不動産取得過程で通帳残高証明書の偽造などの容疑（私文書偽造、不動産実名法違反など）で起訴された尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の夫人の母チェ・ウンスン被告（７６）が２１日、控訴審で控訴棄却判決を受けて法廷拘束された。チェ被告は２０２１年の一審でも同じ刑量を言い渡されたが、当時チェ被告が裁判を受けていた別の容疑（療養型病院違法開設）の控訴審で保釈された状態であり、法廷拘束されてはいなかった。

議政府（ウィジョンブ）地裁は「被告の控訴は諸般状況をみると受け入れる理由がない」とし「控訴審まで十分に防御権が保障され、罪質が非常に悪い」とし、法廷拘束の理由を説明した。

チェ被告は２０１３年４－１０月、京畿道城南市（ソンナムシ）の土地を取得する過程で銀行に約３４７億ウォン（約３７億円を預金しているように通帳残高証明書を偽造して行使した容疑と、元同業者の婿の名義を借りて土地の契約を締結した後に登記した疑いで起訴され、裁判を受けてきた。


裁判所は裁判の過程で各容疑の証拠などを説明した。チェ被告側が一審判決に異議を提起した偽造私文書行使については「被告が偽造された残高証明書を民事訴訟に提出することを知りながら共犯と残高証明書を偽造して行使した事実が認められる」と説明した。不動産実名法違反容疑についても「土地が買収された後の状況まで総合してみると、転売差益のために名義信託をした容疑が認められる」と判断した。

量刑の不当を主張した被告側の主張には「被告が主導して莫大な利益を実現する間、関連の個人と会社が被告の意に利用された」とし「自身が利益を追求することに傾倒するあまり、法と制度、人が手段化されたのではないか憂慮される」と明らかにした。また「原審の刑は適正であり、合理的な範囲に外れるとは認められない」とし「被告が犯罪行為で得た利益と違法の程度は非常に大きい」と述べた。

裁判長から法廷拘束という言葉が出ると、チェ被告は「どういうことか理解できない。私を法廷拘束するとは」とし「本当にくやしい。私は決して悪い心でしていない」と抗弁した。その後もくやしさを吐露したチェ被告は「神の前で薬を飲んでこの場で死にたい」と絶叫して倒れた。チェ被告は結局、裁判所の関係者に連れられて退場した。

チェ被告に対する控訴審の宣告は当初５月に予定されていたが、６月に延期され、追加証拠提出などの理由で７日にもう一度弁論期日を開いた後、この日に進行された。チェ被告側は最後の弁論でも同業者のアン氏にだまされたとし、不動産実名法違反に対しては無罪を主張した。チェ被告の弁護人は「検察は被告が土地を取得して利益を得ると考えているが、被告は債権者として回収しただけで、これがなぜ違法なのか理解できない」とし「また被害金はすべて支払い、被害者から処罰不願書まで受けた。こうした事情を考慮して名義信託は無罪を宣告し、残りは寛大な処分を願う」と述べた。

チェ被告も「アン氏の嘘にだまされたが、裁判になれば偽証罪で告訴する」とし「アン氏はいくつか前科がある。そのような点を勘案して私のように悔しい思いをすることがないよう善処してほしい」と話した。しかし裁判所は動かなかった。