「人が犬に噛みついた(Man bites dog)」。2004年5月にニューEFソナタが米国の品質調査機関JDパワーの品質調査で1位になると、米国の有力自動車メディアはこのように報じた。当時はまだ「日本車の亜流」程度で扱われていたヒョンデ(現代自動車)に対する異例の評価だった。
市場はソニーを上回ったサムスン電子と比較しながら騒々しくなった。しかしヒョンデ本社がある良才洞(ヤンジェドン)の雰囲気は冷たかった。鄭夢九(チョン・モング)ヒョンデ会長(現名誉会長)が同年6月に「危機経営」を宣言したからだ。鄭氏のメッセージはシンプルだった。いや、催促に近かった。「うまくいく時に危機に備えなければいけない。トヨタに追いつこう。まずはトヨタから学ぶべきだ」。
鄭氏の指示は迅速かつ具体的に実行された。ヒョンデの役員はトヨタを分析するセミナー・フォーラムなどをほぼ毎週開き、トヨタの生産・労使・研究開発など全分野を研究した。企画総括本部傘下で『トヨタの新しい成長戦略』を出したり、「トヨタウェイ」を分析した資料が研究所と役員を対象に共有された。そして20年後の2023年、ヒョンデグループは業績面で初めてトヨタを超えた。ヒョンデの今年1-3月期の営業利益は6兆4667億ウォン(約7180億円)と、トヨタ(6兆2087億ウォン)をわずかに上回った。
中央日報が会った元・現ヒョンデグループ役員は、こうした「圧縮成長」を実現させた鄭氏の経営方式を「品質」で説明した。1998年に米国トークショーの司会者デビッド・レターマンが「宇宙船の計器盤にヒョンデのロゴを付ければ操縦士は驚いて帰還をあきらめるだろう」と皮肉ったヒョンデの革新は、月2回ほど開かれた「品質会議」で始まった。99年に鄭氏が会長が就任して新設された会議だ。品質会議には部品や自動車実物が必ず登場した。鄭氏は各部品を取り上げながら「なぜこのように作ったのか」と質問した。理解しにくい専門用語と美辞麗句で包装された改善計画、バラ色予想、「自分たちの問題ではない」などの責任を避ける発言があれば、必ず「簡単に説明しなさい」と激しい叱責があった。
李炯根(イ・ヒョングン)元起亜車副会長は「本人(鄭氏)が完ぺきに理解して根本を突いて質問するので誰も答えられなかった」と振り返った。権文植(クォン・ムンシク)元ヒョンデ副会長は鄭夢九(チョン・モング)名誉会長と共に2002年にメルセデスベンツ工場を訪問した当時のエピソードを紹介した。
「量産前に新車と同じ車両を30台製作し、組み立てや部品の品質を完ぺきに点検する過程があった。鄭氏がそれを見た後、『品質は自然に高まるものではない。我々は300台を製作するべき』と指示した。その年は費用だけで8500億ウォンにのぼった。しかし1年後にみると効果は1兆5000億ウォンだった。
生産性が飛躍的に改善した」。ベンツ出張に同行した別の副社長は「鄭夢九会長は『設計した人たちが自ら組み立ててみるべきだ。図面だけを描いて終わらせてはいけない』と指示した」と回顧した。
電気自動車で勝機をつかんだヒョンデはトヨタを完全に超えることができるのだろうか。日本自動車研究の第一人者、小林英夫早稲田大名誉教授は2011年の著書『トヨタVS現代』でこのように予想した。
「ヒョンデはトヨタを含めて何でも受け入れるという積極的な姿勢で『現代的』製造方式を選択した。これを通じて手強い相手に成長した」。ヒョンデ元関係者の言葉とはニュアンスが異なる。「まだトヨタは高いヤマだ。例えば(次世代バッテリーと呼ばれる)全固体電池関連の特許だけ1000件以上を保有している。まさに未来の技術の塊りだ。トヨタのほかにもヒョンデにはまだ越えるべきヤマが多くて高い」。
市場はソニーを上回ったサムスン電子と比較しながら騒々しくなった。しかしヒョンデ本社がある良才洞(ヤンジェドン)の雰囲気は冷たかった。鄭夢九(チョン・モング)ヒョンデ会長(現名誉会長)が同年6月に「危機経営」を宣言したからだ。鄭氏のメッセージはシンプルだった。いや、催促に近かった。「うまくいく時に危機に備えなければいけない。トヨタに追いつこう。まずはトヨタから学ぶべきだ」。
鄭氏の指示は迅速かつ具体的に実行された。ヒョンデの役員はトヨタを分析するセミナー・フォーラムなどをほぼ毎週開き、トヨタの生産・労使・研究開発など全分野を研究した。企画総括本部傘下で『トヨタの新しい成長戦略』を出したり、「トヨタウェイ」を分析した資料が研究所と役員を対象に共有された。そして20年後の2023年、ヒョンデグループは業績面で初めてトヨタを超えた。ヒョンデの今年1-3月期の営業利益は6兆4667億ウォン(約7180億円)と、トヨタ(6兆2087億ウォン)をわずかに上回った。
中央日報が会った元・現ヒョンデグループ役員は、こうした「圧縮成長」を実現させた鄭氏の経営方式を「品質」で説明した。1998年に米国トークショーの司会者デビッド・レターマンが「宇宙船の計器盤にヒョンデのロゴを付ければ操縦士は驚いて帰還をあきらめるだろう」と皮肉ったヒョンデの革新は、月2回ほど開かれた「品質会議」で始まった。99年に鄭氏が会長が就任して新設された会議だ。品質会議には部品や自動車実物が必ず登場した。鄭氏は各部品を取り上げながら「なぜこのように作ったのか」と質問した。理解しにくい専門用語と美辞麗句で包装された改善計画、バラ色予想、「自分たちの問題ではない」などの責任を避ける発言があれば、必ず「簡単に説明しなさい」と激しい叱責があった。
李炯根(イ・ヒョングン)元起亜車副会長は「本人(鄭氏)が完ぺきに理解して根本を突いて質問するので誰も答えられなかった」と振り返った。権文植(クォン・ムンシク)元ヒョンデ副会長は鄭夢九(チョン・モング)名誉会長と共に2002年にメルセデスベンツ工場を訪問した当時のエピソードを紹介した。
「量産前に新車と同じ車両を30台製作し、組み立てや部品の品質を完ぺきに点検する過程があった。鄭氏がそれを見た後、『品質は自然に高まるものではない。我々は300台を製作するべき』と指示した。その年は費用だけで8500億ウォンにのぼった。しかし1年後にみると効果は1兆5000億ウォンだった。
生産性が飛躍的に改善した」。ベンツ出張に同行した別の副社長は「鄭夢九会長は『設計した人たちが自ら組み立ててみるべきだ。図面だけを描いて終わらせてはいけない』と指示した」と回顧した。
電気自動車で勝機をつかんだヒョンデはトヨタを完全に超えることができるのだろうか。日本自動車研究の第一人者、小林英夫早稲田大名誉教授は2011年の著書『トヨタVS現代』でこのように予想した。
「ヒョンデはトヨタを含めて何でも受け入れるという積極的な姿勢で『現代的』製造方式を選択した。これを通じて手強い相手に成長した」。ヒョンデ元関係者の言葉とはニュアンスが異なる。「まだトヨタは高いヤマだ。例えば(次世代バッテリーと呼ばれる)全固体電池関連の特許だけ1000件以上を保有している。まさに未来の技術の塊りだ。トヨタのほかにもヒョンデにはまだ越えるべきヤマが多くて高い」。
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