日本の岸田文雄首相は3月と5月にそれぞれ日本と韓国で開催された韓日首脳会談で、ジャケットの右襟に「ブルーリボン」を付けた。長期未解決課題である日本人拉致被害者問題を象徴するバッジだ。北朝鮮の日本人拉致事件が発生して50年が過ぎたが日本は依然としてこの問題を日朝間の核心懸案として扱っている。岸田首相は5月に日朝首脳会談を提案する時もその目的が「日本人拉致問題解決」であることを明確にした。28日の韓日ビジョンフォーラム参加者は日本の対北朝鮮政策が国際情勢に及ぼす影響をめぐり熱を帯びた討論を行った。
日本は拉致問題を日本の主権と国民の生命・安全に対する問題としてみている。国の責任の下で解決すべき緊急な主要懸案という認識が強い。拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化もないという基本認識が強い。北朝鮮の核・ミサイル開発に対しては日本の安全保障に重大な脅威だと考える。北朝鮮の大量破壊兵器と弾道ミサイルに対し「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を主張する一貫した態度を見せる。
岸田首相の日朝首脳会談とハイレベル協議提案は日本人拉致問題を解決するために金正恩(キム・ジョンウン)総書記と対話する意志があるという意味だ。北朝鮮との関係設定は岸田首相が代表政策として掲げて推進する「核兵器のない世界」とも密接だ。
ただ岸田首相に北朝鮮との関係改善を推進する強力なリーダーシップがあるかは疑問だ。日朝首脳会談を引き出した小泉純一郎元首相や安倍晋三元首相とは違い、岸田首相の場合強力なリーダーシップがなく支持基盤が堅固でない。韓日安保協力が強化される最近の流れは結局日本が対北朝鮮政策を推進する上で米国の影響が強まり、日本の自律性が縮小される結果につながる可能性がある。
◇日本外交の自律性が試験台に
▽崔相竜(チェ・サンヨン)高麗大学名誉教授=過去に日本の関係者と会い「日本の経済力を対北朝鮮政治力に転換する能力を発揮してほしい」という助言をしたことがある。日朝国交正常化が実現する場合、日本が経済力を政治力に転換する能力を持っている点を国際社会に見せることができ、また、日本としても韓半島(朝鮮半島)の平和に寄与するという意味を持つためだ。拉致問題と国交正常化をはじめとする日朝関係は日米同盟の枠組みの中で日本外交の自律性をテストする問題だ。日本もやはりこの点を明確に自覚しており、いますぐではないとしてもドライブをかける可能性はあるとみる。
▽金炳椽(キム・ビョンヨン)ソウル大学教授=日本で拉致問題解決意志を強調し首脳会談を提案したが北朝鮮がこれに呼応して実現する可能性は小さいとみる。まず北朝鮮は継続して「自力更正」を強調してきたが、これは日本をはじめとする外国の助けに頼らないという意味でもある。北朝鮮が唯一支援と協力を受け入れる相手は中国とロシア程度だ。変数は北朝鮮の経済状況だ。最近北朝鮮の経済状況はとても厳しく見えるが、深刻な経済難を少しでも軽減する通路として日本を活用しようと考えることはできる。
▽文興鎬(ムン・フンホ)漢陽大学教授=過去に米クリントン政権で当時のオルブライト国務長官が平壌(ピョンヤン)を訪問し抱擁する姿を演出した。同時期に中国要人も平壌を訪問したが、平壌中心部に入ることができず郊外をぐるぐる回った。当時中国は「血で結ばれた同盟をこのように踏みにじることができるのか」として強硬な反応を見せた。こうした観点から見ると中国はまず北朝鮮が米国などと関係を結ぶ時の内容と範囲において統制を受けることを望むようだ。こうした立場は日朝関係でも同じで、中国は日朝関係改善を妨害する役割をする可能性が大きい。
◇核除いた拉致被害者交渉は難しい
▽李元徳(イ・ウォンドク)国民大学教授=韓国社会で北朝鮮問題に対する「日本変数」がとても過小評価される部分がある。まず日朝が国交正常化する場合、300億ドル規模の請求権資金問題が引っかかってくる。北朝鮮の経済規模を考慮すると経済回復と改革・開放の種子になることができる。拉致問題の場合、2000年代の日朝関係改善を図る渦中にも解決できなかった。日本の対北朝鮮外交が拉致問題に拉致された局面だ。その上最近の安全保障状況は北朝鮮の核・ミサイル高度化により日本が核問題を排除した中で拉致問題だけ扱うのは容易でない。
