パレスチナ武装勢力ハマスのイスラエル攻撃で触発した戦争が激化する中、米国の支援レベルは「攻撃を受けた同盟」とどう共にするのかを把握する目安になる可能性がある。韓国の立場では、「核の先制使用」を法制化した北朝鮮が韓国に先制打撃をする場合、同盟関係の米国の対応を類推するリトマス試験紙になるということだ。

米国が今回の事態に消極的な態度を見せれば、北朝鮮とロシアに間違った教訓を与えるという懸念もある。米国が同盟・友好国の安保危機状況に積極的に関与しないという印象を与える場合、国連安全保障理事会の決議さえも無視して国際平和までも壊してきた露朝は今後さらに攻撃的で大胆な武力挑発を敢行するおそれがある。

◆ハマスの「ロケット」と北朝鮮の「長射程砲」


今回の戦争は、ハマスが７日未明にイスラエル南部全域に約５０００発のロケット砲を奇襲発射し、少なくとも２００人の武装隊員が奇襲浸透して始まった。イスラエルが迎撃率９５．６％と発表した防空網「アイアンドーム」は対応できなかった。

戦争勃発の契機となったロケット砲は北朝鮮軍の主力武器という点で韓国もいつでもイスラエルと似た安保脅威状況に直面する可能性がある。特に北朝鮮の長射程砲は１時間あたり最大１万６０００発の砲弾とロケット弾を発射でき、ハマスのロケット砲性能を圧倒する。

韓国は北朝鮮の長射程砲を迎撃するための韓国型アイアンドームＬＡＭＤ体系を開発している。しかし２０２７年に戦力化が可能と予想されるうえ、イスラエルの事例のように数千～数万発のロケット砲が同時に発射された場合、これを１００％迎撃できるかも未知数だ。結局、独自の防御システムを備えると同時に、北朝鮮が先制攻撃をしないよう高強度の抑止力を確保する必要があるという指摘が出る理由だ。

申源湜（シン・ウォンシク）国防部長官は９日、最前方陸軍第１歩兵師団を訪れて軍事対応態勢を点検した後、「北は韓国政府の執権２、３年目に大型挑発を敢行してきた」とし「北が得るものより失うものが多いと考えてこそ挑発を抑止することができる」と述べた。

◆「怪物」原子力潜水艦を派遣した米国、韓半島有事には

米国はハマスが奇襲発射した約５０００発のロケット砲でイスラエルが戦争の砲火に包まれると、即刻対応に入った。バイデン米大統領は７日の緊急演説で「イスラエルが必要とするすべてのものを確保できるよう支援する」と述べた。実際、米国は翌日、世界最大原子力空母「ジェラルド・フォード」が含む空母打撃群をイスラエルに近い東地中海に配備し、Ｆ－３５とＦ－１５など戦闘機編隊の追加配備を決めた。イスラエル軍に弾薬を含む武器と軍事装備も送った。

こうした対応公式は韓半島（朝鮮半島）有事にもそのまま適用される可能性が高い。韓半島に核を含む戦略資産を配備し、韓国の対応力を高める各種軍需・安保物資を提供するという形だ。北朝鮮の動向を随時監視し、韓米情報チャンネルを通じてこれを共有して協調する対応も予想される。特に韓米同盟は米国・イスラエル同盟とは違い、一方が攻撃を受ければ別の一方の軍事的介入が可能な相互防衛条約を根拠に結ばれているうえ、約３万人の在韓米軍が駐留しているだけに、韓半島有事の際、米国の直接・間接的介入の強度ははるかに高いと予想される。

変数は高度化する北朝鮮の核兵器だ。ハマスとは違い、北朝鮮は米本土を打撃できる大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）技術をほぼ完成させている。最近は水中核攻撃が可能な戦術核攻撃潜水艦を建造したとも発表した。韓米が４月の首脳会談を通じて拡大抑止を大幅に強化するワシントン宣言を採択したのもこのためだ。

ただ、ワシントン宣言による核協議グループ（ＮＣＧ）も最終的な核使用権限は全面的に米国にあるだけに、韓国の実質的な関与を深めて拡大抑止の信頼度を高める努力が必要だ。実際、次期大統領選挙でトランプ前大統領が当選して同盟軽視および自国優先主義がまた強まる場合、米国の同盟防衛公約はまた揺らぐしかない。


「怪物」原子力空母をイスラエルに派遣した米国…北朝鮮が長射程砲１．６万発を韓国に撃てば（２）