「スタートアップの国」イスラエルがハマスとの戦争でまた別の挑戦にさらされた。「人が資源」の国だが、核心人材が入隊する中で世界的なサービスを維持し革新の火種も守らなければならない。イスラエルはどのように対応し、休戦中の分断国家であり「スタートアップコリア」を指向する韓国が注目すべき点は何だろうか。

◇挑戦を受けるイスラエルのテック産業


イスラエルのスタートアップ従事者の１５％がイスラエルとハマスの戦争の予備役招集を通知されたとフォーブスなど外信が報道した。今回の招集人材３６万人は９２０万人のイスラエルの人口の４％に相当するが、従事者の年齢帯が低いテックスタートアップの特性上、これら企業の在職者の招集割合が高いということだ。


サイバーセキュリティ専門メディアであるザ・レコードメディアは「イスラエルの先端産業核心人材にはイスラエル８２００情報部隊出身が多く、彼らのうち相当数が招集される可能性があり産業が困難に直面する見通し」と報道した。昨年イスラエルの先端技術輸出額は７１０億ドル）で、同国の総輸出額の４８％を占める（２０２３年イスラエル革新産業報告書）。

この渦中にもスタートアップはサービスを持続しなければならない二重苦に陥っている。特にイスラエルが強いサイバーセキュリティなどは２４時間の対応が重要だが、小規模スタートアップは１～２人が抜けただけでも打撃があるためだ。ニューヨーク・タイムズは「イスラエル企業は海外顧客を失望させてはならないというプレッシャーを感じている。イスラエルの技術業界の対応力が試験台に上がった」と報道した。

◇イスラエルの対応

①自国のテック企業が一肌脱ぐ

そうそうたるイスラエルのテック企業が立ち上がった。シーテックなどイスラエルメディアによると、自動運転技術企業モービルアイはイスラエル南部住民支援に５００万ドルを寄付すると発表した。モービルアイはヘブライ大学コンピュータ工学科教授アムノン・シャシュアが１９９９年に創業し、２０１７年に１５４億ドルでインテルに買収された。

技術支援に乗り出した所もある。シーテックによると、イスラエルのフィンテック企業ラピッドは世界のテロ組織から送金される資金を遮断するために専用のウォールーム（作戦指揮室）を設置した。そのほかにも人材管理ソフトウエア会社マンデードットコムは、行方不明者、拉致被害者、負傷者の情報を家族に提供するサービスを、仕事仲介プラットフォームのウォールナッツなどは補給品輸送奉仕などをしている。

②初期スタートアップ守る

初期スタートアップが戦争時期を耐えられるよう助けようという「セーフドームファンド」も組成された。現地メディアによると、元イスラエル軍８２００部隊司令官と革新技術省の元官僚らが主導したという。彼らは米国とイスラエルの個人投資家から５０００万ドルを集め、年末までスタートアップ１００社に最大５０万ドルずつ投資する計画だ。