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「人手不足22万件」というが…韓国では50代のカンガルー族が増える

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

就業博覧会資料写真。ソン・ボングン記者

40代後半のAさんはコンビニエンスストアに行く以外は家の外に出ない。彼は70代の両親とともに暮らすが、ゲームをしたりユーチューブを見たりして主に部屋の中で時間を過ごす。大学在学中に通貨危機が訪れ仕事を見つけるのが難しくなり公務員試験を準備した。数年を経てアルバイトを並行したりもしたが40代を過ぎてからは経済活動をすべてやめた。

イアダン心理相談センターでセンター長を務める経歴21年目のカウンセラーであるパク・デリョン氏が伝えたひきこもり中年の事例だ。パク氏は「ひきこもりや孤立の原因は複合的だが、経済的な状況、労働経験などと相当な関連がある。求職期間が長くなるほど挫折に陥ることになり人間関係も徐々に狭まり孤立につながるケースが多い。1997年の通貨危機当時の20代はいま40~50代になり、コロナ禍による最近の景気鈍化まで重なり中年のひきこもりや孤立の相談者は増加傾向にある」と話した。

◇「ひきこもり」日本の後を追う韓国


すでに日本では中年のひきこもりが社会問題になっている。2003年に青年層のひきこもりという概念が日本で紹介されてから20年が過ぎてだ。中国では専業子女という新造語が登場した。職場に通わない子どもが料理や清掃など家事をしながら両親から小遣いをもらうことを意味する。

韓国の状況は中国や日本と変わらない。韓国統計庁が13日に出した経済活動調査分析の結果、9月基準で休んでいる状態にある40代は27万人で、5年前の2018年9月の19万5000人より38.5%増えた。休んでいるというのは未就業状態で特別な理由なく求職活動もしていない状態を意味する。最近就業者数増加傾向が続くなど雇用が好調を見せている状況を考慮すると、自発的に働かない状態といえる。

◇親の家に暮らし休む中高年が急増

自立せず親の家に住み求職はあきらめた中年の割合で見ると増加傾向はさらに急だ。彼らが事実上日本のひきこもりと似た韓国の「中年カンガルー族」だ。結婚していない状態で親の家に住む40代の休んでいる人口は9月基準で2018年は5万6000人だった。今年は8万7000人に増えた。5年間で55.4%増加し、この年齢帯の休んでいる人口の増加傾向を上回った。

30代と50代でも似た流れが現れる。親の家に住む50代の未婚で休んでいる人口は同じ期間に1万8000人から3万2000人に77.8%増えた。30代は9万7000人から14万6000人に増え50.5%の増加率を記録した。40~50代の中高年層のカンガルー族の増加率が50%を大きく超えて増加傾向が目立った。

◇就職失敗経験で孤立・ひきこもり

度重なる就職失敗経験が中年のカンガルー族を生んだという分析が出ている。働き口自体が不足しているのではないが、大企業と中小企業の給与・労働条件の差が広がり、求職者が希望する働き口は限定された。統計庁のマイクロデータによると、40代のカンガルー族が求職しない理由で最も多く挙げられたのは「希望の賃金水準や労働条件の働き口がなさそうで」だ。青年雇用と高齢雇用はあるが、キャリアのない中高年が就職できる所は限定される。40~50代は失業状態が長引いた時に社会復帰の障壁が厚くなる。

親の経済力が過去の世代より上がったのも原因のひとつだ。以前の世代では親に経済的に依存するのは不可能だったが、いまの高齢層は資産を蓄積したり年金収入を得るケースが増えた。韓国開発研究院(KDI)が最近発表した「所得と資産で診断した高齢者貧困と政策方向」によると、2021年基準で1940~1944年生まれの貧困率は51.3%だったが、1950~1954年生まれの場合は27.8%となった。

◇働く人いないのに…「復帰支援しなければ」

「経済の柱」である中年層の雇用市場離脱が増えるのはそれだけで経済的費用だ。雇用労働部によると8月基準で求人難により働く人を得られない人手不足分は22万1000件だ。 また、働き続けたり高賃金は保証されにくい高齢層には子どもの扶養負担が次第に増えるほかはない。これは消費萎縮にもつながる。

建国(コングク)大学経営学科のユン・ドンヨル教授は「いまの40代は親が経済力を持っているケースが多く、親の家に住みながら外部活動をしなければいくらでも生活が可能だ。日本の中年ひきこもり事例を見れば職場内でのいじめや組織への不適応で社会と断絶した事例が多いが韓国も似ている」と話した。続けて「生産可能人口の減少により人手不足が増える状況で青年だけでなく中高年も雇用市場に復帰させられる案をまとめなければならない」と付け加えた。

◇青年にだけ集中、中年は統計もない

中年カンガルー族の増加傾向は明確だが実態把握はまともにされていない。国務調整室とソウル市は昨年になり初めて青年孤立・ひきこもり実態調査を実施した。それさえも15~39歳の青年にだけ限定した。2019年から中年ひきこもり実態調査を別に進めている日本とは対照的だ。これに対し調査範囲を拡大すべきという声が力を増している。



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