殺人予備罪はもっと難しい。犯行実現意志だけでなく、準備や実行着手などが具体的に立証されなければならない。ところが検挙された作成者の大多数は「いたずらで不特定多数の殺人を予告する文を書いた」と主張している。国会立法調査処のイ・ソヨン調査官は「裁判所の判断を見守らないといけないが、脅迫罪と殺人予備罪の通説と大法院（最高裁）の判例を考慮する場合、有罪判決を出すのは易しいことではなさそうだ」と話した。

このために捜査機関は偽計による公務執行妨害罪適用に期待をかけている。偽計公務執行妨害罪は虚偽事実で公務員を欺き職務を妨害する場合に成立する。水原（スウォン）地検刑事３部（部長検事キム・ソンウォン）は「龍山（ヨンサン）凶器予告はないですよね」というタイトルのオンラインライブ放送を行い、地下鉄駅で凶器事件を起こすかもしれないと発言したＢ（２１）を偽計公務執行妨害罪で２５日、拘束起訴した。

実際、虚偽殺人予告文をオンラインに掲示して警察力投入など行政力を浪費したという理由で有罪を認めた事例もある。２０１５年１月、蔚山（ウルサン）地方法院（地裁）は「今夜８時、機張（キジャン）で刃物を使って３０人を殺して松亭（ソンジョン）海水浴場で５０人殺す」など、スポーツＴＯＴＯサイトに殺人予告文を計１３回掲示した容疑（偽計公務執行妨害・情報通信網法違反）で起訴されたＣに対して懲役６月執行猶予２年を宣告した。当時サイト運営者の通報で警察官２００人余りが海雲台（ヘウンデ）一帯を４時間捜索する間もＣは自宅で凶器写真を添付した殺人予告文を掲示していた。


これに対して国会では「公衆脅迫罪」の立法が代案として議論されている。今月１６日、与党「国民の力」の洪碩晙（ホン・ソクチュン）議員は情報通信網法の一部改正案を代表発議した。改正案は不特定多数の生命と身体に危害を加えようとする内容を情報通信網に流布したり掲示したりして公衆の恐怖心や不安感を誘発する場合、５年以下の懲役または５０００万ウォン（約５５２万円）以下の罰金刑に処するように規定している。

ドイツはオンライン殺人予告を一種の嫌悪犯罪と規定して処罰している。ドイツ政府は２０２１年４月に刑法を改正してオンライン上脅迫に対する処罰範疇を広げた。殺人脅迫だけでなく性アイデンティティなどに対して侮辱や脅迫を行う場合、２年以下の懲役または罰金刑に処する。該当の改正案は「表現の自由」が萎縮する恐れがあったが、２０１９年ハレ（Ｈａｌｌｅ）と２０２０年ハーナウ（Ｈａｎａｕ）地域で極右主義者がＳＮＳに殺人を予告してテロを生中継した事件が発生してから通過に弾みがついた。

米国では不特定多数に対する「虚偽脅迫（Ｈｏａｘ　Ｔｈｒｅａｔｓ）」行為を強く処罰している。米連邦刑法は他人を害すると脅迫する内容を通信手段を通じて伝送した者を５年以下の懲役または罰金刑に処する。米連邦捜査局（ＦＢＩ）が公開した事例によると、ＳＮＳを通じて学校や公共の場所で銃器を乱射するという文を掲示した者が主に捕まった。青少年も懲役刑を受ける場合が少なくない。ＦＢＩは２０１８年「掲示前に考えよう（ＴｈｉｎｋＢｅｆｏｒｅＹｏｕＰｏｓｔ）」キャンペーンを行っている。ＳＮＳに虚偽銃器乱射脅迫を投稿して逮捕された大学生を広報主人公として前面に出し、虚偽脅迫犯罪の深刻性を警告するなど虚偽脅迫を減すための取り組みを進めている。


殺人予告投稿２３６人検挙したが…「いたずらだった」一言なら無罪？＝韓国（１）