ドイツ極右政党「ドイツのための選択肢（ＡｆＤ）」が既存の政界とは違った路線を歩いている。イスラエルとパレスチナの武装組織ハマス間の戦争でイスラエルを支持している既成政党と違い、立場表明を最大限自制している。また、中国と距離をおこうとするドイツ政府を強く批判して露骨に言動を見せている。支持勢力と資金源という「二兎」を同時に追う戦略ではないかという分析だ。

先月７日のイスラエル・ハマス戦争勃発以降、ドイツは最も積極的にイスラエルを支持している。欧州など西側ではイスラエルのガザ地区空襲を批判して休戦を要求する声が高まっているにもかかわらず、ドイツ政府は「イスラエル側に立つ」としてイスラエルの自衛権を強く支持している。過去ナチス政権の下で強行されたホロコースト（ユダヤ人集団虐殺）に対する責任感のためだ。ｄｐａ通信は「ホロコーストを契機に、ドイツの政治家は『イスラエルとユダヤ人の安全に対してドイツが特別な責任がある』と考えてきた」と説明した。

◇独政界「イスラエル支持」の中、唯一「反ユダヤ」


だがＡｆＤの立場はドイツ主流政界と温度差が大きい。ドイツ内で広がったパレスチナ支持デモの過激さを批判しながらも、先月ベルリンで起きたユダヤ教のシナゴーグに対する火炎瓶投げ込み事件などユダヤ人を狙った暴力と威嚇行為に対してははっきりした立場を明らかにしていない。

ＡｆＤの沈黙には主要支持層である白人優越主義勢力がイスラエル・ハマス戦争以降、反ユダヤ主義を全面に出してナチスに追従する声を荒々しく高めていることと関連が深い。ドイツ市民社会をモニタリングしている団体によると、先月７～１５日にドイツで起きた反ユダヤ主義事件は前年同期比２４０％急増した。

２０１３年白人優越主義と難民反対、反ＥＵ（欧州連合）を掲げて創党されたＡｆＤとしては、最近の反ユダヤ主義の雰囲気の高まりが支持率反騰の好材料として働いている。実際に先月８日、西部ヘッセン州と南部バイエルン州で行われた地方選挙でＡｆＤはそれぞれ１８．４％、１４．６％の得票率で２位と３位を記録し、歴代最高の成績を収めた。旧東ドイツ地域が支持基盤のＡｆＤが西ドイツ地域で善戦したのだ。

同月２０日、ドイツ公営放送ＺＤＦが発表した政党別支持率でもＡｆＤは２１％で２位を記録した。連立政府である執権社会民主党（１５％）、緑の党（１４％）、自由民主党（５％）をはるかに上回っている。ドイツ時事週刊誌シュピーゲルは「今回の戦争はドイツ内に急増した反ユダヤ主義拡散に油を注いだ」とし「ＡｆＤの台頭はこうした現象と密接な関連がある」と分析した。


マイウェイの「反ユダヤ」ドイツ極右政党、突然反中から親中に急旋回したわけは（２）