米国の国旗
米プリンストン大科学・グローバルセキュリティープログラムのセバスチャン・フィリップ博士は13日(現地時間)、科学雑誌『サイエンティフィック・アメリカン』(Scientific American)で米国内陸の核兵器施設が核攻撃を受ける状況をシミュレーションし、このような結果を発表した。フィリップ博士は核兵器をモニタリングし、核爆発の影響をモデリングする方法を開発してきた。
この研究は、2030年代半ばまでに1兆5000億ドル(約225兆円)を投入して旧型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を現代化する米国政府の計画に関する特集記事の一部で紹介された。
米軍はコロラド・ワイオミング・ネブラスカ・モンタナ・ノースダコタの5州の地上ICBM発射施設(サイロ)にあるミサイル「ミニットマン3」450基を次世代「センチネル」(Sentinel、LGM-35A)ミサイルに交換する作業を進めている。
フィリップ博士はミサイル誘導システムの発達で位置が固定した陸上武器は攻撃に弱くなる半面、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などは守られやすいと指摘した。また、地上の武器は時間が経つほど外国の攻撃を吸い込む「スポンジ」になると警告した。
フィリップ博士は今回の研究で2021年の高解像度気象データとモデリング技法を使用し、予想死者数と放射線被ばく量など北米全域の人口と地域住民の放射線リスクを具体的に予測したと説明した。
シミュレーション結果を反映した地図は天気パターンの変化によって被ばく量および死者数がどう変わるか、最も危険な地域はどこか、北米全域で最悪のシナリオがどう表れるかを示している。
最悪のシナリオでは、地域別の放射線量が急性放射線症候群による死者が発生する水準の1グレイ(Gy)以上となるところが西海岸から東海岸まで米全域とカナダ南部、メキシコ北部に表れると予想した。
特に風の方向によりモンタナ・ノースダコタ・ネブラスカなどミサイル発射施設がある地域を中心に広範囲な地域が最大放射線量1ー84Gyとなり、地域住民の大半が深刻なレベルの放射線に露出すると予測された。
死者数は最悪の場合、100万-200万人となり、追加で米全域で3億人が年間放射線被ばく限度の1000倍の1Gy以上の放射線量に露出すると予想した。
『サイエンティフィック・アメリカン』のローラ・ヘルムス編集長は「前例なく放射線リスクを詳細に表したこの地図は明確なメッセージを伝えている」とし「これは我々が覚悟すべきリスクではなく、過去から教訓を得て人類の未来を脅かす道から一歩退くべきということだ」と強調した。
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