杭州アジア大会開幕式でデジタル聖火リレー走者が点火している。[写真 アジア大会組織委]
このような杭州が今では北京や深圳などと肩を比べる「デジタル都市」の面目を保っている。今回のアジア大会が世界に見せようとしたものがまさにこの「デジタル杭州」だった。それは開幕式に如実に現れていた。デジタル聖火走者は仮想現実を通じて杭州西湖を渡ってメインスタジアムに走って入ってきた。実際の聖火ランナーとデジタル聖火ランナーが一緒に聖火に火を灯す場面は最高のハイライトだった。
先進技術は競技場の至るところで目撃された。ロボット犬は陸上円盤投げで円盤を回収してきたほか、無人自動運転車は競技場を忙しく往復した。2分あればできたての温かいラーメンが食べられる「ラーメン自販機」が選手から人気を集めたりもした。
競技運営もスムーズだったという評価だ。先端デジタル技術で武装した総合状況室のおかげだ。官営中国中央テレビに映る総合状況室は競技場に異常はないか3Dでリアルタイムに点検していた。出入証の発行、メダル・順位集計、選手村の管理、献立など数多くのデータがリアルタイムで処理された。
アリババ系列社であるアリクラウドのクラウドシステムが一役買った。
情報伝送速度が従来の5Gよりも10倍も速いファーウェイ(華為)の5.5G通信インフラがあったため運営可能だったというのが主宰側の説明だ。
「美人の都市」杭州をデジタル都市にした主役はジャック・マー(馬雲)氏だ。マー氏は1995年杭州のみすぼらしいマンションでインターネット事業を始め、1999年今のアリババを設立した。2014年には会社を当時史上最大規模でニューヨーク証券市場に上場させた。杭州が中国インターネット革命の震源地でありデジタル聖地として急浮上した契機だ。「ジャック・マーこそ今回の杭州アジア大会を注目に値するイベントにした最高功労者」といっても過言ではない。
一度くらいは出てくるのではないかと思われた。聖火リレーでなくても観覧席に座っている姿が一瞬でも映るのではないかと期待した。しかしマー氏は招待されなかった。「忌避人物」にでもなったかのようだ。中国メディアさえ「ジャック・マーはなぜいないのか」と問う。
杭州を中国のデジタル聖地にした最高の民営企業家ジャック・マー氏、彼の不在は今日の中国を読むもう一つの観戦ポイントになった。
ハン・ウドク/チャイナラボ上級記者
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