最近、世界スカウトジャンボリー大会の運営問題で論議を呼んだ全羅北道・セマングム新空港の鳥瞰図。[写真 全羅北道庁]
韓国にはリス道路に劣らない「唐辛子空港」がある。ちょうど交通の要地にあった唐辛子畑を開発し、効率性を高めた空港だろうか。これもやはり違う。広い滑走路を唐辛子を干す用途に使わなければならないほど空港利用客が少ないという意味だ。全国に空港が15カ所あるが、仁川(インチョン)・金浦(キムポ)・金海(キメ)・済州(チェジュ)空港を除く11カ所は万年赤字の状態だ。にもかかわらず、空港をさらに建設すべきだという主張が絶えない。
政府が29日に発表した「2024年予算案」によると、来年のSOC予算は26兆1000億ウォン(約2兆8840億円)だ。今年のSOC予算(24兆9000億ウォン)より4.6%増やした。昨年発足した政府が初めて「緊縮財政」を推進した時、SOC予算を1年前より10.2%減らしたことと比較される。雇用・研究開発(R&D)のような核心予算さえ続々と削られたが、SOC予算は例外だった。来年4月の総選挙を前に地方区懸案がかかった国会、支持率に敏感な政府が一丸となって「無条件」増額したという指摘が出ている理由だ。
具体的には、首都圏では仁川発KTX建設と広域急行鉄道(GTX)-A路線早期開通事業がSOC予算に含まれた。釜山(プサン)・加徳島(カドクド)新空港、光州(クァンジュ)・アジア水歴史テーマ体験館、全羅北道(チョルラブクド)・セマングム新空港、忠清北道(チュンチョンブクド)・忠清内陸高速化道路1~4工区、忠清南道(チュンチョンナムド)・瑞山(ソサン)空港建設なども名を連ねた。
誰しも経済行為をする際に「費用便益分析(B/C)」を行う。選択がもたらす物理的・時間的費用(cost)と、そこから得る直間接的便益(benefit)を金銭的価値に変えた後、便益が費用より大きいという判断で仕事を推進する。我々はこのような選択を「妥当」と評価する。そのような問題意識から1999年に導入した制度が「予備妥当性調査」だ。予備妥当性調査でB/Cが1.0以上でなければ事業に経済性がないと見る。
韓国開発研究院(KDI)の予備妥当性調査結果によると、釜山・加徳島新空港のB/Cは0.58だ。100ウォンを投資して得る便益が58ウォンに留まるという話だ。最近、世界スカウトジャンボリー大会の空転で俎上に上がった全羅北道セマングム新空港は、B/Cが0.47だ。落第点の水準だが、文在寅(ムン・ジェイン)政府時代に予備妥当性調査を免除された。忠清南道・瑞山空港は予備妥当性調査で脱落したにもかかわらず生き残った。ここに「唐辛子空港」の運命が見える。
キム・ギファン/経済部記者
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