イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの間の武力衝突が2週間にわたり続く中、隣接するアラブ諸国の内心も複雑になっている。17日にハマスの本拠地であるガザ地区内のアル・アハリ病院の爆発によりこれら地域でイスラエルに対する憤怒が大きくなっているが、アラブ諸国はハマスの支援要請には沈黙している。これと関連し英エコノミストは最近の報道で「アラブ諸国がイスラエルに劣らずハマスに対しても根深い不信を持っているため」とその背景を指摘した。
ひとまずアル・アハリ病院爆発が伝えられた直後からアラブ圏全域では憤怒が拡散中だ。今回の惨事がハマスと関連した武装組織「イスラム聖戦」のロケット弾誤射のためというイスラエルの説明を信じずイスラエルを猛非難中だ。ヨルダン外務省は「イスラエルにこの深刻な事件の責任がある」とし、カタール外務省も「残忍な虐殺であり無防備状態の民間人に対する極悪非道な犯罪」と糾弾した。アラブ首長国連邦(UAE)の大統領府顧問はX(旧ツイッター)を通じ「イスラエルのガザ地区病院攻撃による罪のない人々の悲劇とおぞましい場面」と強調した。レバノンとヨルダン、イラン、エジプト、リビア、イエメン、モロッコ、イラク、チュニジア、トルコなどでイスラエルと米国を糾弾するデモが相次いだ。
だがこうした動きにもアラブ諸国はハマスに対する支援には難色を示している。むしろハマスを批判する気流まで強く表れている。サウジアラビアとUAEの国営放送局はイスラエルの封鎖により厳しい状況に置かれたガザ地区市民の惨状を取材し報道しながらも、この過程でハマス関係者にインタビューしたり彼らの立場を伝えなかった。これに対しアラビア語を話せるイスラエル人にはインタビューした。過去の報道ではイスラエル軍を指し示す時「占領軍」という批判的意味が込められた用語を使ったが、今回の戦争局面では「イスラエル軍」と呼んでいる。
こうした態度は最近中東地域に起こった地政学的変化と関連があるという解釈が出ている。エコノミストは「たった2つのアラブ諸国(エジプト、ヨルダン)と外交関係を結んだイスラエルが2020年からUAE、バーレーン、モロッコ、スーダンの4つのアラブ諸国と修交し、サウジアラビアもイスラエルと国交交渉を広げた。(サウジとUAEの報道姿勢には)イスラエルとの関係改善を進めてきたアラブ諸国の立場が反映されている」と伝えた。
パレスチナ地域と隣接したアラブ諸国はハマスに対しさらに強い拒否感を持っている。エジプト政府はガザ地区とエジプトのシナイ半島をつなぐ陸路であるラファ検問所の開放を徹底して防いでいる。パレスチナ難民の大規模流入だけでなくハマス戦闘員が難民にまぎれてエジプトに入ってくることを強く懸念するためだ。一例として政府寄りジャーナリストのエジプトのイブラヒム・エイサ氏は最近ハマスに向かって「あなたたちのためにエジプト人1億人を危険に陥れろというのか」と批判してエジプト社会で大きな共感を得た。
また別のパレスチナ地域であるヨルダン川西岸地区と隣接したヨルダンもやはりハマスに対する拒否感が大きい。ヨルダンのアブドラ2世国王とエジプトのシシ大統領は19日にカイロで会談し、「パレスチナ住民をヨルダンやエジプトに強制移住させることに反対する」という内容の共同声明を出した。
エジプトとヨルダンは歴史的にムスリム同胞団のパレスチナ支部として出発したハマスに対する視線が厳しい。イスラム過激主義を掲げるムスリム同胞団はエジプトで政権を取ったことがあり、王政であるヨルダンもやはりムスリム同胞団による民衆革命を懸念している。レバノンとシリアでもそれぞれシーア派武装勢力ヒズボラとアサド政権に対する反感からハマスと距離を置こうとする世論が大きい。
ハマスと西側勢力の交渉窓口の役割をしてきたカタールもやはり立場変化が感知される。カタールは2012年に首都ドーハにハマスの政治交渉事務所を出した。現在もハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏が居住している。また、カタールはガザ地区の市民生活を助けるという名目で米国とイスラエルの黙認の下にハマスに数年にわたり財政的支援までしてきた。これを通じハマスの唯一の対外交渉窓口として捕虜交換など水面下の交渉に緊密に関与してきた。
だが今回の紛争でカタールの同盟である米国が積極的にイスラエルに肩入れして状況が変わっている。英王立国際問題研究所のサナム・バキル中東・北アフリカ本部長は「カタールがハマスとの関係を再評価し、時間が過ぎるほど距離を置くことになるだろう」と予想する。エコノミストは「アラブ諸国は『緊張した野次馬』。表向きはパレスチナを支持するが、中ではガザ地区という火の粉が自分たちに降りかからないよう神経を尖らせている」と評価した。
