◆キャンプ・デービッド首脳会議、何を残したのか
韓日米3カ国は18日、キャンプ・デービッド首脳会議を契機に一層進化した共助システムを確立した。1994年に初めての3カ国首脳会議が開催されて以来、この30年間、北朝鮮の核対応に集中してきた協力の範囲を軍事・経済・先端科学技術・宇宙など全領域に拡大し、地域的には韓半島(朝鮮半島)を越えてインド太平洋地域全体を網羅する包括的安保協議体を目指すことになった。
韓半島平和づくり〔理事長・洪錫炫(ホン・ソッキョン)〕傘下の韓半島フォーラムでは先月30日、外交・安保・通商専門家が集まり、キャンプ・デービッド韓日米首脳会議の意味と課題を点検した。出席者は「3国協力の包括的進化は国際社会で韓国の責任と役割を強化する機会なのと同時に、多くの課題を抱かせた」と口をそろえた。
◆延世(ヨンセ)大学のパク・ミョンニム教授の発言
キャンプ・デービッド韓日首脳会議の最も大きな意味は3国が首脳級の協議体を初めて定例化し「準制度化」したという点だ。特に首脳会議の定例化に続き、国家安保室長と外交・国防・財務・産業相レベルで3国間の定例的協議を行い、主要事案を議論することにしたことで、3国の共同利益を追求し、安保脅威に共同対応する多国間安保の枠組みが設けられた。
ただ、3国間の協力強化を韓半島の観点から見て、相対的に北朝鮮核問題が放置されかねないという懸念も提起されている。南北対話が断絶した状態を解消する新たな提案や解決策は見出せず、これによって北朝鮮の核武力増強とこれに対応する韓国の国防費支出拡大が当分続くものとみられる。
韓日米協力が強化されたことにより、ともすれば韓米同盟関係において韓国に対する米国の公約が弱体化しかねないという点も点検してみる必要がある。また、韓日米協力を強化し、中国を牽制する中で米中関係が改善される際の韓国の出口戦略は何か、精密な検討が必要だ。
◆一つの共同体として進む韓日米
▼尹炳世(ユン・ビョンセ)元外交部長官=バイデン米政府はこれまで同盟・友好国を糾合して包括的な安保・経済協議体を作る作業を続けてきたが、QUAD(クアッド、日米豪印安全保障協議体)、AUKUS(オーカス、米英豪の同盟)。IPEF(インド太平洋経済枠組み)に続き、韓日米3国体制は画龍点睛の意味を持つ。韓日米は単純な協議体を越えて長期的に戦略的理解と価値を共有する共同体に進んでいる。韓国の立場では過去には米国中心の大きな秩序に補助的な役割を果たした状況から、今は利害当事者であり責任感のある主体になったという意味がある。
3国の協力強化に伴う課題と負担も少なくない。まず、韓国はこれまで北朝鮮核を中心に韓半島と北東アジアの脅威に優先順位を置いてきたが、今後はインド太平洋地域から出る脅威や挑発にも気を使わなければならない。脅威の水準が北朝鮮核よりも厳重かどうかなどの変数によって、ともすると北朝鮮核の優先順位に影響を及ぼしかねない。このような負担は多様な挑戦に統合的にアプローチせざるを得ない状況で、韓国がある程度甘受しなければならないコストだ。
また、3国は今回特定国を明示しなかったが、「脅威(threat)、挑発(provocation)」という表現まで使った。域内の平和を脅かす問題行為に対して、このような強力な表現を使ったという点でも、3国間協力がむしろAUKUSより強いと思う。米国が中国との関係でガードレール、すなわち衝突防止装置を協議するように韓中間でも経済や安保側面で安全装置協議を強化しなければならない。韓中首脳会議の契機などを積極的に活用する必要がある。
◆台湾問題に関与する可能性に備えを
▼魏聖洛(ウィ・ソンナク)韓半島平和づくり事務総長=韓日米協力に対する米国の強い意志と価値志向的で同盟を重視する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府の政策基調が一致し、キャンプ・デービッド首脳会議が実現したと思う。韓日米協力は韓国外交の方向性に大きな変化を与えるだけでなく、国際社会の安保脅威が強まる情勢で心強い味方を確保するという意味を持つ。
ただ、3国協力を通じて抑止力を強化することはできるが、韓国のアジェンダの韓半島の非核化と平和定着、統一の追求はどうなるのか考えなければならない。また、3国の協力によって朝中露が密着すれば、対決線の固着化につながりかねない。韓日米が安保を強化するほど、他方では朝中露の結束による安保不安が加重される安保ジレンマが生じる。日米と協力することで生じる抑止力の裏では台湾問題などに関わる可能性が高くなるという点も韓国としては大きな課題だ。
