ビールはやはり夏季にふさわしい。じっとしていても汗がどくどくと流れるこのごろ、冷たいビール１杯は申し分なく良い清凉剤だ。ビールのない夏は、想像するだけでも恐ろしい。

ビールを語るのにドイツは欠かせない。ドイツは、自他ともに認めるビールの国だ。オープンカフェやビアホールのテントの下でビールを飲みながら談笑する姿は、夏の日、ドイツのどこに行っても出会える情景だ。


１人当たり年間１３０リットルくらい飲む。このようにたくさん飲む上、種類も多様だ。全国およそ１２００の工場から、５０００種類を超えるブランドでビールが生産される。大抵の町にビール工場が１つずつあるわけだ。


ビールの種類について本格的に話すと少し複雑だ。ドイツの酒税法は、アルコール度数によって低濃度ビール（７％以下）から高濃度ビール（１６度以上）まで、５段階に分けている。しかしこれは一般的な分類法ではない。普通は、色合い・発酵形態・原料を基準に分類する。

ひとまず色合いによってヘレス（淡色）とドゥンケル（黒ビール）に分かれる。発酵形態では、ラガーと呼ばれる下面発酵ビールとケルンのケルシュのような上面発酵ビールに分類される。

ドイツビールの大半を占める下面発酵ビールは、再びボック・ドゥンケルラガー・ヘレスラガー・エクスポルト・ピルス（ピルスナー）・シュバルツなどに分かれる。

そのうちピルスがビール市場全体の３分の２を占める。チェコのプルゼニ（ドイツ名ピルゼン）で１８４２年、ドイツの釀造業者ヨーゼフ・グロールが初めて開発したビールで、ホップの味が強く苦みがある。ドイツの酒場で飲むビールのほとんどはピルスだ。

健康や体質のため飲めない方は、ビールの話に怒っているって？　そうした方々のために、味はそのままでもアルコール度数０．５％以下のノンアルコールビールが待っている。

このようにビールの種類も多様だが、味の方もこれまた素晴らしい。秘訣は「ラインハイツゲボート」、つまりビール純粋令にある。１５１６年、バイエルンのウィルヘルム４世によって出されたこの法律は、麦・ホップ・水だけを使ってビールを醸造するようにしたもの。

ほぼすべてのドイツビールが、現在でも同法を守っている。麦の代わりに小麦で作ったビールをヴァイス、またはヴァイツェンというが、気泡が多くつんとくる味が逸品だ。

韓国内ビール業界が、時ならぬ純粋論争で盛り上がっているという。麦を１００％使ってこそ本物のビールだという主張に、でん粉を使ってこそ苦みがないと反論しているという。

はて、韓国ビールの味がドイツビールの味と異なるのは、果たして麦のためだけだろうか。消耗的な論争をやめて、この際、本場のようにおいしく多様なビール開発に向けた善意の競争を繰り広げてほしい。