ハマスの攻撃に対する応戦にもかかわらず、国際社会が一斉にイスラエルを引き止めたり批判したりしている。ヒズボラとイランまでが参戦する可能性のためだが、それよりも戦争が拡大する前にすでに大規模な民間人被害が生じているからだ。

当初、非難の声はハマスに向かった。イスラエルに対するハマスのテロ攻撃があった直後の１０日、米国のバイデン大統領は「我々はイスラエルを支持する」と２度強調し、ハマスの攻撃を「完全な悪の行動」と規定した。そしてハマスのようなテロリストは意図的に民間人を標的にして殺害するが、「我々は戦争法を遵守する」という点で彼らとの違いを強調した。

◆イスラエルの大規模民間人殺傷


ところがイスラエルがパレスチナ自治区のガザ地区に対する無分別な空襲で大規模な民間人殺傷を起こすと、状況が変わり始めた。狭く長い領土のガザ地区はハマスの拠点であり、約２１０万人が居住する。世界で人口密集度が最も高い地域であり、全体居住者のうち半分が１８歳未満だ。

現在、連日死傷者数が急増しているが、１９日基準でガザ地区で少なくとも４０７９人が死亡し、うち３４２０人が民間人と集計された。また、約１万５０００人が負傷したが、うち５０％以上が子どもと女性であることが把握された。

イスラエル指導部は今回の反撃でハマスが地球上から消えることになり、ガザ地区は縮小するはずだと決戦の意志を明らかにした。今後の攻撃の芽を今回は必ず摘み取るということだ。こうした目標を達成するため民間人の被害は避けられないと判断したとみられる。

◆イスラエルに自制を要請する国際社会

これを受け、国際社会はイスラエル軍が犯した人道的惨状を知らせて非難する声と、さらに遅れる前にイスラエル政府が地上戦をしないよう米国が説得してほしいと要請する声が高まっている。米国がイスラエルに大規模な軍事援助をしてきただけに、米国が民間人殺傷に間接的に寄与する形で放置してはいけないという声も多い。

こうした世論を意識した後の１８日、バイデン大統領は国民向けの演説で、ハマスは攻撃に相応の代価を払うべきという点のほか、イスラエルは「戦争法に基づく作戦を遂行」しなければならず、「民間人を保護するべき」という点も強調した。また米国は「２国家共存解決案（ｔｗｏ－ｓｔａｔｅ　ｓｏｌｕｔｉｏｎ）」を放棄せず「イスラエルとパレスチナが共に安全と尊厳、平和の中で暮らす資格がある」と明らかにした。パレスチナ自治区域に変更を加えようとするイスラエル政府の意図を支持しないものとみられる。


【コラム】奇襲攻撃受けたイスラエルの応戦、国際社会が引き止める理由（２）