▼朴泰鎬(パク・テホ)元外交通商部通商交渉本部長=経済通商の側面で今回の韓日首脳会議を通じて大きく変わることはないと予想する。一方、韓日米協力で中国市場を失う恐れがあるという懸念は高まっている。3国の協力強化とは別に、必ず非政治的分野で韓中関係を改善しようとする努力が必要な理由だ。
今回の首脳会議の結果には、米国と日本の関心事は韓半島ではなく東南アジアだという点がよく表れている。世界市場として持つ中国の役割が減る中、インドは様々な制限で中国を完全に代替することができない。結局、東南アジアは中国に代わる重要なカードであり、日米は経済的側面で東南アジアに大きな関心を持っているものと見られる。
◆対中関係の管理が最大の課題
▼李元徳(イ・ウォンドク)国民大学教授=韓日米協力強化は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府発足後の韓日関係改善が土台になり、その背景には尹大統領の戦略的決断があった。ただ、尹大統領の決断とは違って日本は大きく変わっておらず、韓日間の歴史問題と独島(ドクト、日本名・竹島)問題、日本との軍事協力に対する国民の反感など葛藤要素も依然として残っている。韓日両国間の葛藤の遠心力が存在するため、韓日米協力の構図にもかかわらず、依然としてその基盤が多少虚弱だという点が課題として残っている。
今回の3国合意を機に、韓国は中国問題を含む地域問題について包括的かつ積極的に取り組むスタンスへと変化した。一見、米国の要求に韓国が応えたように見えるが、今後対中関係をどのように管理していくかが新たな課題として迫ってくるものと予想する。今年、韓国が巡回議長国を務める韓日中首脳会議を活用するのも方法だ。韓日中の連携を強化し、韓米日によって生じる課題を補完する必要がある。
▼梨花(イファ)女子大学の朴仁煇(パク・インフィ)教授=アジアには50カ国余りあるが、一般的に経済的成長と政治的民主主義を達成した国は韓国と日本が唯一だと考える。そのような意味合いから韓日がいわゆる世界最高の自由主義連帯を米国と共にするということは、韓国が外交的・政策的自律性を持つための踏み台になりうるという点で高く評価する。
ただ、韓国は日米に比べて外交政策に投じる資産が非常に不足している。米国は中国との対立の局面でも最高水準の貿易を行っており、日本も中国はもちろん北朝鮮にも力を入れて地平を広げている。反面、韓国は資産が足りない代わりに特定懸案に集中する「総力外交」を特徴とする。最近、国際政治の変動性が大きくなる状況を勘案すれば、今は総力外交というコンセプト以外にも投入資産そのものを増やす必要がある。
◆韓半島非核化統一課題の点検を
▼李夏慶(イ・ハギョン)中央日報主筆=国際社会の安保リスクが高まる最近の情勢を勘案すれば、韓日米協調強化は望ましい方向だ。ただし、3国の協力強化にともなう請求書がいつ、どのような形で韓国に飛んでくるか悩む必要がある。
3国が北朝鮮に対する抑止力を強化し、安保脅威に対応しているが、これとは別に非核化・平和定着は依然として重要な課題だ。米朝間の「パッケージディール」の可能性が開かれており、日本は首脳会談を先制的に提案し、北朝鮮との外交空間を作っている。このような状況で、我々の運命がかかった韓半島の平和と非核化統一問題をめぐり、何を準備すべきかを点検する必要がある。
▼洪錫炫韓半島平和づくり理事長=キャンプ・デービッド韓日首脳会議を眺める一般的な認識は「北朝鮮の核対応強化」であり、そうした意味合いで今回の首脳会議の結果が成功したと見る見方が多いようだ。3国の協力強化によって経験しうる複合的な挑戦課題と、韓国が負わなければならない責任の問題についても多くの議論が必要だと感じる。韓日米共助強化という方向が避けられない選択で、また、国民が同意しているが、政府レベルでは3国共助が呼び起こす色々なリスクを国民に説明し、対応策を講じる後続措置が必要だ。
韓日関係で葛藤要素が依然として残っているという点は韓日米体制の最も大きな地雷原だ。独島問題や慰安婦・強制徴用など歴史問題が再び起こった時、キャンプ・デービッド精神の毀損につながる可能性がある。この場合、韓日米協力という大義を掲げ、韓日間の摩擦を覆い隠すことができるのか、これを通じて問題が解決できるかなど多様なシナリオを想定し、対策を講じなければならない。
