小型木船に乗って24日に江原道束草(カンウォンド・ソクチョ)付近の東海(トンへ、日本名・日本海)北方限界線(NLL)を越えてきた北朝鮮住民4人が亡命理由として「空腹」を訴えている中、これと矛盾するように北朝鮮官営メディアは連日「豊作」を宣伝している。専門家の間では北朝鮮が主張する豊作が事実だとしても食糧増加分が大きくなく、慢性的な食糧難を克服することができるかは未知数という分析がある。北朝鮮政権は豊作を祝っているが、空腹に苦しめられて脱北する住民たちは引き続き出てくる可能性がある。
◇北朝鮮、連日「豊作」宣伝…穀物値も安定傾向
北朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は25日、最大穀倉地帯と自称する黄海南道(ファンヘナムド)地域の秋の収穫のニュースを伝えながら、各農場の田畑に例年にないほどの豊かな作物ができたとして一部では2倍以上の収穫があったと主張した。
これは北朝鮮当局が先月金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のロシア訪問当時、ロシア側の食糧援助提案を断り「今年はかなり高い水準の収穫量を達成した」と明らかにしたこととも一脈通じる。また、北朝鮮の立場では食糧問題解決を最優先国政課題として推進した金委員長の成果を印象づけようとする側面もあるとみられる。
専門家も北朝鮮地域の今年の食糧作況が改善したという評価を出した。脱北民出身であるキム・ヒョク韓国農漁村公社農漁村研究員上級研究員は「北朝鮮メディアが公開した映像に登場する穀物のつき具合や熟し具合などから推測すると、今年刈り取られた稲の状態は昨年よりもかなり良好」と評価した。
北朝鮮内の穀物価格も安定傾向を示している。日本の北朝鮮専門メディア「アジアプレス」によると、北朝鮮内のトウモロコシ価格は20日基準1キロ当たり2550ウォン(北朝鮮貨幣単位、約41円)で、今年に入って最低値を記録した。9月1キロ当たり6800ウォンまで上昇していたコメ価格も5700ウォンまで落ちて一般住民たちが体感する食料受給状況も小幅ではあるが良くなった可能性がある。
◇「食糧難解消にはまだ力不足」
このように春の干ばつ、夏の洪水、日照量不足など気象悪化によって作況に打撃を受けた昨年とは違い、今年北朝鮮地域の食糧作況は例年水準を回復するだろうという観測が主流だ。それでも慢性的な食糧難を解消する水準ではないというのが専門家の大まかな評価だ。
IBK経済研究所のチョン・ユソク研究委員は「北朝鮮住民が個人的に耕作した穀物が出てきて市場価格が一時的に下落したものとみられる」とし「中国・ロシアからコメ・小麦粉などを持ち込んものも一定部分で影響を及ぼしたとみられる」と話した。北朝鮮当局が2021年、食糧状況が「緊張」したものになりつつあるとする金委員長の発言以来、集中的に食糧問題の解決に注力しているが、自主的な努力ではなく気象条件や外国からの需給など外部要因が食糧作物状況にもっと直接的な影響を及ぼしているということだ。
韓国統一部は北朝鮮の年平均食糧不足量を約80万トン規模と見積もっている。専門家はこのような慢性的な食糧難は社会主義システムそのものの限界に起因した側面があるとみている。したがって自営農に準ずる水準で農業システムを根本的に改革しなければ単純増産を通した食糧問題解決は難しいだろうという指摘だ。
◇「苦難の行軍」時期よりも厳しい
実際に北朝鮮の最近1人当たりの糧穀供給量は数百万人の餓死者が発生した「苦難の行軍」時期にも至らないという分析も出ている。韓国国家安全保障戦略研究院のイム・スホ責任研究委員は12日に発表した「配給と市場の衝突」と題する報告書で、2020~2022年北朝鮮の1人当たりの糧穀供給量が182キロに急減したが、これは苦難の行軍時期である1994~1999年1人当たり糧穀供給量だった201キロを下回る水準だと明らかにした。
イム研究委員は北朝鮮で物理的・心理的に深刻な供給危機が迫った原因として、「配給-市場並立体制」から政府が一括統制する「糧穀販売所」に糧穀流通制度を転換したことを挙げた。「北朝鮮の食糧事情は伝えられているよりも悪い可能性が高く、被害は主に低所得層に集中している」としながらだ。
北朝鮮が今後も市場を排除したまま穀物の生産・流通を直接統制する「新糧穀政策」を土台に各地域の農場で生産した糧穀を計画に基づいて徹底的に先行買いすれば、来年初めの春窮期を控えて再び食糧不足事態が続く可能性が高くなると専門家は指摘している。
