中国最大のポータルサイト「百度」のオンライン地図に「イスラエル」という国名が表記されていないことが６日、確認された。地図上ではイスラエル領土の領域や主要都市名は出ているが、国名はどこにも見当たらない。

イスラエルの国名がパレスチナの武装組織ハマスとの戦争以降に削除されたのか、もともとなかったのかは知ることはできない。百度側の関係者はＣＮＮに対して「空間が制限されている場合、地図には一部領土の名前が表示されないこともある」と説明した。しかし百度の説明とは違い、該当の地図には主要国はもちろん、ルクセンブルクなどイスラエルよりも規模がはるかに小さな国の名前も表記されている。

◇「仲裁者」自任するものの…「反ユダヤ」世論は放置の中国


西側メディアは中国が故意にイスラエルの国名を表記しないか削除した可能性を提起している。イスラエル・ハマス戦争以降、中国で反ユダヤ感情が拡散しているためだ。

中国政府は戦争勃発後、表面ではどちらか片方に偏らず休戦を要求しながら「中東和平の仲裁者」を自任している。公式外交チャネルを通じては中東に特使を急派するなどウクライナ・ロシア戦争の時とは違って積極的に行動しているという評価も受けている。

しかし、中国内部ではイスラエルを非難してハマスを支持するオンライン掲示物が拡散し、官営メディアや学者までもがこのような雰囲気に加勢している。特に、イスラエルを非難する各種コメント等や映像が投稿されているが、このような掲示物は徹底した検閲システムを備えた中国当局によって選別されずそのまま露出している。これを巡り、一部ではイスラエル・ハマス戦争に対する中国の「本音」がオンライン等を通して現れているという解釈をしている。

◇中国でハマス支持、イスラエル非難が拡散

テレグラフやニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）等のメディアによると、中国のある有名インフルエンサーは微博（ウェイボー、中国版ツイッター）でイスラエルを襲撃したハマスを「抵抗組織」と擁護した反面、ガザ地区を空襲したイスラエルは「テロ組織」と称した。フォロワー１００万人を抱える別のインフルエンサーは「ハマスは相変らずおとなしい」としてイスラエルを批判した。

中国当局の直接的な影響を受けている官営メディアも事情は似たようなものだった。官営英字新聞チャイナデイリーは最近の社説で「米国がイスラエルを盲目的に支持して紛争を悪化させている」と主張したほか、官営ＧｌｏｂａｌＴｉｍｅｓ（グローバル・タイムズ）の元編集長、胡錫進氏もソーシャルメディアに「イスラエルが太陽系から地球を一掃してしまわないか心配になる」と書き込んだ。復旦大学国際政治学部の沈逸教授はイスラエルの攻撃をナチスの侵略行為になぞらえたりもした。

反イスラエル感情がオンライン世論を通じて急速に広がる中で、先月１３日には在北京イスラエル外交官の家族が凶器で襲われて負傷する事件まで発生した。これに対して米国の政界では「中国の代表的動画アプリであるＴｉｋＴｏｋ（抖音）が反ユダヤ主義の映像を拡散する扇動ツールになっている」とし、関連動画の削除を求める声も出ている。


中国地図上には「イスラエル」ない…「反ユダヤ掲示物」検閲しない理由とは（２）