全国各地でトコジラミが出没している中、9日午前、ソウル龍山区東子洞(トンジャドン)の宿所で防疫会社の職員が高熱スチーム消毒をしている。 [写真 共同取材団]
承認手続きを進める国立環境科学院の関係者は9日、「遅くとも今週中に殺虫剤の承認を終えることになるだろう」と明らかにした。続いて「集中防除を始める13日から使用できるよう迅速に手続きを進めている」と伝えた。これまで韓国国内ではトコジラミ防除にピレスロイド系の殺虫剤を使用していたが、ほとんどのトコジラミがこの成分に耐性を持っているため防除効果がないという指摘が多かった。
政府はトコジラミ防除のために複数の種類の殺虫剤を検討しているが、まずは緊急防除のために米国で使用されているネオニコチノイド系殺虫剤を承認するとみられる。ニコチン系の神経毒素で虫を駆除するこの製剤は農薬に広く使われてきた。ただ、今回の緊急承認では安全性の問題が生じないよう家庭用殺虫剤の許可は出ないと予想される。
◆米殺虫剤にすでに抵抗性…「依存は禁物」
新しく導入されるネオニコチノイド系の殺虫剤も万能ではない。すでに米国で以前から使用されていて、抵抗性に関する報告が出ている。ニュージャージー州立大昆虫学科の研究陣は米国で採集された13のトコジラミ個体群のうち1つの個体群がネオニコチノイド系殺虫剤に強い抵抗性を見せたという研究結果を今年1月に発表した。ネオニコチノイドに抵抗性を持つ個体もすでに存在するということだ。
ソウル大医学部熱帯医学教室のキム・ジュヒョン教授は「ネオニコチノイド系の殺虫剤は米国で防除効果を見せているが、使用期間が長くなり抵抗性の報告も出ている」とし「どの殺虫剤も依存はできず、新しい殺虫剤の導入時に抵抗性がどこでどれほど発生するか絶えずモニタリングして対応しなければいけない」と述べた。
◆トコジラミとの戦争に入った政府、抵抗性研究を開始
韓国政府は13日から12月8日まで一般・生活宿泊業、公衆浴場、社会福祉施設、学校寮、保育施設、観光宿泊業、観光便宜施設、矯正施設、公共交通施設などを集中的に点検する。また、トコジラミ流入経路を追跡し、殺虫剤の抵抗性分析研究をする計画だ。殺虫剤成分が出るたびに抵抗性を高めるトコジラミとの戦争に入るということだ。
疾病管理庁は9日午後に再び配布した『トコジラミ情報集』改訂版で、家庭でトコジラミを発見した場合、物理的防除を基盤に化学的防除(環境部許可殺虫剤)を併行するよう勧めた。疾病管理庁は特に化学的防除について「殺虫剤を過度に使用したり誤った方法で使えば人体と環境に危険であり(トコジラミに)抵抗性を誘発するため、用法・容量と注意事項を守って必要なところに最小限の使用をすることが重要だ」と強調した。
家庭にトコジラミが出る場合、自治体に連絡すればよい。自治体のコールセンターに通報があれば、政府が防疫業者を派遣し、緊急承認された殺菌剤などを動員して防疫を進める計画だ。
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