実際に韓国政府は今年初めに北朝鮮の一部地域で餓死者が多数発生した背景について「まず前年に比べて生産量が減少したことが挙げられ、次に北朝鮮当局で食糧供給と流通を統括する政策に変化の動向が現れたことから流通に問題がある可能性がある」と分析した(2023年2月21日統一部当局者)。
◇北朝鮮、連日「豊作」宣伝…穀物値も安定傾向
北朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は25日、最大穀倉地帯と自称する黄海南道(ファンヘナムド)地域の秋の収穫のニュースを伝えながら、各農場の田畑に例年にないほどの豊かな作物ができたとして一部では2倍以上の収穫があったと主張した。
これは北朝鮮当局が先月金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のロシア訪問当時、ロシア側の食糧援助提案を断り「今年はかなり高い水準の収穫量を達成した」と明らかにしたこととも一脈通じる。また、北朝鮮の立場では食糧問題解決を最優先国政課題として推進した金委員長の成果を印象づけようとする側面もあるとみられる。
専門家も北朝鮮地域の今年の食糧作況が改善したという評価を出した。脱北民出身であるキム・ヒョク韓国農漁村公社農漁村研究員上級研究員は「北朝鮮メディアが公開した映像に登場する穀物のつき具合や熟し具合などから推測すると、今年刈り取られた稲の状態は昨年よりもかなり良好」と評価した。
北朝鮮内の穀物価格も安定傾向を示している。日本の北朝鮮専門メディア「アジアプレス」によると、北朝鮮内のトウモロコシ価格は20日基準1キロ当たり2550ウォン(北朝鮮貨幣単位、約41円)で、今年に入って最低値を記録した。9月1キロ当たり6800ウォンまで上昇していたコメ価格も5700ウォンまで落ちて一般住民たちが体感する食料受給状況も小幅ではあるが良くなった可能性がある。
◇「食糧難解消にはまだ力不足」
このように春の干ばつ、夏の洪水、日照量不足など気象悪化によって作況に打撃を受けた昨年とは違い、今年北朝鮮地域の食糧作況は例年水準を回復するだろうという観測が主流だ。それでも慢性的な食糧難を解消する水準ではないというのが専門家の大まかな評価だ。
IBK経済研究所のチョン・ユソク研究委員は「北朝鮮住民が個人的に耕作した穀物が出てきて市場価格が一時的に下落したものとみられる」とし「中国・ロシアからコメ・小麦粉などを持ち込んものも一定部分で影響を及ぼしたとみられる」と話した。北朝鮮当局が2021年、食糧状況が「緊張」したものになりつつあるとする金委員長の発言以来、集中的に食糧問題の解決に注力しているが、自主的な努力ではなく気象条件や外国からの需給など外部要因が食糧作物状況にもっと直接的な影響を及ぼしているということだ。
韓国統一部は北朝鮮の年平均食糧不足量を約80万トン規模と見積もっている。専門家はこのような慢性的な食糧難は社会主義システムそのものの限界に起因した側面があるとみている。したがって自営農に準ずる水準で農業システムを根本的に改革しなければ単純増産を通した食糧問題解決は難しいだろうという指摘だ。
◇「苦難の行軍」時期よりも厳しい
実際に北朝鮮の最近1人当たりの糧穀供給量は数百万人の餓死者が発生した「苦難の行軍」時期にも至らないという分析も出ている。韓国国家安全保障戦略研究院のイム・スホ責任研究委員は12日に発表した「配給と市場の衝突」と題する報告書で、2020~2022年北朝鮮の1人当たりの糧穀供給量が182キロに急減したが、これは苦難の行軍時期である1994~1999年1人当たり糧穀供給量だった201キロを下回る水準だと明らかにした。
イム研究委員は北朝鮮で物理的・心理的に深刻な供給危機が迫った原因として、「配給-市場並立体制」から政府が一括統制する「糧穀販売所」に糧穀流通制度を転換したことを挙げた。「北朝鮮の食糧事情は伝えられているよりも悪い可能性が高く、被害は主に低所得層に集中している」としながらだ。
北朝鮮が今後も市場を排除したまま穀物の生産・流通を直接統制する「新糧穀政策」を土台に各地域の農場で生産した糧穀を計画に基づいて徹底的に先行買いすれば、来年初めの春窮期を控えて再び食糧不足事態が続く可能性が高くなると専門家は指摘している。
実際に韓国政府は今年初めに北朝鮮の一部地域で餓死者が多数発生した背景について「まず前年に比べて生産量が減少したことが挙げられ、次に北朝鮮当局で食糧供給と流通を統括する政策に変化の動向が現れたことから流通に問題がある可能性がある」と分析した(2023年2月21日統一部当局者)。
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