◆ロシア主導の世界秩序構築機会

これを受け、プーチン大統領には国際社会に新しい秩序を構築する良い機会になるという見方が出ている。ＷＳＪはロシアなど米国の主な地政学的競争国が今回の事態を利用して力の均衡を揺さぶっていると分析した。

プーチン大統領は今月初めの国際有識者会議「バルダイ・クラブ討論会」で「ロシアの任務は新しい世界秩序を構築すること」と強調したが、その後すぐに今回の紛争が発生した。ロシアはイランと対立する米国への非難を強める一方、イランの天敵のイスラエルとは微妙な距離を置いている。プーチン大統領は紛争は始まって９日も経過してからネタニヤフ首相と電話をし、今回の事態に関連してロシアが国連安全保障理事会に提出した草案ではハマスに言及しなかった。


米戦略国際問題研究所（ＣＳＩＳ）のロマン・ルール顧問は「ハマスとの友好的な関係やパレスチナに対する支持は、プーチン大統領が中国・イランと共に西側を相手にした世界的な再編で自身を重要な人物に浮上させるのに役立っている」と分析した。スティムソンセンターも地政学的に今回の事態はロシア・中国・イランの非公式同盟が拡大しているのを見せると伝えた。

◆ロシアが紛争の背後？　証拠ない

こうした利点から今回の紛争の背後にロシアがあるという見方も出ている。ロシアがその間、ハマスと関係を築いてきたのは事実だ。昨年２月のウクライナ戦争の後、ハマスの幹部らがモスクワを訪問した。ハマスは１４日、「わが国民に対する持続的な攻撃とガザ地区包囲、支援物資遮断などに反対したプーチン大統領の立場に感謝する」という声明も発表した。

ただ、ロシアが今回の紛争に介入したという証拠はないと、ＢＢＣ放送は伝えた。ジェームズ・マーティン不拡散研究センター（ＣＮＳ）のハンナ・ノテ研究員は「ロシアはハマスをテロ組織と宣言したことがなく、ロシアのシステムがイランを通じてハマスに進出したことも知っている」とし「それでもロシアがハマスに広範囲な軍事支援をしたとは見ていない」と伝えた。ロシア駐在のイスラエル大使も「我々はロシアがいかなる方法であれ介入したとは信じていない」と述べた。


「ハマスがプーチンに贈ったプレゼント」イスラエル戦争にロシアが笑う（１）