韓日米3カ国は18日、キャンプ・デービッド首脳会議を契機に一層進化した共助システムを確立した。1994年に初めての3カ国首脳会議が開催されて以来、この30年間、北朝鮮の核対応に集中してきた協力の範囲を軍事・経済・先端科学技術・宇宙など全領域に拡大し、地域的には韓半島(朝鮮半島)を越えてインド太平洋地域全体を網羅する包括的安保協議体を目指すことになった。
韓半島平和づくり〔理事長・洪錫炫(ホン・ソッキョン)〕傘下の韓半島フォーラムでは先月30日、外交・安保・通商専門家が集まり、キャンプ・デービッド韓日米首脳会議の意味と課題を点検した。出席者は「3国協力の包括的進化は国際社会で韓国の責任と役割を強化する機会なのと同時に、多くの課題を抱かせた」と口をそろえた。
◆延世(ヨンセ)大学のパク・ミョンニム教授の発言
キャンプ・デービッド韓日首脳会議の最も大きな意味は3国が首脳級の協議体を初めて定例化し「準制度化」したという点だ。特に首脳会議の定例化に続き、国家安保室長と外交・国防・財務・産業相レベルで3国間の定例的協議を行い、主要事案を議論することにしたことで、3国の共同利益を追求し、安保脅威に共同対応する多国間安保の枠組みが設けられた。
ただ、3国間の協力強化を韓半島の観点から見て、相対的に北朝鮮核問題が放置されかねないという懸念も提起されている。南北対話が断絶した状態を解消する新たな提案や解決策は見出せず、これによって北朝鮮の核武力増強とこれに対応する韓国の国防費支出拡大が当分続くものとみられる。
韓日米協力が強化されたことにより、ともすれば韓米同盟関係において韓国に対する米国の公約が弱体化しかねないという点も点検してみる必要がある。また、韓日米協力を強化し、中国を牽制する中で米中関係が改善される際の韓国の出口戦略は何か、精密な検討が必要だ。
◆一つの共同体として進む韓日米
▼尹炳世(ユン・ビョンセ)元外交部長官=バイデン米政府はこれまで同盟・友好国を糾合して包括的な安保・経済協議体を作る作業を続けてきたが、QUAD(クアッド、日米豪印安全保障協議体)、AUKUS(オーカス、米英豪の同盟)。IPEF(インド太平洋経済枠組み)に続き、韓日米3国体制は画龍点睛の意味を持つ。韓日米は単純な協議体を越えて長期的に戦略的理解と価値を共有する共同体に進んでいる。韓国の立場では過去には米国中心の大きな秩序に補助的な役割を果たした状況から、今は利害当事者であり責任感のある主体になったという意味がある。
3国の協力強化に伴う課題と負担も少なくない。まず、韓国はこれまで北朝鮮核を中心に韓半島と北東アジアの脅威に優先順位を置いてきたが、今後はインド太平洋地域から出る脅威や挑発にも気を使わなければならない。脅威の水準が北朝鮮核よりも厳重かどうかなどの変数によって、ともすると北朝鮮核の優先順位に影響を及ぼしかねない。このような負担は多様な挑戦に統合的にアプローチせざるを得ない状況で、韓国がある程度甘受しなければならないコストだ。
また、3国は今回特定国を明示しなかったが、「脅威(threat)、挑発(provocation)」という表現まで使った。域内の平和を脅かす問題行為に対して、このような強力な表現を使ったという点でも、3国間協力がむしろAUKUSより強いと思う。米国が中国との関係でガードレール、すなわち衝突防止装置を協議するように韓中間でも経済や安保側面で安全装置協議を強化しなければならない。韓中首脳会議の契機などを積極的に活用する必要がある。
◆台湾問題に関与する可能性に備えを
▼魏聖洛(ウィ・ソンナク)韓半島平和づくり事務総長=韓日米協力に対する米国の強い意志と価値志向的で同盟を重視する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府の政策基調が一致し、キャンプ・デービッド首脳会議が実現したと思う。韓日米協力は韓国外交の方向性に大きな変化を与えるだけでなく、国際社会の安保脅威が強まる情勢で心強い味方を確保するという意味を持つ。
ただ、3国協力を通じて抑止力を強化することはできるが、韓国のアジェンダの韓半島の非核化と平和定着、統一の追求はどうなるのか考えなければならない。また、3国の協力によって朝中露が密着すれば、対決線の固着化につながりかねない。韓日米が安保を強化するほど、他方では朝中露の結束による安保不安が加重される安保ジレンマが生じる。日米と協力することで生じる抑止力の裏では台湾問題などに関わる可能性が高くなるという点も韓国としては大きな課題だ。
