◇漁夫の利のプーチンと習近平、苦境のバイデン
中東での戦争拡大はかろうじて防ぐとしても米国の外交力がすでにウクライナ、台湾、南シナ海などの地で相当部分消耗している点が問題だ。ハマスの最高指導者を務めたハーリド・マシャ氏は最近メディアインタビューで「米国の関心をウクライナから奪った点でロシアはハマスに感謝している。中国も今回の事態を良い契機とみて台湾に向かった『計画』を準備している」と主張した。
実際に中国の景気低迷で習近平主席のリーダーシップに対する懐疑論がふくらみ「台湾侵攻説」の時期とされる2027年以前に中国が行動に出るかもしれないという懸念が深まっている。
これに加えて南シナ海をめぐる中国とフィリピンの領有権紛争も最近激化している。先月22日には南シナ海でフィリピンの補給船を中国海洋警察が阻止し両国の船舶が衝突した。米国はバイデン大統領が直接乗り出し「フィリピン船舶に対するいかなる攻撃も米国とフィリピンの相互防衛条約発動事案」(先月25日、ホワイトハウス記者会見)としながら警告した。
だが南シナ海を管轄する中国軍は先月30日、「海空軍兵力を組織しフィリピン護衛艦に対応した」と明らかにするなど緊張レベルを高めた。南シナ海の緊張が海洋警察次元の紛争を超えて「中国軍対フィリピン軍」の対立に飛び火しかねない状況だ。
◇北朝鮮の制御能力が至急
こうした中、韓国は韓半島が新たな紛争の導火線にならないよう管理しなければならないという課題に直面した。米国の防衛能力が分散した状況で北朝鮮が韓半島を弱点と判断して挑発に出る可能性が隠れているためだ。
峨山(アサン)政策研究院のコ・ミョンヒョン選任研究委員は、「ハマスがイスラエルを奇襲攻撃したように韓国もまた北朝鮮の核脅威に常にさらされている。北朝鮮が核を使う場合に直面する結果に対し韓米が『戦略的明確性』に立ったロードマップを急いで作り、より具体的な警告メッセージを送る必要がある」と話した。
ただし米国内部では共和党を中心にウクライナを除いてイスラエルを支援する予算案だけ別に処理しようとする雰囲気が優勢になるなど、同盟・友邦支援に対する疲労度が貯まった状況だ。これに加えてもし来年の大統領選挙でトランプ前大統領が当選する場合、バイデン政権の同盟中心基調を廃棄して自国中心主義に背を向ける可能性が大きい。韓国の安全保障を米国に「外注」しながら持ちこたえるにはリスクが大きいという声が高まる理由だ。
◇韓国も国際的役割めぐりジレンマ
また別の課題は、米国を中心に自由主義陣営がひとつになって複数の戦場に対応する中で、韓国も国際的地位に見合った役割を遂行する必要性が大きくなった点だ。しかし韓国は先月17日、最小500人の命を奪ったと推定されるガザ地区の病院爆発に対し政府レベルの別途の立場を出しておらず、先月27日のイスラエルとハマスの休戦を促す国連総会決議案採決も棄権した。
これと関連し、韓国外交部当局者は先月31日に記者らと会い、「ハマスのテロを糾弾し人質解放を促す内容が含まれておらず棄権した。韓国政府はイスラエルとハマスの武力衝突が激化し死傷者が急増することを深く懸念する」とだけ話した。
韓国がウクライナ戦争、イスラエルとハマスの戦争など大規模民間人殺傷が広がる事態に対し機械的に中立だけ守り消極的な対応で一貫するならば、価値や原則をまともに立てられない国のように映る恐れがある。場合によっては西側に引きずられるように仕方なく声を出させられるかもしれない。韓国は来年国連安保理非常任理事国進出を控えているだけに、より主体的に対応方向を確立する必要があるという指摘が出ている。
慶南(キョンナム)大学極東問題研究所のイ・ビョンチョル教授は「韓国政府もまた、中東情勢を韓国の安保に多大な影響を及ぼす準危機状況とみて国政に臨まなければならない。対外的には国際法と国連憲章に立脚した基本立場を確立し、国の地位に見合う声を出さなければならない」と話した。
米国、4つの戦争まで? 「安保外注化」のリスク拡大…韓国にも余波(1)
