◇乗り物酔い抑える技術も研究
電気自動車の後部座席に座ると車酔いする人たちに向けた技術も3月からプロジェクト対象に選ばれた。新技術で乗り物酔いまで減らすというのが彼らの抱負だ。先行技術院乗り物酔い緩和技術プロジェクト関係者の説明だ。
「ドライバーごとの運転習慣により乗り物酔いのレベルを測定したデータが集まれば、運転性向などを総合的に考慮してスピードを下げたり出したりする時のパターンを最適化するものです。視聴覚だけでなく触覚など感覚を総合的に活用して走行環境を予測する形で乗り物酔いを減らしたり同乗者の脳波や心拍数などを分析して乗り物酔いを起こすのかなどを予測する技術も研究中です」。
◇「微生物」「キノコ菌」も華麗な変身を準備中
開かれた革新はモビリティだけでなく、より良い暮らし全体を貫く。出退勤時に町中を走る時と恋人と海外にでかけるなど、その日の目的地と走行環境によりぴったりな音楽を選ぶならば便利でないだろうか。
ヒョンデの社内スタートアップから出発した企業のアプレイズがここに解答を提示した。個人の好みを超え天気や商圏、走行情報まで反映した選曲をするというものだ。ヒョンデとの具体的な協業もやはり緊密に議論中だ。
微生物やキノコ菌も投資対象だ。真夏に自動車のエアコンを稼働する時に出るにおいを抑えるために中古車のエアコン蒸発器を回収し4000種余りの微生物を分析した末に不快なにおいを誘発しない微生物の組み合わせを開発した企業がある。
これもまたヒョンデ社内ベンチャー出身のエムバイオムだ。同社のユン・ギヨン代表は「自動車とバイオ、両方で専門性を持つのは難しいが、そうした点でエムバイオムは強みがある」と紹介した。実際にエムバイオムの空気浄化技術(エココーティング)は「ザ・オール・ニューコナ」、インドの戦略車種「サントロ」などにも投入された。ユン代表は「悪臭だけでなくメタンのような温室効果ガスの浄化にも活用できる方向で拡張していく方針」と説明した。
ヒョンデ社内ベンチャー出身のスタートアップ、マイセルはキノコ菌から「持続可能な革」を生産する。捨てられるキノコ菌の死体をキノコではなくマット形に膨らむよう培養する方式だ。マイセルのサ・ソンジン代表は「世界でキノコやかびから革を作る所は4カ所ほどしかない」と話す。特にプレミアム級・ラグジュアリー級自動車ブランドであるメルセデス・ベンツ、BMW、テスラ、ベントレーなどは代替皮革をすでに導入したり開発するなど導入に積極的だ。
奇抜なだけでなくお金まで稼げるアイデアで武装したスタートアップ代表がそろってヒョンデ出身であるのには理由がある。社内スタートアップ(ゼロワンカンパニービルダー)制度のおかげだ。最大3億ウォンまでサポートする上に、創業したものの潰れてしまった時に備え創業後3年までは再入社の機会も与える。
あるスタートアップ代表は「退社して妻を説得する時に再入社の機会がある点を積極的にアピールした」と打ち明けた。会社の垣根を越え新しい分野に進出する社員の負担を減らそうとする配慮が功を奏したのだ。実際にこれまで彼らを含む30社の社内スタートアップが分社し、累積売り上げは2800億ウォンに達する。ゼロワン出身のあるスタートアップ代表は「最近のヒョンデの社内スタートアップ選定は伝統的な自動車とはかけ離れたサービスにまで拡張されている。私の時より(スタートアップ選定)競争もはるかに激しくなった」と伝えた。
◇鄭夢九の注文「水素自動車100台すべて違う形に」
ヒョンデの「革新」に対するパワフルさは歴史が深い。水素自動車開発が1998年に始まったのが代表的だ。2006年に京畿道竜仁(キョンギド・ヨンイン)の麻北(マブク)研究所を訪れた鄭夢九現代自動車グループ名誉会長は当時、「水素自動車100台をそれぞれ違う形で作りなさい。使いたい技術をすべて使って」と注文したという。当時の価格で燃料電池は6億ウォンに迫るほど高価格だったが、鄭会長が「石油が出ない国でも車を走らさなければならないのではないか」として水素自動車開発に全面的な支援を約束したというのがともに働いた彼らの話だ。
こうした先制投資のおかげでヒョンデは水素自動車で最もリードしている。ヒョンデ「ネクソ」は今年に入り4月まで世界で販売された水素自動車のうち51.2%(SNEリサーチ)のシェアを占めている。
鄭義宣会長にもこうしたパワフルさは相続された。鄭会長は最近役員らに「電気自動車とともに水素部門でもファーストムーバー(先導者)として跳躍しなければならない」と呼び掛けた。彼は6月のコリアH2ビジネスサミットで「近いうちに結果を出すよりは後世代に向けて水素に投資中」と話したが、ヒョンデが「インベストデー」で水素を核心事業に挙げたのもこうした指示と同じ脈絡という。