ひとまずアル・アハリ病院爆発が伝えられた直後からアラブ圏全域では憤怒が拡散中だ。今回の惨事がハマスと関連した武装組織「イスラム聖戦」のロケット弾誤射のためというイスラエルの説明を信じずイスラエルを猛非難中だ。ヨルダン外務省は「イスラエルにこの深刻な事件の責任がある」とし、カタール外務省も「残忍な虐殺であり無防備状態の民間人に対する極悪非道な犯罪」と糾弾した。アラブ首長国連邦(UAE)の大統領府顧問はX(旧ツイッター)を通じ「イスラエルのガザ地区病院攻撃による罪のない人々の悲劇とおぞましい場面」と強調した。レバノンとヨルダン、イラン、エジプト、リビア、イエメン、モロッコ、イラク、チュニジア、トルコなどでイスラエルと米国を糾弾するデモが相次いだ。
だがこうした動きにもアラブ諸国はハマスに対する支援には難色を示している。むしろハマスを批判する気流まで強く表れている。サウジアラビアとUAEの国営放送局はイスラエルの封鎖により厳しい状況に置かれたガザ地区市民の惨状を取材し報道しながらも、この過程でハマス関係者にインタビューしたり彼らの立場を伝えなかった。これに対しアラビア語を話せるイスラエル人にはインタビューした。過去の報道ではイスラエル軍を指し示す時「占領軍」という批判的意味が込められた用語を使ったが、今回の戦争局面では「イスラエル軍」と呼んでいる。
こうした態度は最近中東地域に起こった地政学的変化と関連があるという解釈が出ている。エコノミストは「たった2つのアラブ諸国(エジプト、ヨルダン)と外交関係を結んだイスラエルが2020年からUAE、バーレーン、モロッコ、スーダンの4つのアラブ諸国と修交し、サウジアラビアもイスラエルと国交交渉を広げた。(サウジとUAEの報道姿勢には)イスラエルとの関係改善を進めてきたアラブ諸国の立場が反映されている」と伝えた。
パレスチナ地域と隣接したアラブ諸国はハマスに対しさらに強い拒否感を持っている。エジプト政府はガザ地区とエジプトのシナイ半島をつなぐ陸路であるラファ検問所の開放を徹底して防いでいる。パレスチナ難民の大規模流入だけでなくハマス戦闘員が難民にまぎれてエジプトに入ってくることを強く懸念するためだ。一例として政府寄りジャーナリストのエジプトのイブラヒム・エイサ氏は最近ハマスに向かって「あなたたちのためにエジプト人1億人を危険に陥れろというのか」と批判してエジプト社会で大きな共感を得た。
また別のパレスチナ地域であるヨルダン川西岸地区と隣接したヨルダンもやはりハマスに対する拒否感が大きい。ヨルダンのアブドラ2世国王とエジプトのシシ大統領は19日にカイロで会談し、「パレスチナ住民をヨルダンやエジプトに強制移住させることに反対する」という内容の共同声明を出した。
エジプトとヨルダンは歴史的にムスリム同胞団のパレスチナ支部として出発したハマスに対する視線が厳しい。イスラム過激主義を掲げるムスリム同胞団はエジプトで政権を取ったことがあり、王政であるヨルダンもやはりムスリム同胞団による民衆革命を懸念している。レバノンとシリアでもそれぞれシーア派武装勢力ヒズボラとアサド政権に対する反感からハマスと距離を置こうとする世論が大きい。
ハマスと西側勢力の交渉窓口の役割をしてきたカタールもやはり立場変化が感知される。カタールは2012年に首都ドーハにハマスの政治交渉事務所を出した。現在もハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏が居住している。また、カタールはガザ地区の市民生活を助けるという名目で米国とイスラエルの黙認の下にハマスに数年にわたり財政的支援までしてきた。これを通じハマスの唯一の対外交渉窓口として捕虜交換など水面下の交渉に緊密に関与してきた。
だが今回の紛争でカタールの同盟である米国が積極的にイスラエルに肩入れして状況が変わっている。英王立国際問題研究所のサナム・バキル中東・北アフリカ本部長は「カタールがハマスとの関係を再評価し、時間が過ぎるほど距離を置くことになるだろう」と予想する。エコノミストは「アラブ諸国は『緊張した野次馬』。表向きはパレスチナを支持するが、中ではガザ地区という火の粉が自分たちに降りかからないよう神経を尖らせている」と評価した。
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