中東での戦争拡大はかろうじて防ぐとしても米国の外交力がすでにウクライナ、台湾、南シナ海などの地で相当部分消耗している点が問題だ。ハマスの最高指導者を務めたハーリド・マシャ氏は最近メディアインタビューで「米国の関心をウクライナから奪った点でロシアはハマスに感謝している。中国も今回の事態を良い契機とみて台湾に向かった『計画』を準備している」と主張した。
実際に中国の景気低迷で習近平主席のリーダーシップに対する懐疑論がふくらみ「台湾侵攻説」の時期とされる2027年以前に中国が行動に出るかもしれないという懸念が深まっている。
これに加えて南シナ海をめぐる中国とフィリピンの領有権紛争も最近激化している。先月22日には南シナ海でフィリピンの補給船を中国海洋警察が阻止し両国の船舶が衝突した。米国はバイデン大統領が直接乗り出し「フィリピン船舶に対するいかなる攻撃も米国とフィリピンの相互防衛条約発動事案」(先月25日、ホワイトハウス記者会見)としながら警告した。
だが南シナ海を管轄する中国軍は先月30日、「海空軍兵力を組織しフィリピン護衛艦に対応した」と明らかにするなど緊張レベルを高めた。南シナ海の緊張が海洋警察次元の紛争を超えて「中国軍対フィリピン軍」の対立に飛び火しかねない状況だ。
◇北朝鮮の制御能力が至急
こうした中、韓国は韓半島が新たな紛争の導火線にならないよう管理しなければならないという課題に直面した。米国の防衛能力が分散した状況で北朝鮮が韓半島を弱点と判断して挑発に出る可能性が隠れているためだ。
峨山(アサン)政策研究院のコ・ミョンヒョン選任研究委員は、「ハマスがイスラエルを奇襲攻撃したように韓国もまた北朝鮮の核脅威に常にさらされている。北朝鮮が核を使う場合に直面する結果に対し韓米が『戦略的明確性』に立ったロードマップを急いで作り、より具体的な警告メッセージを送る必要がある」と話した。
ただし米国内部では共和党を中心にウクライナを除いてイスラエルを支援する予算案だけ別に処理しようとする雰囲気が優勢になるなど、同盟・友邦支援に対する疲労度が貯まった状況だ。これに加えてもし来年の大統領選挙でトランプ前大統領が当選する場合、バイデン政権の同盟中心基調を廃棄して自国中心主義に背を向ける可能性が大きい。韓国の安全保障を米国に「外注」しながら持ちこたえるにはリスクが大きいという声が高まる理由だ。
◇韓国も国際的役割めぐりジレンマ
また別の課題は、米国を中心に自由主義陣営がひとつになって複数の戦場に対応する中で、韓国も国際的地位に見合った役割を遂行する必要性が大きくなった点だ。しかし韓国は先月17日、最小500人の命を奪ったと推定されるガザ地区の病院爆発に対し政府レベルの別途の立場を出しておらず、先月27日のイスラエルとハマスの休戦を促す国連総会決議案採決も棄権した。
これと関連し、韓国外交部当局者は先月31日に記者らと会い、「ハマスのテロを糾弾し人質解放を促す内容が含まれておらず棄権した。韓国政府はイスラエルとハマスの武力衝突が激化し死傷者が急増することを深く懸念する」とだけ話した。
韓国がウクライナ戦争、イスラエルとハマスの戦争など大規模民間人殺傷が広がる事態に対し機械的に中立だけ守り消極的な対応で一貫するならば、価値や原則をまともに立てられない国のように映る恐れがある。場合によっては西側に引きずられるように仕方なく声を出させられるかもしれない。韓国は来年国連安保理非常任理事国進出を控えているだけに、より主体的に対応方向を確立する必要があるという指摘が出ている。
慶南(キョンナム)大学極東問題研究所のイ・ビョンチョル教授は「韓国政府もまた、中東情勢を韓国の安保に多大な影響を及ぼす準危機状況とみて国政に臨まなければならない。対外的には国際法と国連憲章に立脚した基本立場を確立し、国の地位に見合う声を出さなければならない」と話した。
米国、4つの戦争まで? 「安保外注化」のリスク拡大…韓国にも余波(1)
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