◇革新課題は「生態系」…「危険な独走」になるかも
問題は「生態系」だ。自動車業界関係者は「水素自動車供給だけでなく水素生産がともに増えてこそ『規模の経済』で好循環ができる。個別の企業の革新だけでは未来に向けた投資ではなく『危険な独走』になりかねない」と指摘した。ソウル市内でさえ水素ステーションがわずか9カ所しかない点も生態系不足の端的な例だ。水素自動車を勝手も水素ステーションがないという現実的な問題に直面しているのだ。ネクソに搭載される水素燃料電池モジュールを発電用として活用する燃料電池発電所をヒョンデが試験運営するのも「水素生態系」を構築するための努力の一環だ。
水素だけではない。モビリティの革新に向けても生態系作りが必須だ。鄭会長もやはり私的な席で革新生態系構築に対する悩みと困難を打ち明けたことがあるという。ヒョンデが初期に有望なスタートアップを投資・育成するのも未来のパートナーに成長させようという目的からだ。
ヒョンデのゼロワンチームでチーム長を務めるノ・ギュスン氏は「すでに規模が大きくなった大企業が新たな事業を先導するためには新技術に対する直接的・間接的経験が必要だ。そこでヒョンデのゼロワンのようなオープンイノベーション組織を通じて外部の革新技術と事業をテストし経験している」と話した。
◇トヨタの野心作ウーブン・シティの教訓
先駆者的革新はひたすら利潤を創出するものではない。ヒョンデが「メタモビリティ」を宣言する2年前の2020年にCESでトヨタが明らかにした「ウーブン・シティ」の現住所がそうだ。
ウーブン・シティは人と空間がAI技術につながる空間で、富士山の裾野の約22万坪に2000人の発明家・研究員が暮らしながら多様な先端技術を実験するテストベッドを設けるという計画だった。トヨタの豊田章男前社長が私財50億円を投資したほどに格別な愛情を持つところだ。日本経済新聞によるとウーブン・シティを建設するトヨタの子会社は3月末基準で資産より負債が60億円多いほど財政状況が悪化した。地面(現実)に踏ん張って立っていなければいつでも危機信号が灯るという意味だ。
<ヒョンデ研究>10年後のヒョンデを設計する所…そこに「自動車」はなかった(1)
電気自動車の後部座席に座ると車酔いする人たちに向けた技術も3月からプロジェクト対象に選ばれた。新技術で乗り物酔いまで減らすというのが彼らの抱負だ。先行技術院乗り物酔い緩和技術プロジェクト関係者の説明だ。
「ドライバーごとの運転習慣により乗り物酔いのレベルを測定したデータが集まれば、運転性向などを総合的に考慮してスピードを下げたり出したりする時のパターンを最適化するものです。視聴覚だけでなく触覚など感覚を総合的に活用して走行環境を予測する形で乗り物酔いを減らしたり同乗者の脳波や心拍数などを分析して乗り物酔いを起こすのかなどを予測する技術も研究中です」。
◇「微生物」「キノコ菌」も華麗な変身を準備中
開かれた革新はモビリティだけでなく、より良い暮らし全体を貫く。出退勤時に町中を走る時と恋人と海外にでかけるなど、その日の目的地と走行環境によりぴったりな音楽を選ぶならば便利でないだろうか。
ヒョンデの社内スタートアップから出発した企業のアプレイズがここに解答を提示した。個人の好みを超え天気や商圏、走行情報まで反映した選曲をするというものだ。ヒョンデとの具体的な協業もやはり緊密に議論中だ。
微生物やキノコ菌も投資対象だ。真夏に自動車のエアコンを稼働する時に出るにおいを抑えるために中古車のエアコン蒸発器を回収し4000種余りの微生物を分析した末に不快なにおいを誘発しない微生物の組み合わせを開発した企業がある。
これもまたヒョンデ社内ベンチャー出身のエムバイオムだ。同社のユン・ギヨン代表は「自動車とバイオ、両方で専門性を持つのは難しいが、そうした点でエムバイオムは強みがある」と紹介した。実際にエムバイオムの空気浄化技術(エココーティング)は「ザ・オール・ニューコナ」、インドの戦略車種「サントロ」などにも投入された。ユン代表は「悪臭だけでなくメタンのような温室効果ガスの浄化にも活用できる方向で拡張していく方針」と説明した。
ヒョンデ社内ベンチャー出身のスタートアップ、マイセルはキノコ菌から「持続可能な革」を生産する。捨てられるキノコ菌の死体をキノコではなくマット形に膨らむよう培養する方式だ。マイセルのサ・ソンジン代表は「世界でキノコやかびから革を作る所は4カ所ほどしかない」と話す。特にプレミアム級・ラグジュアリー級自動車ブランドであるメルセデス・ベンツ、BMW、テスラ、ベントレーなどは代替皮革をすでに導入したり開発するなど導入に積極的だ。
