訪露が実現すれば、金正恩氏はプーチン氏との首脳会談で、様々な相当量の弾薬や砲弾などの通常兵器を提供すると提案する可能性が高い。反対給付として、自分の宿願事業の一つである軍事偵察衛星や原子力推進潜水艦、大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）などの核武力課業に関連した技術提供を要求するものとみられる。

協力を強化する韓日米に対抗した中露朝の構図を強固にして得る戦略的利益もある。慶南（キョンナム）大学極東問題研究所のイ・ビョンチョル教授は「露朝が伝統的な親善を掲げて包装しているが、互いに利益が合致する戦略的取引の性格が濃い」とし「どちらか一方でも戦略的価値が落ちると判断されれば遠ざかる可能性が高いため、金正恩氏の立場では『毒入の聖杯』になりかねない」と話した。

ＮＹＴは、金正恩委員長の訪露日程や移動手段、予想訪問場所などを比較的に詳しく伝えた。金委員長が装甲列車を利用し、プーチン大統領とともに極東連邦大学キャンパスを訪問する計画だと報じた。ロシア太平洋艦隊司令部所属の海軍艦艇が停泊中の３３番埠頭とウラジオストクから北に約１５００キロ離れたボストチヌイ宇宙基地も訪問する可能性があると、米政府関係者は伝えた。


先月末、警護・儀典要員を含む北朝鮮代表団約２０人は、列車で平壌からウラジオストクに移動した後、飛行機に乗り換えてモスクワを訪問した。１０日間の事前踏査だったと、米政府関係者は伝えた。露朝首脳会談の情報を事前に公開したのは異例だという評価だ。米国はロシアがウクライナ戦争に突入した後、今回のように情報事案を先に公開する方式で相手の判断と行動を修正させる一種の認知戦を繰り広げている。今回も「すべて覗き込んでいる」「線は越えるな」という暗黙的な警告を公開的に出したわけだ。特に、ロシアに対する殺傷兵器の供給は、中国さえも越えない線だ。米国はもちろん、欧州をはじめとする西側陣営の「逆鱗（げきりん）」に触れる起爆剤になる可能性もある。

ホワイトハウスはこの日、「我々が公開警告したように、露朝間の兵器交渉が活発に進められている」とし、「北朝鮮がロシアとの兵器交渉を中止し、ロシアに兵器を提供・販売しないとした公開的な約束を守ることを促す」と警告した。

金正恩氏の露朝計画が今回の報道の影響を受けかねないという観測もある。ジョン・エヴァラード元駐北朝鮮英国大使はＢＢＣとのインタビューで、「金正恩氏は身辺警護に完全に偏執的だ。動線を隠すためにあらゆる努力を尽くす」とし、「（訪問の可能性に関する報道のため）その訪問はもう起こりそうにない」と述べた。

米政府は、金委員長が今年７月にショイグ国防相に軍事協力の強化を提案し、プーチン大統領の訪朝を求めると、ショイグ国防相が金委員長のロシア訪問を逆に提案したものと把握している。スプートニク通信によると、ロシア・クレムリン（大統領府）のドミトリー・ペスコフ報道官はこの日、露朝首脳会談関連質問に「私たちはこれについて言うことが何もない」と答えた。


露朝の危険な会談推進…米国、日程を事前に公開して警告（１）