2019年6月28日、大阪で開催されたG20首脳会議の歓迎式で文在寅(ムン・ジェイン)大統領が安倍晋三首相(左)と8秒間の握手をした後、移動している。 [青瓦台写真記者団]
ほぼ同じ時期、さらにあきれるようなことがあった。東京渋谷付近の飲み屋で在日韓国大使館の外交官と会った時のことだ。当時、中央日報は揺らぐ韓日関係の出口を探るために結成された韓半島平和構築傘下・韓日ビジョンフォーラムの活動を集中報道していた。元現外交官と政界・財界人、韓国・日本専門家が参加したフォーラムだった。ところがこの外交官は「中央日報の底意は何か。どういうつもりで政府を揺さぶるのか。放っておかない」と脅迫した。政府の反日ドライブになぜ反旗を翻すのかという主張にあきれ、下品な言葉まで発して争ったことを思い出す。酒の席は当然、乱れた雰囲気だった。「竹槍歌」に要約される執権勢力の対日強硬コードに魂を売る官僚の素顔だった。政権が交代して対日基調も大きく変わったが、前政権をかばったその外交官は今もうまくやっているというのだから、これにもあきれてしまう。
文在寅(ムン・ジェイン)政権当時のこうした記憶に言及したのは、中央日報が最近連載し始めた朴槿恵(パク・クネ)回顧録のためだ。朴元大統領は「苦労して作った(2015年の)慰安婦合意が文在寅政権によって一方的に『事実上破棄処分』されたことを獄中で聞いた時、言葉では言い表せない惨たんたる気分に包まれた」と回顧した。慰安婦合意の逆転は韓日関係の暗黒期の序幕だった。その後は完全に竹槍歌ムードとなり、記者はその時期に東京特派員として過ごした。