米国のバイデン大統領とトランプ前大統領のリターンマッチになる来年の米国大統領選挙で2人は共に「米国」を前面に出した。ところで2人が考える米国の役割と目指すところは完全に異なる。
バイデン大統領の選挙ホームページには「米国が戻ってきた(America is back)」というスローガンが掲げられている。民主主義の価値連帯同盟体制で米国の役割を強調したバイデン政府の哲学が込められた言葉だ。反面、トランプ前大統領のスローガンは「米国を再び偉大に(MAGA・Make America Great Again)」だ。徹底した自国優先主義に中心を置いたトランプ政府のキーワードだ。
大統領選挙で誰が勝つかによってグローバルスーパーパワー・米国の本質そのものが変わる場合もあるという意味だ。北朝鮮の常時的威嚇の中で米国を唯一の同盟国としている韓国の立場では外交・安保・軍事・経済など全領域にわたって全面的な戦略修正を迫られる状況に直面する可能性がある。
◇「在韓米軍は同盟の力」vs「韓国、安保タダ乗り」
バイデン大統領は5月、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)の式典で在韓米軍に言及して「米軍は民主主義に対する最高の期待値を具現化してきており、我々が自由の松明になれると確信させてくれた」と述べた。
その言葉通り、バイデン政府は4月ワシントン宣言を通じて核協議グループ(NCG)を構成して同盟である韓国を核兵器の共同企画と実行に参加させて戦略的安保同盟の軸に据えたことに続き、8月には韓日米キャンプデービッド首脳会議を経て脅威に対して共同で対応する安保同盟体制を完成させた。バイデン大統領が再選に成功すれば韓日米の三角同盟は軍事分野を越えて経済協力など全分野を網羅する核心軸になる可能性もある。
反面、トランプ前大統領にとって安全保障は金のかかる「費用の問題」だ。トランプ氏は在任時期に「同盟国のほうが敵よりも我々をはるかに利用している」と主張した。韓国が安保「タダ乗り」をしているとし、防衛費分担金を従来比5倍以上となる50億ドル(現レートで約7524億円)要求した。金をもっと出さなければ在韓米軍を撤収する可能性もあるとも話した。今回の大統領選挙を控えて公開した事前公約の性格を持つ「アジェンダ47」にも“お金の論理”が適用されている。ウクライナ戦争支援に対して「米国は2000億ドルを使ったし、欧州に賠償を要求するだろう」とも主張した。バイデン大統領の「台湾防御」公約に対しても「バカしかやらないこと」と批判した。
韓国元駐ロシア大使の魏聖洛氏は2日の電話取材に対して「トランプが当選する場合、防衛費だけでなく拡大抑止力、軍事訓練、台湾状況などすべてのイシューに対してバイデンと反対に進む可能性がある」とし「さらにこの過程で在韓米軍縮小または撤退を圧迫の要素にする可能性も排除することはできない」と展望した。
実際に保守志向の米シンクタンクであるヘリテージ財団が今年9月に公開した報告書「プロジェクト2025」でも北朝鮮の脅威に関連して「韓国が防御を主導できるようにしなければならない」と強調している。
◇「戦略的忍耐」vs「金正恩は私の友人」
もしトランプ第2期政府がスタートした場合、同盟国と共に北朝鮮を徹底的に圧迫して長期的な「降参」を引き出す形のバイデン政府の「戦略的忍耐」戦略が廃棄される可能性もある。集団的同盟体制を優先したバイデン大統領とは違い、トランプ前大統領は個別国との「1対1談判」を好む。在任時期、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と自ら3回会ったのもこのためだ。
米州韓人有権者連帯(KAGC)のキム・ドンソク代表は先月30日、ワシントン特派員懇談会で「米朝関係には『ハプニング』が起きる可能性がある」とし「(トランプ前大統領が)金正恩に再び会談を持ちかけるものとみられる」と展望した。
しかし「交渉の達人」を自任したトランプ氏は金正恩氏を「私の友人(My friend)」と呼んで交渉の妥結に自信を持っていたが、交渉は2019年2月「ハノイノーディル」を通じて結論が「失敗」と出た。特に北朝鮮に対する軽率なアプローチは北朝鮮が西側とは対話の扉を完全に閉じて中露などの友邦と強く結集して核・ミサイル技術を急速に高度化するなど状況をかえって悪化させる契機になった。
慶煕(キョンヒ)大学政治外交学科のソ・ジョンゴン教授は「韓国が完全に排除された状態でトランプ式『トップダウン』方式の対朝交渉が行われる場合、最悪のシナリオまで念頭に置かなければならない」とし「トランプは北朝鮮の核を事実上認めて米国を攻撃する大陸間弾道ミサイル(ICBM)だけを廃棄させる方式を最も速くて現実性ある『良いディール』と誤認することになる可能性も排除することはできない」と懸念した。
