国際社会の懸念にもかかわらず、北朝鮮がロシアと「怪しい取り引き」に乗り出す兆しを見せている。米国の民間衛星会社プラネット・ラボの衛星写真を分析した資料によると、北朝鮮はロシアと国境駅の豆満江（トゥマンガン）駅一帯に大型コンテナと貨物を集結させている。あいにくこのような動きは、金正恩（キム・ジョンウン）委員長がロシアを訪問して帰国した先月１８日以降に現れているという。コンテナや包装された貨物の内部を覗き見ることができず、北朝鮮も公開しておらず、中身は確認されていない。

しかし、露朝両国の否定にもかかわらず、国際社会は彼らの兵器取り引きの疑惑を払拭できずにいる。北朝鮮がウクライナと戦争中のロシアに砲弾や弾薬などを提供する一環として、「危険な取り引き」が現実化しているという分析だ。このような懸念を払拭するためには、双方が堂々と取り引きの品目や現状を公開しなければならない。そうでなければ、国際社会からの厳しい視線、ひいては長い目で大きな制裁の苦痛が住民に近づく可能性があるという事実を肝に銘じなければならない。

北朝鮮は特に、先月２６日から２日間行われた最高人民会議で、核兵器の発展を高度化するという内容を憲法に明記したと明らかにした。１年前に核兵器の先制使用を法制化したことに続き、最高上位法である憲法に核兵器の発展を促す内容を盛り込んだ。金委員長は会議で「核打撃手段の多種化と実戦配備」を強力に実行するよう指示した。国際社会の懸念や北東アジアの平和と安全を気にせず、自分の道だけを進むという一途な歩みであり、米国と韓国に向けた一種のデモだ。


一昨日の夜、北朝鮮は中国杭州で開かれている第１９回アジア競技大会のニュースを伝えながら、韓国チームを「傀儡」と称する荒唐無稽な状況も演出した。記者会見場で「北朝鮮」や「北側」と称した韓国人記者たちに「国家の名称をきちんと呼べ」と反発した北朝鮮が韓国を傀儡と表現するとはつじつまが合わない。しかも、体制と理念を越えるべき国際競技大会を政治化するという非難を避けられなくなった。

今回のアジア競技大会に参加した北朝鮮選手団のユニフォームには、人共旗以外にいかなる商標も付いていない。世界の有名スポーツ用品会社が北朝鮮への後援を徹底的に避けているからだ。スポーツ用品業界でも北朝鮮が独りぼっちになっている現実だ。他国との兵器取り引きや武力示威、法による脅威の高まりなどの逸脱行為を国際社会がいちいち統制するのに限界があり得る。しかし、このような行為は、国際社会で孤立を招き、自らを縛り付けるだけだ。自分の土地に足をつけ、目は世界を見ろと言った金委員長の言葉どおり、国際社会で一匹狼は生き残ることができない。