▼朴泰鎬(パク・テホ)元外交通商部通商交渉本部長=経済通商の側面で今回の韓日首脳会議を通じて大きく変わることはないと予想する。一方、韓日米協力で中国市場を失う恐れがあるという懸念は高まっている。3国の協力強化とは別に、必ず非政治的分野で韓中関係を改善しようとする努力が必要な理由だ。
今回の首脳会議の結果には、米国と日本の関心事は韓半島ではなく東南アジアだという点がよく表れている。世界市場として持つ中国の役割が減る中、インドは様々な制限で中国を完全に代替することができない。結局、東南アジアは中国に代わる重要なカードであり、日米は経済的側面で東南アジアに大きな関心を持っているものと見られる。
◆対中関係の管理が最大の課題
▼李元徳(イ・ウォンドク)国民大学教授=韓日米協力強化は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府発足後の韓日関係改善が土台になり、その背景には尹大統領の戦略的決断があった。ただ、尹大統領の決断とは違って日本は大きく変わっておらず、韓日間の歴史問題と独島(ドクト、日本名・竹島)問題、日本との軍事協力に対する国民の反感など葛藤要素も依然として残っている。韓日両国間の葛藤の遠心力が存在するため、韓日米協力の構図にもかかわらず、依然としてその基盤が多少虚弱だという点が課題として残っている。
今回の3国合意を機に、韓国は中国問題を含む地域問題について包括的かつ積極的に取り組むスタンスへと変化した。一見、米国の要求に韓国が応えたように見えるが、今後対中関係をどのように管理していくかが新たな課題として迫ってくるものと予想する。今年、韓国が巡回議長国を務める韓日中首脳会議を活用するのも方法だ。韓日中の連携を強化し、韓米日によって生じる課題を補完する必要がある。
▼梨花(イファ)女子大学の朴仁煇(パク・インフィ)教授=アジアには50カ国余りあるが、一般的に経済的成長と政治的民主主義を達成した国は韓国と日本が唯一だと考える。そのような意味合いから韓日がいわゆる世界最高の自由主義連帯を米国と共にするということは、韓国が外交的・政策的自律性を持つための踏み台になりうるという点で高く評価する。
ただ、韓国は日米に比べて外交政策に投じる資産が非常に不足している。米国は中国との対立の局面でも最高水準の貿易を行っており、日本も中国はもちろん北朝鮮にも力を入れて地平を広げている。反面、韓国は資産が足りない代わりに特定懸案に集中する「総力外交」を特徴とする。最近、国際政治の変動性が大きくなる状況を勘案すれば、今は総力外交というコンセプト以外にも投入資産そのものを増やす必要がある。
◆韓半島非核化統一課題の点検を
▼李夏慶(イ・ハギョン)中央日報主筆=国際社会の安保リスクが高まる最近の情勢を勘案すれば、韓日米協調強化は望ましい方向だ。ただし、3国の協力強化にともなう請求書がいつ、どのような形で韓国に飛んでくるか悩む必要がある。
3国が北朝鮮に対する抑止力を強化し、安保脅威に対応しているが、これとは別に非核化・平和定着は依然として重要な課題だ。米朝間の「パッケージディール」の可能性が開かれており、日本は首脳会談を先制的に提案し、北朝鮮との外交空間を作っている。このような状況で、我々の運命がかかった韓半島の平和と非核化統一問題をめぐり、何を準備すべきかを点検する必要がある。
▼洪錫炫韓半島平和づくり理事長=キャンプ・デービッド韓日首脳会議を眺める一般的な認識は「北朝鮮の核対応強化」であり、そうした意味合いで今回の首脳会議の結果が成功したと見る見方が多いようだ。3国の協力強化によって経験しうる複合的な挑戦課題と、韓国が負わなければならない責任の問題についても多くの議論が必要だと感じる。韓日米共助強化という方向が避けられない選択で、また、国民が同意しているが、政府レベルでは3国共助が呼び起こす色々なリスクを国民に説明し、対応策を講じる後続措置が必要だ。
韓日関係で葛藤要素が依然として残っているという点は韓日米体制の最も大きな地雷原だ。独島問題や慰安婦・強制徴用など歴史問題が再び起こった時、キャンプ・デービッド精神の毀損につながる可能性がある。この場合、韓日米協力という大義を掲げ、韓日間の摩擦を覆い隠すことができるのか、これを通じて問題が解決できるかなど多様なシナリオを想定し、対策を講じなければならない。
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