<米大統領選挙D-1年>バイデン「在韓米軍、同盟の力」vsトランプ「韓国、米国自動車産業を破壊」(2)
バイデン大統領の選挙ホームページには「米国が戻ってきた(America is back)」というスローガンが掲げられている。民主主義の価値連帯同盟体制で米国の役割を強調したバイデン政府の哲学が込められた言葉だ。反面、トランプ前大統領のスローガンは「米国を再び偉大に(MAGA・Make America Great Again)」だ。徹底した自国優先主義に中心を置いたトランプ政府のキーワードだ。
大統領選挙で誰が勝つかによってグローバルスーパーパワー・米国の本質そのものが変わる場合もあるという意味だ。北朝鮮の常時的威嚇の中で米国を唯一の同盟国としている韓国の立場では外交・安保・軍事・経済など全領域にわたって全面的な戦略修正を迫られる状況に直面する可能性がある。
◇「在韓米軍は同盟の力」vs「韓国、安保タダ乗り」
バイデン大統領は5月、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)の式典で在韓米軍に言及して「米軍は民主主義に対する最高の期待値を具現化してきており、我々が自由の松明になれると確信させてくれた」と述べた。
その言葉通り、バイデン政府は4月ワシントン宣言を通じて核協議グループ(NCG)を構成して同盟である韓国を核兵器の共同企画と実行に参加させて戦略的安保同盟の軸に据えたことに続き、8月には韓日米キャンプデービッド首脳会議を経て脅威に対して共同で対応する安保同盟体制を完成させた。バイデン大統領が再選に成功すれば韓日米の三角同盟は軍事分野を越えて経済協力など全分野を網羅する核心軸になる可能性もある。
反面、トランプ前大統領にとって安全保障は金のかかる「費用の問題」だ。トランプ氏は在任時期に「同盟国のほうが敵よりも我々をはるかに利用している」と主張した。韓国が安保「タダ乗り」をしているとし、防衛費分担金を従来比5倍以上となる50億ドル(現レートで約7524億円)要求した。金をもっと出さなければ在韓米軍を撤収する可能性もあるとも話した。今回の大統領選挙を控えて公開した事前公約の性格を持つ「アジェンダ47」にも“お金の論理”が適用されている。ウクライナ戦争支援に対して「米国は2000億ドルを使ったし、欧州に賠償を要求するだろう」とも主張した。バイデン大統領の「台湾防御」公約に対しても「バカしかやらないこと」と批判した。
韓国元駐ロシア大使の魏聖洛氏は2日の電話取材に対して「トランプが当選する場合、防衛費だけでなく拡大抑止力、軍事訓練、台湾状況などすべてのイシューに対してバイデンと反対に進む可能性がある」とし「さらにこの過程で在韓米軍縮小または撤退を圧迫の要素にする可能性も排除することはできない」と展望した。
実際に保守志向の米シンクタンクであるヘリテージ財団が今年9月に公開した報告書「プロジェクト2025」でも北朝鮮の脅威に関連して「韓国が防御を主導できるようにしなければならない」と強調している。
◇「戦略的忍耐」vs「金正恩は私の友人」
もしトランプ第2期政府がスタートした場合、同盟国と共に北朝鮮を徹底的に圧迫して長期的な「降参」を引き出す形のバイデン政府の「戦略的忍耐」戦略が廃棄される可能性もある。集団的同盟体制を優先したバイデン大統領とは違い、トランプ前大統領は個別国との「1対1談判」を好む。在任時期、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と自ら3回会ったのもこのためだ。
米州韓人有権者連帯(KAGC)のキム・ドンソク代表は先月30日、ワシントン特派員懇談会で「米朝関係には『ハプニング』が起きる可能性がある」とし「(トランプ前大統領が)金正恩に再び会談を持ちかけるものとみられる」と展望した。
しかし「交渉の達人」を自任したトランプ氏は金正恩氏を「私の友人(My friend)」と呼んで交渉の妥結に自信を持っていたが、交渉は2019年2月「ハノイノーディル」を通じて結論が「失敗」と出た。特に北朝鮮に対する軽率なアプローチは北朝鮮が西側とは対話の扉を完全に閉じて中露などの友邦と強く結集して核・ミサイル技術を急速に高度化するなど状況をかえって悪化させる契機になった。
慶煕(キョンヒ)大学政治外交学科のソ・ジョンゴン教授は「韓国が完全に排除された状態でトランプ式『トップダウン』方式の対朝交渉が行われる場合、最悪のシナリオまで念頭に置かなければならない」とし「トランプは北朝鮮の核を事実上認めて米国を攻撃する大陸間弾道ミサイル(ICBM)だけを廃棄させる方式を最も速くて現実性ある『良いディール』と誤認することになる可能性も排除することはできない」と懸念した。
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