<韓日関係、連続診断30>岸田首相の日朝会談提案、米朝「パッケージディール」にも備えなくては(2)
日本は拉致問題を日本の主権と国民の生命・安全に対する問題としてみている。国の責任の下で解決すべき緊急な主要懸案という認識が強い。拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化もないという基本認識が強い。北朝鮮の核・ミサイル開発に対しては日本の安全保障に重大な脅威だと考える。北朝鮮の大量破壊兵器と弾道ミサイルに対し「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を主張する一貫した態度を見せる。
岸田首相の日朝首脳会談とハイレベル協議提案は日本人拉致問題を解決するために金正恩(キム・ジョンウン)総書記と対話する意志があるという意味だ。北朝鮮との関係設定は岸田首相が代表政策として掲げて推進する「核兵器のない世界」とも密接だ。
ただ岸田首相に北朝鮮との関係改善を推進する強力なリーダーシップがあるかは疑問だ。日朝首脳会談を引き出した小泉純一郎元首相や安倍晋三元首相とは違い、岸田首相の場合強力なリーダーシップがなく支持基盤が堅固でない。韓日安保協力が強化される最近の流れは結局日本が対北朝鮮政策を推進する上で米国の影響が強まり、日本の自律性が縮小される結果につながる可能性がある。
◇日本外交の自律性が試験台に
▽崔相竜(チェ・サンヨン)高麗大学名誉教授=過去に日本の関係者と会い「日本の経済力を対北朝鮮政治力に転換する能力を発揮してほしい」という助言をしたことがある。日朝国交正常化が実現する場合、日本が経済力を政治力に転換する能力を持っている点を国際社会に見せることができ、また、日本としても韓半島(朝鮮半島)の平和に寄与するという意味を持つためだ。拉致問題と国交正常化をはじめとする日朝関係は日米同盟の枠組みの中で日本外交の自律性をテストする問題だ。日本もやはりこの点を明確に自覚しており、いますぐではないとしてもドライブをかける可能性はあるとみる。
▽金炳椽(キム・ビョンヨン)ソウル大学教授=日本で拉致問題解決意志を強調し首脳会談を提案したが北朝鮮がこれに呼応して実現する可能性は小さいとみる。まず北朝鮮は継続して「自力更正」を強調してきたが、これは日本をはじめとする外国の助けに頼らないという意味でもある。北朝鮮が唯一支援と協力を受け入れる相手は中国とロシア程度だ。変数は北朝鮮の経済状況だ。最近北朝鮮の経済状況はとても厳しく見えるが、深刻な経済難を少しでも軽減する通路として日本を活用しようと考えることはできる。
▽文興鎬(ムン・フンホ)漢陽大学教授=過去に米クリントン政権で当時のオルブライト国務長官が平壌(ピョンヤン)を訪問し抱擁する姿を演出した。同時期に中国要人も平壌を訪問したが、平壌中心部に入ることができず郊外をぐるぐる回った。当時中国は「血で結ばれた同盟をこのように踏みにじることができるのか」として強硬な反応を見せた。こうした観点から見ると中国はまず北朝鮮が米国などと関係を結ぶ時の内容と範囲において統制を受けることを望むようだ。こうした立場は日朝関係でも同じで、中国は日朝関係改善を妨害する役割をする可能性が大きい。
◇核除いた拉致被害者交渉は難しい
▽李元徳(イ・ウォンドク)国民大学教授=韓国社会で北朝鮮問題に対する「日本変数」がとても過小評価される部分がある。まず日朝が国交正常化する場合、300億ドル規模の請求権資金問題が引っかかってくる。北朝鮮の経済規模を考慮すると経済回復と改革・開放の種子になることができる。拉致問題の場合、2000年代の日朝関係改善を図る渦中にも解決できなかった。日本の対北朝鮮外交が拉致問題に拉致された局面だ。その上最近の安全保障状況は北朝鮮の核・ミサイル高度化により日本が核問題を排除した中で拉致問題だけ扱うのは容易でない。
<韓日関係、連続診断30>岸田首相の日朝会談提案、米朝「パッケージディール」にも備えなくては(2)
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