奇抜なだけでなくお金まで稼げるアイデアで武装したスタートアップ代表がそろってヒョンデ出身であるのには理由がある。社内スタートアップ(ゼロワンカンパニービルダー)制度のおかげだ。最大3億ウォンまでサポートする上に、創業したものの潰れてしまった時に備え創業後3年までは再入社の機会も与える。
あるスタートアップ代表は「退社して妻を説得する時に再入社の機会がある点を積極的にアピールした」と打ち明けた。会社の垣根を越え新しい分野に進出する社員の負担を減らそうとする配慮が功を奏したのだ。実際にこれまで彼らを含む30社の社内スタートアップが分社し、累積売り上げは2800億ウォンに達する。ゼロワン出身のあるスタートアップ代表は「最近のヒョンデの社内スタートアップ選定は伝統的な自動車とはかけ離れたサービスにまで拡張されている。私の時より(スタートアップ選定)競争もはるかに激しくなった」と伝えた。
◇鄭夢九の注文「水素自動車100台すべて違う形に」
ヒョンデの「革新」に対するパワフルさは歴史が深い。水素自動車開発が1998年に始まったのが代表的だ。2006年に京畿道竜仁(キョンギド・ヨンイン)の麻北(マブク)研究所を訪れた鄭夢九現代自動車グループ名誉会長は当時、「水素自動車100台をそれぞれ違う形で作りなさい。使いたい技術をすべて使って」と注文したという。当時の価格で燃料電池は6億ウォンに迫るほど高価格だったが、鄭会長が「石油が出ない国でも車を走らさなければならないのではないか」として水素自動車開発に全面的な支援を約束したというのがともに働いた彼らの話だ。
こうした先制投資のおかげでヒョンデは水素自動車で最もリードしている。ヒョンデ「ネクソ」は今年に入り4月まで世界で販売された水素自動車のうち51.2%(SNEリサーチ)のシェアを占めている。
鄭義宣会長にもこうしたパワフルさは相続された。鄭会長は最近役員らに「電気自動車とともに水素部門でもファーストムーバー(先導者)として跳躍しなければならない」と呼び掛けた。彼は6月のコリアH2ビジネスサミットで「近いうちに結果を出すよりは後世代に向けて水素に投資中」と話したが、ヒョンデが「インベストデー」で水素を核心事業に挙げたのもこうした指示と同じ脈絡という。
◇革新課題は「生態系」…「危険な独走」になるかも
問題は「生態系」だ。自動車業界関係者は「水素自動車供給だけでなく水素生産がともに増えてこそ『規模の経済』で好循環ができる。個別の企業の革新だけでは未来に向けた投資ではなく『危険な独走』になりかねない」と指摘した。ソウル市内でさえ水素ステーションがわずか9カ所しかない点も生態系不足の端的な例だ。水素自動車を勝手も水素ステーションがないという現実的な問題に直面しているのだ。ネクソに搭載される水素燃料電池モジュールを発電用として活用する燃料電池発電所をヒョンデが試験運営するのも「水素生態系」を構築するための努力の一環だ。
水素だけではない。モビリティの革新に向けても生態系作りが必須だ。鄭会長もやはり私的な席で革新生態系構築に対する悩みと困難を打ち明けたことがあるという。ヒョンデが初期に有望なスタートアップを投資・育成するのも未来のパートナーに成長させようという目的からだ。
ヒョンデのゼロワンチームでチーム長を務めるノ・ギュスン氏は「すでに規模が大きくなった大企業が新たな事業を先導するためには新技術に対する直接的・間接的経験が必要だ。そこでヒョンデのゼロワンのようなオープンイノベーション組織を通じて外部の革新技術と事業をテストし経験している」と話した。
◇トヨタの野心作ウーブン・シティの教訓
先駆者的革新はひたすら利潤を創出するものではない。ヒョンデが「メタモビリティ」を宣言する2年前の2020年にCESでトヨタが明らかにした「ウーブン・シティ」の現住所がそうだ。
ウーブン・シティは人と空間がAI技術につながる空間で、富士山の裾野の約22万坪に2000人の発明家・研究員が暮らしながら多様な先端技術を実験するテストベッドを設けるという計画だった。トヨタの豊田章男前社長が私財50億円を投資したほどに格別な愛情を持つところだ。日本経済新聞によるとウーブン・シティを建設するトヨタの子会社は3月末基準で資産より負債が60億円多いほど財政状況が悪化した。地面(現実)に踏ん張って立っていなければいつでも危機信号が灯るという意味だ。
<ヒョンデ研究>10年後のヒョンデを設計する所…そこに「自動車」はなかった(1)
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