な統一を助けるだろうという期待はし難い。
歴史上強大国の介入と紛争の現場になった不幸な経験が繰り返されるのではないかとの懸念が先んじるほかない。こうした状況は近ごろさらに悪い方向で進展しているようだ。それでも別のアプローチが初期の楽観的な成果に対する期待につながることもなく、核兵器開発を防ぐこともできなかった。韓半島の問題に容易で単純な解決はないので水晶玉をのぞいて見ればおそらく涙を流していないだろうかと考える。
羅鍾一(ラ・ジョンイル)/元駐日大使、東国大学客員教授
【コラム】水晶玉の涙…「北朝鮮はいつごろ崩壊しますか」(1)
この記事を読んで…