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「彼が一生懸命働くほど国は滅びる」…価格が27倍になった中国禁書の警告

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

明の最後の皇帝、崇禎帝。[中央フォト]

先月中国北京の書店から一斉に消えた本があった。明(1368~1644)の最後の皇帝、崇禎帝を扱った歴史書物だ。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は『崇禎:勤政的亡国君(崇禎帝:失敗した王朝の勤勉な皇帝)』と題するこの本が禁書になったとし、21日(現地時間)、「約400年前の皇帝の悲劇を扱ったこの本が、いま書店だけでなくオンラインで検閲の対象になっている」と報じた。



FTは「中国は現在執権中の指導者を連想させて類似点を描くことができるすべてのものを検閲の対象としてきた」とし「中国内では『くまのプーさんに続いて過去の皇帝まで問題にするのか』という批判まで出ている」と付け加えた。ラジオ・フリー・アジア(RFA)も22日、この本に関する内容を伝えながら「規制が緩いオンライン中古書店ではこの本が秘密裏に定価の27倍である1280元(約2万6000円)で取り引きされている」とし「政府に対する大衆の不満が間接的に表出されている」とこの現象を分析した。FTは「国営書店から独立書店まで至るところに足を運んでみたが『今月17日から販売できない』という回答しか受け取れなかった」とし「(中国)外交部に関連のことを問い合わせてみたが回答をすぐに受け取ることができなかった」と伝えた。


崇禎帝は1628年17歳の年齢で即位した。亡国の主人公ではあるが、評価は批判一辺倒ではない。以前の皇帝とは違って贅沢をせず、権力を乱用した宦官勢力を除去して政治改革に取り組んだという点からだ。しかし粛清など政治改革の過程で政争を激化させ、「李自成の乱」と呼ばれる農民蜂起と、後金の侵入などを防ぐことができなかった。反乱軍が進撃してくると後宮らを殺して本人は紫禁城の外の木で首を吊って死んだ。

この禁書は崇禎帝が心を砕いて講じたさまざまな措置がどのように状況を悪化させたかに注目している。RFAは「本の内容のうち『一つの誤った行動が別の間違いにつながり、崇禎帝が熱心に仕事に打ち込むほど国の没落は加速した』という部分が一部の論客の間で注目を浴びた」とし「その過程で習近平主席と中国のそれぞれの最後の皇帝を比較する文章がオンラインで公開された」と禁書になった背景を説明した。該当の内容には習主席の名前はなかったが、代わりに一部批判勢力が習主席の別称を使って検閲の対象になっている「くまのプーさん」が言及されていたという。

しかし中国社会特性上、このような批判は一部で迂回的に、匿名オンラインなどで行われていた。それでも中国当局の大々的な取り締まりの対象になった理由は何だろうか。FTは「習主席執権後、検閲は繰り返し強化されてきたが特に今年は深刻だった」とし「コロナ禍パンデミックを経験して経済がさらに厳しくなり、特に消費者と小商工人の間の(政権に対する)不満が高まったため」と分析した。RFAも「人々が自由に意見を言うことができない中国で、特定の本や情報を通じて政権に対して批判をする雰囲気が形成された」と伝えた。

習主席本人が歴史に対して強い信頼を持っている点も検閲強化の背景だとFTは紹介した。英国ロンドン大学ギングス・カレッジで中国学を専門としているケリー・ブラウン教授はFTに対して「習主席本人が、歴史はパターンの繰り返しであることを信じているようだ」とし「演説文の中にも歴史の教訓を挿入することが多い」と説明した。また「そのような習主席を批判する対象もまた、歴史での比較を通じて行われている」とし「習主席本人が皇帝のような存在になったため」と付け加えた。習主席は2018年当時に憲法に指摘された国家主席職2連任超過禁止条項を削除し、実際に2022年に3連任を確定した。事実上の終身執権という点で、習主席に対して「習皇帝」という批判が出てきた。



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