イングランドのプロサッカープレミアリーグ（ＥＰＬ）で活躍しているサッカー選手孫興慜（ソン・フンミン）をギャラクシーブランドのアンバサダーに起用したサムスン電子が再び「手首の上の戦争」を始めた。スマートウォッチをはじめとするウェアラブル機器に搭載された健康管理機能がますます高度化し、アップルとの生態系主導権争いもさらに激化すると予想される。

サムスン電子の公式ユーチューブアカウントで公開された長さ４分３０秒の「ギャラクシーウォッチ６」プロモーション動画に孫興慜選手が登場し、ギャラクシーウォッチ６の強化された睡眠管理機能を強調した。

動画の最後の部分ではギャラクシーウォッチ６を通じて自身の睡眠情報を確認した孫興慜選手がリンゴを１口かじった後、これをそのままミキサーに入れすり下ろすシーンがクローズアップされた。孫興慜選手がギャラクシーウォッチ６を着用した手でリンゴジュースを持って家を出る映像で終わる。競合会社であるアップルのアップルウォッチを狙った場面だ。この映像はサムスン電子のグローバルチャンネルに掲載され熱い呼応を受けている。


これに先立ちサムスン電子米国法人は今月初めにユーチューブ公式アカウントでギャラクシーユーザーをロミオ、ｉＰｈｏｎｅユーザーをジュリエットに例えた動画を上げた。アップル独自のメッセージサービス「ｉＭｅｓｓａｇｅ」の閉鎖性を狙ったものだ。

単純にアップルを牽制することがマーケティングの目標ではない。特定ブランドのスマートフォンユーザーがそのまま機器生態系全体にはまるロックイン効果がますます大きくなり、ブランドアイデンティティを育てようとする競争が激しくなったとみることができる。未来拡張現実（ＸＲ）機器などの市場拡大を控え忠誠顧客の確保がより重要になった。

市場調査会社カウンターポイントリサーチによると、先月基準で米国の１０代の消費者のうち８７％がｉＰｈｏｎｅを使う。回答者の３４％はｉＰｈｏｎｅを購入した後アップルウォッチまで使っていると答え、機器間の連結性の影響力を立証した。

アップルはアップルウォッチを前面に出して１－３月期にウェアラブル機器市場でシェア２６％でトップを走っている。その後をサムスン電子とインドのファイヤーボルトが９％で追撃中だ。２０１５年に創業したファイヤーボルトは１０万ウォン以下の普及型モデルを中心に開発途上国市場を掌握し、世界で最も速く成長するスマートウォッチブランドとなった。

ギャラクシーＡシリーズをはじめとして中低価格モデルを相次いで出し新興国市場防衛に出たサムスンはギャラクシーウォッチ浸透率を高めてユーザーの機器連結性を拡張しなければならないという課題を抱えることになった。

スマートウォッチ市場は機器生態系でスマートフォンを除けば無線イヤホンに次いで２番目に大きい。業界は手首の上で体成分、心拍、血圧、心電図など各種健康情報をリアルタイムでモニタリングできるプラットフォームとして潜在力に注目する。

サムスン電子はギャラクシーウォッチシリーズのキラーコンテンツとして睡眠管理を掲げた。最近睡眠時無呼吸症早期発見支援機能が食品医薬品安全処の許可を受けたりもした。この機能で血中酸素飽和度を測定し睡眠時無呼吸症を感知する。来年初めにアプリのアップデートを通じてギャラクシーウォッチ５とウォッチ６シリーズで利用できるようになる。

アップルもやはり先月独自基本ソフトの「ｉＯＳ１７」「ウォッチＯＳ１０」へのアップデートで感情と気持ちを記録し、精神健康を管理できる機能を追加するなど関連市場に参入した。グーグルもやはり今月初めにスマートウォッチのピクセルウォッチ２を公開し肌温度、運動感知機能を強化したと明らかにした。

これら企業はスマートウォッチで収集した生体データをマーケティングと医学情報収集に活用したりもする。こうしたヘルスケア機能に力づけられ世界のスマートウォッチ市場規模は２０２１年の２２０億２０００万ドルから２０２８年には５８２億１０００万ドルまで成長すると予測される。